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第86話:=自身を求めて=

作:邪神王ウロボロス


-From 85-


辺りは霧で覆われている。

霧の中から一人のぼろぼろに朽ちようとしている男がゆっくりと現れた・・

男「・・お前に殺された・・・」

名無し「わからない・・」

男の顔は霧のせいではっきりと確かめる事ができない。

男「・・フィ・・・・お前が弱いからだ・・・」

男は誰かの名前を言ったようだが、はっきりとその部分が聞こえなかった。

男は徐々に近づいてきていた。

男「・・お前が・・敗れなけ・・れば・・・」

名無し「・・・」

男「・・私も民も・・」

男はすぐ目の前まで来ていた。

男の姿はぼろぼろである、そしてぼろぼろの翼を背中に持っていた。

しかし、顔がはっきりと見えない。

名無し「俺が、敗れなければ?・・・」

男「・・死なずに済んだ・・」

名無し「お前は誰なんだ・・・俺は誰なんだ・・」

男「・・お前は何をしている?・・・」

男はスーっと消えた・・






小屋の中で一人の男がうなされていた。

名無し「・・う〜ん・・はぁはぁ・・ハッ!!、ふぅ・・(またあの夢を見ていたのか)・・」

外の日の光が小屋の隅々の隙間からさしこみ入ってきていた、外はよく晴れているようだ。

小屋の主である左京大夫は、朝早くに近くの川へ毎日の日課の釣りに出かけていた。

小屋には名無しが一人残されていた。

名無し「・・・(いつもでてくる夢の男、誰なんだ?そして、俺は誰なんだ、いったいどうすれば・・)」

名無しは起き上がると扉を開けて外へでてみた。

名無し「外は、このように明るい、だが、俺は・・」

名無しは苦悩していた。

それは。

己の記憶が無い事。

夢にうなされる事。

何をすれば良いのかわからぬ事。

名無し「・・・(刻は無情に過ぎていく)」

名無しは小屋の壁にかけてある一本の釣竿を見つけた。

そして、釣竿を手にすると歩きだしたのであった。

しばらく歩いていると。


   ザーーーーザーーー


近くに大きな川があるようだ。

川の水の流れる音が聞こえてきた。

名無しはその大きな川の流れる音を目指して、草木の間を抜けて前に進むと、そこには大きな川が流れていた。

そして、名無しは何も思わずに、その場に腰を下ろして釣竿を横に置いた。

しばらくボーっと座り川を眺めていた。


   ピシャッ!!


その激流とも言ってよい程の川の流れの中で一匹の魚が跳ねたのであった。

名無しは地面の石をどけてみると一匹の川虫が動いていた。

その川虫を捕まえると釣針に刺してから、名無しは釣竿を川に下ろしてみた。

そして、しばらく時間が過ぎ去っていった。

名無し「・・(何も釣れない・・魚さえも俺を小馬鹿に嘲笑っているのか・・)」

名無しは釣竿を上げてみると餌に付けていた川虫は無くなっていた。

名無しの右にある大岩の上から声がした。

左京大夫「ここは良い魚がいている、魚は激流の中で自由自在に動き、そして、餌を見つけると素早く獲物を捕らえてしまう、御主は道具に頼りすぎるから餌だけとられたのだ。」

名無しはまさかそこに左京大夫がいた事にはまったく気付いていなかった事に驚愕していた。

何よりも、左京大夫の気配をまったく感じる事ができなかった事である。

名無し「いつからそこにいた?」

左京大夫は笑顔である。

左京大夫「御主がここに来る以前から最初からここにいたぞ(笑)まったく気付かないとは修行が足りぬぞ騎士殿。」

名無しは何も言い返せない。

名無し「・・・・・・」

左京大夫はそのまま話し続けた。

左京大夫「早く流れる川の中を縦横無尽に俊敏に動き自由自在に生きている魚、わしらはその上を行かねば魚を捕らえる事ができぬ、だが、わしらは川の外、彼等は川の中、一本の竿に一本の糸、そして一つの釣針、この道具では川の流れに自由自在に動かす事は容易な事ではない、道具に頼ったり、餌をつけたりしただけでは魚の上をいく事は不可能だ。」

