作:邪神王ウロボロス
大会はフィアナの優勝とともに幕を降ろし、大魔法祭の賑わいを見せていた街並みも、今では普段の日常の風景へと戻っていた。
フィアナは魔法大会優勝者という事もあって、学校卒業後には宮廷魔術師団へ入団試験を受けずに入団できる資格とハイウィザード・賢者になるべく、大賢者様への弟子入り資格を無条件で得ていた。
いわゆる、フィアナは学校自慢の特待生という事になっていた。
その為に、以前はクルトとよく一緒に過ごす事も多かったのだが、今は大変忙しくクルトとはいつも別行動になっていた。
一方、クルトは、召喚魔法を増やすべく日夜励んでいる毎日であった。
そして、ある日の事であった。
クルトはベットからおきあがった。
クルト「はぁ〜〜ぁあ・・」
大きな背伸びをして窓の外を見つめた。
クルト「・・(大会はわざと負けて正解だったのかなぁ?う〜ん・・)」
外は良く晴れ渡っている。
クルト「よし、今日こそ行動開始するぞ!!」
クルトはベットよりサッと起きて洋服に着替えた。
そして、用意が整うと部屋から出て階段を降りた。
そこには、父のジョセフがテーブルに向かって座りコーヒーを飲んでいた。
母のメイアが台所からやってきた、手には焼きたてのパンとサラダを持っていた。
クルト「おはよぅ父さん、母さん。」
そこにはごく日常の平穏な風景があった。
ジョセフ「おはよぉ。」
メイア「おはよぉクルト、おきてきたのね、朝ご飯の支度が出来たところだったからちょうど良かったわぁ、さぁ早くお食べなさい(笑顔)」
メイアがテーブルにパンとサラダを置くと同時にジョセフがパンに手を持っていく。
クルトも椅子に腰をかけて座った。
ジョセフ「最近、毎日でかけてるようだな?」
ジョセフがクルトに話しかけた。
クルト「色々と研究事が多くて大変なんだ。」
ジョセフ「お前が大会で負けたので落ち込んでないかと母さんが心配してたからなぁ。」
心配していたのは母・メイアよりも父・ジョセフであるのは明確に見て取れる。
メイア「あらま、私はそんなに心配してないわよ(笑顔)、心配してるのはあなたの方なんじゃない?クスクス(笑)」
ジョセフ「・・・」
ジョセフは黙り込む。
クルト「父さん、心配しなくても大丈夫だよ、今、新しい事の研究に取り組んでいるから、そのうち驚かしてあげるよ(笑)」
クルトがそういうとジョセフは嬉しそうな顔をした。
ジョセフ「新しい研究?それは楽しみだ、良い研究成果がでる事を応援してるぞ(笑顔)」
クルトはパンを半分残して朝食を終えた。
そして、残ったパンを持って家の外へ出た。
クェン「クェ〜ン♪」
クェンがクルトを出迎える。
クルト「おはよぅクェン」
クルトはそう言うと、手に持っていたパンをクェンの口元に持っていった。
クェン「クェクェクェン♪」
クェンは美味しそうにそのパンを食べていた。
クルト「お前はいつも食えん食えん言ってるのによく食う奴だな(笑顔)」
クルトはしばらくクェンを見つめていたが、学校に遅刻するとまずいので出かける事にした。
クルト「クェンそろそろ行こうか。」
クェンも大分大きく成長しているので、今では背に跨る事も容易である。
クルトがクェンの背に跨るとクェンは翼を大きく広げて、大空へと飛び立った。
最近ではクルトはこうして毎日学校までひとっ飛びで登校していた。
クルト「お前って本当に便利な奴だなぁ。」
クェン「クェン♪」
そして、クルトは学校に到着すると、クェンを学校裏につないで教室へと向かっていった。
授業を全て終えたクルトは今日は心に決めていた。
今日は、城へ行き、王宮魔法協会に召喚魔法の登録書類を提出すると決めていた。
登録書類を提出して、実際に魔法を使って見せれば国に認められ素晴らしい栄誉を与えられるのは間違いないとクルトは信じていた。
クルトは学校裏のクェンのそばに戻っていた。
クルト「クェン、もう少し用があるから待っていてくれよ。」
そう言うと、クルトはクェンはそのままにして城へと向かったのであった。
城はペルシャンテ王宮学校からそう離れてはいない。
歩いてでもすぐに行ける距離である。
クルトは学校の門をでて辺りの景色を見ながらしばらく歩いていた。
クルト「(たまにこうやって歩くのもいいもんだ。)」
そして、しばらく歩いていると城が現れて大きな堀に城門が見えてきた。
平和な世である為に堀には橋がかかっている。
城では役所の仕事もしているので普段から誰でも中へ入れるようになっていた。
そして、クルトは橋を渡り城門をこえて、城の中へと入っていった。
当然城の中では鎧を纏った騎士や兵士達もいるので、クルトは目をキョロキョロと辺りに見入っていた。
クルト「(さすが、王城、騎士達もいっぱいだぁ。)」
そして、クルトは奥のほうにある役所専用の階段を上がっていった。
階段を登りきると廊下があり、扉がたくさんあった。
クルトはその一番奥にある扉をノックした。
コンッ!コンッ!
