作:邪神王ウロボロス
とても広い広間。
そこは王、謁見の間、奥には玉座があり王が座っていた。
王の横にいる側近らしき男が王の耳もとでこそこそと話かけていた。
側近「国王陛下、魔法協会のメルキド老人が話をしたいと申しておりますがどうなさいましょうか?」
国王「ふん、またしょうもない魔法でも特許に来た報告であろう、とおすがいい。」
側近は深く頭を下げた。
側近「では、早速御呼び致します。」
側近が大きく二回手を叩いた。
パンッ!!
パンッ!!
すると、奥より爺さんが王の側に寄ってきた。
そして、爺さんは深く頭を下げた。
国王は爺さんに話しかけた。
国王「メルキドよ、話とはなんだ?」
爺さんは頭を下げたまま話した。
爺さん「召喚魔法という魔法を手に入れましたでございます。」
国王は首をかしげた。
国王「まぁよい、頭を上げてよいぞ、その召喚魔法とはなんだ?」
爺さんはクルトに渡された書類を国王に手渡した。
爺さん「はは、これになります。」
国王は受け取った書類に目を通した。
爺さん「どうでしょうか?」
国王は書類に目を通すのに夢中になっていた。
目を通しながら国王の口が動いた。
国王「この書類を持ってきた者は誰だ?」
爺さん「ふふふ、その事ですが国王、みすみす、このような魔法を、庶民の手柄にしてしまうのは、惜しいとは思いませぬか?」
国王は書類に目を通すのを止めた。
国王「では、どうしたいと言うのだ?」
爺さんの口に怪しい笑みがこぼれる。
爺さん「持ってきた者を裏で始末させて、魔法協会で作った事にすれば、国の機関である魔法協会であれば国民も認めましょう。」
国王は納得したかのような顔で聞いていた。
国王「ところでメルキドよ、持ってきた者の名前は何と申す?」
爺さん「クルト・クラヴァナスでございます。」
国王は再び書類に目を通しながら喋った。
国王「ここへ来る事は誰かに告げて参ったか?」
国王は爺さんに質問した。
爺さん「いえ、誰にも、そして、この書類の事も誰にも申しておりません。」
国王の顔つきが少し変わり、側近の顔を見てうなずいた。
側近もまた、少しだけうなずきかえしたのであった。
爺さん「この件、持って参ったのは私という事で、何か褒美でももらえるとありがたいのじゃが。」
国王は笑顔でこたえた。
国王「うむ、褒美は別室にて用意させるので、我が側近に案内させよう。(笑顔)」
側近が爺さんの前まできた。
側近「さぁ、行きましょう」
爺さんの心は褒美がもらえる事でウキウキであった。
爺さん「はっはいはい、行きましょう(いったい褒美は何がもらえるんだろう?宝石かも?金貨かも?楽しみじゃぁ♪)」
爺さんは側近の後をついて行った。
そして、しばらく歩くと扉が出てきた。
そして、扉の前で側近が止まると、鍵を開けた。
ガチャ
そして、爺さんにあけるように言ったのであった。
側近「どうぞ、あけてください。」
爺さんの歓喜ときめく喜びが大きくなり、胸の鼓動のドキドキが止まらない程にワクワクであった。
爺さん「ぉぉお、ぉぉお、ぉぉお、いよいよあけるぞぉぉ。」
爺さんは扉を開けた。
中には、金銀財宝・宝石・・・・・・
・・・・は一つ無く、ただ、コケの生えた生臭い異臭のする部屋であった。
爺さん「・・・あれ?・・・・・・・・え?・・・・こっここは何????・・・えっ?」
自分の目を疑う爺さん。
側近「では褒美だ。」
ズバッ!?