名無し「何が言いたい?」

左京大夫「それは己の心で考えるがよいわ(笑)」

名無し「・・・・」

左京大夫の竿が揺れた、竿を軽く上げると一匹の魚が釣れていた。

そして、釣針には何もつけずに再び釣竿を川へ下ろしたのであった。

しばらくすると、再び釣竿が揺れて魚が釣れていた。

左京大夫「さて、そろそろ帰って飯にでもしようか。」

左京大夫は腰を上げて小屋の方向へ歩きだした。

名無しも左京大夫の後をついていった。

しかし、左京大夫には何故か名無しは追いつけないのであった、どう見ても左京大夫は前を歩いているのだ、しかし名無しがいくらペースを上げても追いつけない。

しまいには左京大夫の姿さえ見えない位置に離されてしまい、とうとう見失ってしまったのであった。

そして、名無しはなんとか小屋へと辿り着いたのであった。

名無し「・・ハァ・・ハァ・・」

名無しは釣竿を外の壁に立てかけると、小屋の扉を開けて中へと入っていった。

中では既に左京大夫が昼飯の用意を済ませており、座って名無しを待っていた。

左京大夫「おやおや、随分と息が切れてるようだねぇ(笑)」

名無し「何故、あんなに早いのだ?」

左京大夫「川魚が水の中の達人ならば、我らは水の外の達人でもある訳だ(笑)」

名無しは少しムッとした。

名無し「ふざけるな!!」

   グググ〜・・

名無しの腹の虫がなったのであった・・

名無しは腹が減っている事は隠せなかった。

左京大夫「さぁ、飯を食ってまた釣りに行こうでは無いか(笑)」

そして、二人は昼食を終えると再び川へと来ていた。

左京大夫は餌も付けずに魚を何匹も釣り上げていた。

名無し「・・・(何故なんだ?・・)」

名無しも真似をして餌を付けずに釣竿を川へ下ろしていたが、魚の喰い付きは一度も来ない。

左京大夫はその名無しの様子を眺めつつ笑みを浮かべていた

左京大夫「まだまだ、道具に頼っておるな(笑)」






そして、日も暮れて、二人は小屋へと戻ってきていた。

名無しは苦悩していた。

名無し「・・(こんな所にいつまでもいては記憶を戻す事はできるのか?)」

左京大夫は晩飯の支度をしている。

名無し「・・(あの左京大夫とかいう男、奴も只者では無さそうだが、だが、釣りなんか極めた所で何の役にも立つとは思えん・・)」

名無しが物思いにふけっている間に晩飯の用意が整い終わっていた。

左京大夫「さぁ、晩飯にでもしよう。」

左京大夫が飯をついで名無しに渡した。

左京大夫「箸の使い方も大分上手になってきたのぉ(笑)」

名無しは左京大夫との暮らしが続く内に箸の使い方をマスターしていた。

左京大夫「飲んでみるか?」

左京大夫が手に持っていた茶碗を名無しに渡し、横に置いてあった瓢箪を手に取り名無しの茶碗へ注いだ。

名無しはそれを口に含んだ。

名無し「・・・ゴホッゴホッ、何だこれは?」

左京大夫「ヤマト酒じゃ(笑)」

ヤマト酒はヤマト神国の地酒なだけに度数がかなり高く癖が強いのであった。

名無しは最初むせってしまったが、一気に呑み干したのであった。

名無し「もっともらう。」

左京大夫「結構、いける口だな(笑)」

左京大夫は名無しの茶碗にヤマト酒を注いだ。

左京大夫「ところで、御主、出て行こうと考えているであろぅ?」

名無しは己の考えていた事を気付かれていた事に驚いた。

名無し「何故、気付いた?」

左京大夫「長年の感というやつじゃよ(笑)、どうじゃ、このままここに居て修行をしてみる気は無いか?」

名無しは沈黙した。

名無し「・・・・」

再び左京大夫の口が動いた。

左京大夫「答えは明日出してくれてもかまわんよ(笑)」

そして、左京大夫は名無しの空になっていた茶碗に再びヤマト酒を注いだ。

名無し「・・・・」

名無しは注がれたヤマト酒を口にほうばった。

左京大夫「そろそろ夜も遅い、寝るとしようか。」






名無しの夢の中。

辺りは霧に覆われている。

霧の中から男が現れた。

男『雑魚が。。』

男の腰には何本もの魔剣らしき剣が帯剣されている。

男『貴様ごとき、雑魚に本気を出すまでもないわ。』

名無し「俺は雑魚じゃない・・・お前は誰だ?・・俺は誰だ?・・」

男『神に仕えし者・・』

男は徐々に遠ざかっていく。

名無し「神に仕えし者とは誰なんだ?・・」

男は徐々に遠ざかっていく。

名無しはそれを追いかける。

名無し「待て!!・・待て!!・・」

名無しがいくら男を追いかけども追いかけども追いつかない。

男『貴様は雑魚だ・・』

男は霧の中へと消えていく。

名無し「待ってくれ!!」






名無しはうなされながらガバッと大きく叫び起きた。

名無し「待ってくれっ!!!!・・・・・ふぅ・・夢か・・」

     チュン

     チュン   チュン

外では小鳥のさえずりが聞こえている。

名無し「ふぅ・・朝か・・」

名無しは、ふと剣の置いてる方角を見つめた。

その剣は名無しが記憶を失う以前から帯剣していたとされる神狼剣ネファローズであった。

名無し「・・・」

左京大夫はすでにいつものように釣りへ出掛けている。

小屋には名無し一人であった。

名無しは寝床より起き上がり、自分の剣を手に持った。

そして、ゆっくりと、扉を開けて、外へと出ると、外の日の光が名無しの顔を照らした。

名無し「うっ・・」

名無しは、この日初めての日の光が一瞬だけ眩しかった。

そして、名無しは剣を腰に付けようとしたときの出来事であった。

神狼剣ネファローズが突然名無しの手から離れ、宙をグルグルと3回ほど回転したかと思うと、まっすぐに小屋の横にある大岩へと向かっていった。


      ザクッ!!