声「入りたまえ。」
扉には魔法協会と書かれた札がかかっている。
ギィ〜〜〜ィ
クルトは扉を開けると大きな机に白髭を生やした爺さんが一人座っていた。
爺さん「そこにある椅子にかけたまえ。」
クルトは言われたとおりに椅子に腰をかけた。
爺さん「今日は何の用かね?」
クルトは書類を爺さんに手渡した。
爺さんは手渡された書類をまじまじと隅々まで目をとおしていた。
クルト「・・・」
クルトは少し緊張していた。
しばらく時間が経過した頃、爺さんは書類を机の上に置いた。
爺さん「これは、君が研究したのかい?」
爺さんはクルトに問いかけた。
クルト「あっはい。」
爺さん「この召喚魔法とは興味深い、実際に簡単なものを見せてはくれないか?できるかな?」
クルトは生唾を飲んだ。
ゴクン・・
クルト「あっはい、すぐに見せれますが、何かいらない物はありますか?」
クルトがそう言うと、爺さんは古いコップを一つ机の引き出しより取り出して、クルトに手渡した。
クルトはそのコップを机の上に置いてから呪文の詠唱を開始したのであった。
クルト「・・ぶつぶつ・・我、契約の微風、我が血を持ちてここにいでよ!そして、目前の標的を切り裂け!風の妖精シルフ!召喚!」
いつかのように、辺りの空気がゾワッ動いたと思うと段々その風に激しさが現れだした
そして、風が凝縮しはじめて白い輝きが現れたのであった。
爺さんは口をポカーンとあけたまま見ている。
その輝きは至大に段々と形を形成しはじめていった。
そして、風の妖精シルフがその場に出現したのであった。
爺さん「これは凄い!!」
宙を舞う風の妖精シルフが両手を広げ、コップめがけて突風を一瞬だけふきつけた。
コップはスパスパッと切り裂かれたのであった。
そして、風の精霊シルフは用を終えるとスッと姿を消したのであった。
爺さん「素晴らしい!!」
爺さんは初めて見た魔法に感動していた。
爺さん「素晴らしいよ君は、この書類に書いてある魔法で全部かい?」
クルト「いえ、まだまだたくさんあります。」
爺さんの目が一瞬だけたくらみの目になってすぐ笑顔になっていた。
爺さん「(ふふふ、これは手柄だ。)」
爺さんは書類を大事そうに引き出しにしまった。
クルト「では、登録してもらえるのですね?」
爺さん「いや、君の件だが、魔法を登録するのではなく、魔法分野を登録する事になるので、他の魔法も全部詳しくまとめて提出してくれなくてはいかん、明日また来てくれるかね?」
クルトはまぁ、仕方無いやという顔をしていた。
クルト「はい、わかりました、今日晩中にでもまとめてみま、ですが、数が多いので三日後でもよろしいですか?。」
爺さん「そうかそうかぁ、全然かまわんよぉ、では、三日後、待っているよ。」
爺さんがそう言うとクルトは椅子から立って部屋の外へと出たのであった。
爺さんはクルトが部屋を出た後に怪しく笑みをこぼしていた。
そして、クルトは城を出て学校まで戻っていった。