爺さん「え?これは何かの間違いでは?・・」
爺さんは床に倒れ崩れる。
側近「間違いでは無い、お前のような輩に、城にいられては困るとの国王陛下の命だ。」
側近の手には爺さんの血のしたたり落ちるロングソードが握られていた。
そして、爺さんの喉に一突きでトドメを刺した。
爺さんの命は尽きたのであった。
側近「誰かおらぬか?」
部下「ははっ!」
側近「かたずけておけ。」
側近は仕事を済ますと部下に後かたずけをさせ、本人は国王のもとへ戻っていった。
側近は国王のもとに戻ると耳もとにより、小声で報告した。
側近「始末終わりました。」
国王「そうか、ではクルト・クラヴァナスを連れてまいれ。」
側近「御意、早速、使者を使わせます。」
側近は手を大きく三回叩いた。
パンッ!!
パンッ!!
パンッ!!
召使「ははっ!御呼びでございましょうか?何をいたしましょうか?」
側近「馬車を用意してクルト・クラヴァナスをここに連れて参れ、顔は存じておるな?」
召使「ははっ、剣技大会の優勝した少年でありますので覚えております、では、早速連れて参ります。」
召使は深く頭を下げ、その場から離れたのであった。
そして、城から馬車が出て行った。
その頃、クルトはまだ、城から学校までの道のりを散歩がてらにゆっくりと歩いていた。
ちょうど、後ろの方から馬車の来る音が近づいてきた。
クルト「ん?」
クルトは道の隅に体を寄せた。
馬車は通り過ぎようとしたが、クルトに気付いて馬車を止めたのであった。
召使「どうどうどーう。」
馬が足止めた。
ヒヒーンブシュブルルル・・
クルト「ん?」
召使「クルト・クラヴァナスだな?」
クルトは名前を呼ばれたので返事を返した。
クルト「はっはい、そうですが?」
召使「ちょうど良かった、国王陛下が御呼びだ、すぐに馬車にのりたまえ。」
クルトはこのとき、国王が召喚魔法を認めてくれたと思ったのであった。
クルト「はい。」
クルトが馬車に乗り込むと馬車は城へと戻っていったのであった。
そして、クルトは国王のもとに来ていた。
召使「連れて参りました。」
側近「早かったではないか、もう下がってよいぞ」
側近がそういうと召使は何も言わずに下がっていった。
側近のいるすぐ横の玉座には国王が座っていた。
国王がクルトの顔を見て話しかけた。
国王「君がクルト・クラヴァナスか、魔法大会は残念であったな。」
クルトは頭を上げた。
クルト「いえ、勿体無いお言葉であります。」
国王は話を続けた。
国王「クルト君、書類は拝見させてもらったが、一つ質問がある。」
クルト「何でございましょうか?」
国王「この召喚魔法、大変興味深く、素晴らしいと思うのだが、契約方法と発動方法しか記しておらぬが?」
クルトは国王が何を聞きたいのか理解した。
クルト「作りかたは僕だけしか知りません、そして、教える気もございません、お許しください。」
国王「そうか、何を望む?」
クルト「何を与えられても教える気はございません。」
国王は眉間にしわを作った。
国王「どうしても教えないと言うのだな?」
クルト「はい、教えはしませんが、国王陛下の望みとあれば依頼を受けて召喚魔法を製作いたしましょう。」
国王は一庶民のクルトにそう言われた事に少しムカッときていた。
国王「ならば、仕方ない、一庶民にそのような大事を独り占めする行為は万が一に国の存亡が危うくなる可能性もある、お前がいつ他国へ行くかは保証されぬでな。」
クルトは国王の言葉に驚愕した。
クルト「国王陛下!!けっして、そのようなつもりで教えない訳ではありません!!」
国王「ならば、教える気になったか?」
クルト「いえ、教えません。」
国王「頑固な奴だな。」
国王は側近の顔を見てうなずいた。
国王「この者を捕らえて地下へ縛っておけ。」
クルト「国王陛下!!?」
クルトは城の地下拷問室に連れていかれてしまった。