剣は勢い良く大岩に突き刺さったのであった。

名無し「いったい?何が?どうなったというんんだ?」

名無しはすかさず、剣のそばへ寄っていき、そして、引き抜こうとした。

名無し「んん!!?んん!!??」

何度も何度も引き抜こうとした。

名無し「んんん!!??」

剣は抜けないどころかびくともしない。

名無し「何故だっ!!?」

再び抜こうとするが、やっぱり抜けない。

名無し「駄目だ、抜けない・・」

名無しはその場に座りこんで途方にくれた。

しばらくの刻が過ぎさった頃、名無しの口が動いた。

名無し「お前も俺にそうしろというんだな・・・」

そして、名無しは何かを悟ったかのように微笑みを浮かべたのであった。

名無し「フフッ・・(微笑)」

そして、名無しは小屋の横壁にかけてある釣竿の方向へ顔を向けた。

名無し「・・」

釣竿を手に持つと、川の方向へと向かったのであった。

しばらく、名無しが歩くと、大きな川のせせらぎが聞こえてきた。


   ザーーーーザーーー


そして、川へと名無しが到着すると、大岩の上には左京大夫が座っていた。

左京大夫は釣りをしている。

左京大夫「待っていたぞ。」

名無しを見ずに左京大夫は言った。

それは、まるで、名無しが来る事を知っていたようでもあった。

名無し「弟子にしてくれ。」

左京大夫はしばらく黙ったまんま、沈黙が続いた。

そして、左京大夫の口が動いた。

左京大夫「頼み方がなっておらんのぉ。」

何を突然言い出すのか、修行しないかと言っていたはずの左京大夫とは思えない台詞であった。

その態度に名無しは驚きを隠せなかった。

左京大夫「もぅ少し、頼むときの態度があるじゃろ(笑)」

名無しは一瞬、ムッとしたが。

名無し「御師匠様、弟子にしてください、お願いします。」

名無しが、そう言うと、左京大夫は名無しの方角へと体を向けた。

左京大夫「ちぃと厳しい過酷な修行になると思うが、根を上げるでないぞ(笑)」

名無し「どんな修行にも耐えてみせます。」

左京大夫は名無しの顔をじっと見ると、再び元の体勢に戻り、釣りを再開していた。

左京大夫「その心が大事だ、まぁ、とりあえず釣りをしろ。(笑)」

名無しは、釣りなどより修行がしたくてたまらなかった。

名無し「釣りなどより修行をすぐにやらせてほしい!!」

左京大夫の口が再び動いた。

左京大夫「お前は、その釣りごときでさえろくにできてないであろぅ?」

そして、再び左京大夫は沈黙して釣りを続けた。

名無しは漠然と立っている。

そして、何時かの刻が過ぎ去っていた。

しばらく、立っていたが、名無しは川の隅に腰を下ろすと釣竿を川に下ろして釣りを始めたのであった。

名無しの釣竿には一匹も魚は食いついてこない。

釣竿には餌を付けていない状態である。

だが、不思議と左京大夫の釣竿には魚が食いついていた。

名無しには理解不能であった。






そして、釣りを続ける毎日で数日の時が過ぎていた。

名無しはいらだっていた。

名無し「師よ、いつになれば修行をさせてもらえるのだ?」

左京大夫の口が動いた。

左京大夫「そのような心では余計に釣りあげる事などできはせぬぞ。」

そして、再び沈黙に入ったのであった。

名無し「・・・」

名無しは言っても無駄だと思い悟り、釣りに集中しだしたのであった。

しばらく、名無しが川の流れを見つめていると、一瞬ではあるが川の流れが止まったように見えたのであった。

名無しはそれがどういう事なのかまったく理解はしていなかった。

名無しの視界が止まる現象が再びおきたのであった。

っと、その時であった、川の水中の魚も止まって見えるではないか!!

名無しはススッと釣竿の切っ先をその方向へやると、魚に針をひっかけるような感じに持っていった。


     バシャバシャッ!!


