作:邪神王ウロボロス
禍々しい魔城の一室、そこは大広間の玉座。
一人の男が玉座で寝息を立てていた。
その男は四魔帝の一人、神に仕えし者であった。
さしずめ、変わり者というのか、部下など配下に従える者がいないようにも見える男である。
自身の力に余程の自信を持っているのもまた、この男であった。
この男の考えている事など、誰にも読む事など、不可能であった。
寝ているが、隙が無い程の威圧感・・・
っとそのときであった。
タンッ
神に仕えし者の寝入る玉座の前に一つの影が下りたのであった。
謎の影「我が崇高なる主よ。どうぞ、私めを御使い下さい。」
その影はスッと頭を下げて礼をした。
神に仕えし者『・・・うっ・・よく寝た・・お前かぁ・・貴様の主になった覚えは無いが、お前の好きにすればいい。』
謎の影は一歩前へと神に仕えし者の前へと進んだ。
謎の影「ありがたき幸せ。ゴミどもがこちらへと向かっておりますので、軽く、遊んでまいります。(ニヤリ」
謎の影が微笑むと、その口より鋭い牙がかすかに光に照らされた。
神に仕えし者は何も言わず再び寝入っていた。
謎の影はその場からスッっと姿を消していた。
一方、その頃、最上率いるドルフ軍第一艦隊は闇の軍勢との空中戦を強いられていた。
そこでは、ドルフ軍の採掘した魔殺石の効果もあり、ドルフ軍が優勢であった。
ドルフ軍を襲う魔物の中には中級クラスの魔物《炎竜・レッドドラゴン》《氷竜・ブリザードドラゴン》《風竜・ウィンドドラゴン》が混ざっていた。
彼等の鱗は頑丈である、それゆえに、ドルフ軍の攻撃をもろともしていないかのように見えた。
爺さん「続けて照準合わせて!撃てぇぃい!!」
齢90を越えている爺さんがドルフ軍にはいた。
その爺さんは砲撃長を務める屈強なる老兵である。
ポンポン
軽い音とともに鉄球が射出された。
遠くの一匹のドラゴンの翼に命中!!
閃光が大きく空に広がった。
・・・!!?
ドラゴンは無傷。
ドルフ兵「砲撃長!!、魔物は無傷であります!!」
砲撃長の老兵は落ち着いていた。
砲撃長「手強い魔物も混ざっておるようだな、口を狙え!!弾を込めろ!!」
素早い対応ではあるが艦に気付いたドラゴンは艦目掛けて突進してきた。
ドルフ兵「魔物はドラゴンの一種のようであります。・・・接近100m・・70m・・60m・・50m」
砲撃長「今だ!撃てぇいっ!!」
ポン
その射出された鉄球はドラゴンの口の中へと命中した。
かなりの至近距離での命中であった為に艦の目前に閃光は広がった。
そして、その閃光がおさまったあとには、頭の吹き飛んだドラゴンが落下していくのを確認できたのであった。
ドルフ兵「命中確認、標的、撃破確認できました!(すげぇよ、このじじぃ、あっ思わずじじぃと言って!?、いや、心で思っただけだからばれてない、ばれるはずがない。くそじじぃ、惚れたぜぇ)」
砲撃長はその兵を睨んだ。
ドルフ兵「・・(えっ!聞こえたの!?)」
砲撃長「至急、帝王殿へ報告、ドラゴンは口が弱点と伝えよ!!同時に他艦へも連絡まわせぇぃ!!」
ドルフ兵「了解しましたぁあ!!(なんだ、違った、あぁよかったぁ、聞こえたのかと思ったじゃねぇかぁ・・じじぃがぁ・・)」
砲撃長「ふっ、貴様ら軟弱兵よりは機敏じゃぁ、このじじぃがなぁ(ボソ」
ドルフ兵「・・あ・(・・・)」
ドルフ軍の戦況は輝かしい限りに優勢であった。
そういうドルフ軍の艦隊に近づく一つの飛翔体があった。
それはまだ、ドルフ軍の戦闘区域には程遠く離れてはいたが、徐々に近づいてきていた。
戦場のさなか、一人のドルフ兵が望遠鏡で遠くを見ていた。
ドルフ兵「ん?、なんだ?あの大きなコウモリのような翼で飛ぶ物体は?新手の魔物?まぁ、たいした事なさそうだし、報告するまでも無いかぁ・・」
そう、このドルフ兵の判断によって、ドルフ軍の艦隊はとんでもない事になるとは誰も予想できなかった。
そう、大きな過ち、誤算であった。
飛翔体はどんどん近づいてきていた。
そして、とうとう、鯆級飛行戦艦の一隻の艦首の目前まで来ていた。
タンッ
その飛翔体は艦首の前のでっぱりの部分に降り立ったのであった。
そして、艦首の中に見えるドルフ軍指揮官や館長を含む搭乗員に深々と礼をした。
その振る舞いは高貴なる紳士のようでもあった。
大きく広げられていた、コウモリのような大きな翼は消えており、大きなマント、そして赤い目、鋭い牙を持つその男は艦首のガラスを割って中へと潜入したのであった。
謎の飛翔体の男「私、暗黒魔界上層部は一角、グラネレス魔国の領主、テオ・テスカトル公爵と申します、そして、神に仕えし者様に勝手に仕えております、この度はゴミ掃除とついでに喉を潤しに参上させていただきました、以後、お見知りおきを、っと言いましても、貴方たちはここで死ぬのでしたね?」
ドルフ軍指揮官「そっ・・それはどうも御丁寧に、わざわざ・・あ(あっ自分は一体何を言っているのだ・・)」
そして、この魔王テオ・テスカトル公爵の手によって、ドルフ軍艦隊は悲惨な運命を辿るとは誰も予想できなかったのであった・・・