川の流れが止まったように見えていたのは幻か、今見ると川は普通に流れているではないか。

だが、名無しの釣竿には魚がかかっている。

名無し「釣れた!?今のはいったい?」

左京大夫が体を名無しの方向へと向きを変えていた。

左京大夫「名無しよ、修行はとっくに始まっていたぞ、それも修行の一つだ。明日より別の修行に入るので心しておけ。」

名無し「は、はい。」






そして、数々の鍛錬をこなしつつ数ヶ月の時間が過ぎていた。

名無しは常人とは思えぬ速さで左京大夫の教えを身に付けていた。

その速さは、さすがの左京大夫でさえも驚いていた。

名無し自身も、強くなっている事を実感していた。

だが、胸にひっかかる事が一つあったのであった。

それは、毎日、鍛錬を続けても連日連夜の悪夢であった。

さすがに修行で鍛錬をして精神や肉体を鍛えたところで、悪夢だけは何故かいつまでも見続けていたのであった。

その事は、左京大夫も不便に感じていた。

だが、名無しは自身で何かを解決しなければならないと感じ始めていたのであった。

名無しの容姿も大分髪がのびてきていた。

そして、ある日の事であった。

その長い髪を名無しはある程度長さを残した辺りで切ると、髪を後ろで結って、のびていた武将髭も綺麗に剃った。

そしてその日は、再び毎日こなしている鍛錬をこなし始めた。

左京大夫は珍しく修行に立ち会わずに、この日は好きにするようにと名無しに言っていた。

左京大夫自身は行く所があると言ってでかけたままである。

名無しは好きにしろと言われた所で何をするのでもなく、鍛錬のみをしているだけであった。

だが、日も暮れてきて、夜になっても左京大夫は、その日は戻ってくる事はなかった。

名無し「珍しい・・寝るとするか。」

朝が来てもまだ左京大夫は戻ってきてはいなかった。

名無しは腹も減っていたので釣竿を持って川へと行っていた。


   バシャバシャ


今の名無しにとって餌無しの釣りなど容易な事であった。

数匹釣り上げると小屋へと戻っていった。

小屋へ着くと、どうやら、左京大夫が戻ってきているようであった。

左京大夫「ぉお、釣りに行っておったか。」

名無しは左京大夫に近寄っていった。

名無し「いったい何処へいってたんですか?」

左京大夫は何かを隠すように言った。

左京大夫「いや、まぁ、たいした事では無い、御主が気にする事でもない(笑)」

名無しは、まぁ良いと思いか何も気にしなかった。

それよりも、名無しは自身の毎日見る悪夢の方が気になっていたのであった。

己の何かを求める思いが次第に強くなってきていた。

自分が誰なのか、夢に出てくる人物は誰なのか、ただ、それだけが名無しの心には充満していた。

今は、それ以外の事など気にする事は無かった。

そして、また数日の日が過ぎた頃である。

名無しは決心していた。

名無し「(明日、答えを見つけに行こう。)」

とある夜、名無しは左京大夫との晩酌を済ますといつもどうり寝床についたのであった。






朝日はまだ昇る手前の早朝。

名無しは左京大夫が寝ている事を確認すると寝床よりスッとおき上がり、そぉーと扉を開けて表へ出たのであった。

名無し「(今日、行くか行かぬかは剣が決めてくれる。)」

名無しは、小屋の横の大岩の前に立っていた。

そこには一本の剣が刺さっている。

それは名無しの手より離れた神狼剣ネファローズである。

名無しはそぉっと剣に手をそえた。

名無し「(よし、試してみるぞ。)」

名無しは勢い良く力を入れて剣を抜こうとした。

すると、剣は以前何度引っ張ってもびくともしなかったはずなのに、今度は抜け始めたのであった。

火花を散らしながら剣は大岩より徐々に抜けていく。

そして、とうとう剣は最後まで抜けたのであった。

名無し「(つ、ついに!抜いたぞーーー!)」

だが、剣に異変がおきていた、突然、剣が眩く輝きだすと、名無しの手から離れてまた宙に浮いた。

だが、何かが以前とは違った、今回は回転していない、これから回転する様子も感じられない。

剣は宙に浮いた状態で眩く輝いて、形が徐々に変化していった。

なんとも美しい形である、そして剣先が細く長い、鞘も柄も全て変形していっている。

そして、全ての変化が終わるとゆっくりと地面へと降りていった。

地面についてからしばらく輝いていたが徐々に輝きも消えていった。

名無しはその変化に驚き見とれていたが、全てが済んで我に戻ったのであった。

名無し「(はっ!!いったい何がおきたのか?)」

名無しは目前の地面に横たわる神狼剣の変化した剣をその手に取ってみた。

剣から何かが名無しの心に聞こえてきたのであった。

神狼剣ネファローズ・ツヴァイスト

そう、確かに名無しの心にはそう聞こえた。

名無し「(神狼剣ネファローズ・ツヴァイスト)」

そして、名無しは剣を鞘に収めた、そして、自分の纏っていた鎧《炎龍帝ドラクネス》のそばへと行くと何故か鎧が無い事に気付いたのであった。

名無し「(鎧はたしかここに放置していたはづ、何処へ?)」

しばらく周囲を見渡して鎧を探したが見あたらなかった。

名無し「(まぁ、良い、行くとするか。)」

名無しは鎧を探すのを諦めたのであった。

名無しは新たなる神狼剣を帯剣すると、小屋から離れて旅へとでたのであった。

しばらく歩いた所で川が出てきた。


   ザーーーーザーーー


名無し「(ここで釣りをしたな。)」 

名無しは足を止めて、しばらく物思いにふけっていた。

そして、足を動かそうとしたときであった。

左京大夫「師に何も言わずに行くとは恩知らずな奴めが!!」

名無しは大岩の上を見上げると左京大夫が立っていた。

名無し「師!!」

左京大夫が大きな箱を軽々と持ち上げ名無しに向かって投げた。


      ドスンッ!!


箱は名無しの足元に落ちた。

左京大夫「餞別だ持っていけ、防具もなけりゃ格好も悪かろぅて、今の御主には一番似合っておる鎧が入っておるは(笑)」

名無しは箱を開けて中から鎧を取り出した。

物凄く澄んだ青い武者鎧である。

鎧は白く輝いているようにも見える。

装飾もそれはとても綺麗である。

だが、どう見ても普通の武者鎧では無いようだ。

全体からオーラが滲みでてきている。

そして、名無しは霊波動を強く感じたのであった。

名無し「これは?」

名無しは左京大夫に問いかけた。

左京大夫「その鎧は以前、出掛けたときに持って帰ってきた物だ、御主には必要だと思ったからの。」

名無しは記憶を辿った。

名無し「あ、あのときこれを取りにいっておられたのか。」

左京大夫は笑顔である。

左京大夫「ヤマトに伝わる四聖獣の神器の一つ、武神鎧・青龍白蓮じゃ。」

名無し「武神鎧・青龍白蓮」

名無しは鎧を纏ってみた。

左京大夫「なかなか様になっておるな、似合っておるぞ。あと、御主の鎧は預かっておるぞ、安心せい、御主の修行はまだ終わっておらぬので再び戻って来るがいい、時が来れば返そう。」

名無し「やはり、そうだったか、まぁ良い(笑)、ドラクネスは師に預けておく。」

そして、名無しは師・左京大夫を背に歩き始めた。

左京大夫「再び修行が嫌になって、ここに戻る前に死ぬでないぞ。(笑)」

そして、名無しは再びこの地へ戻ると胸に誓い、恩師と別れヤマト神国より旅だったのであった。



-To 待ち受けていた者達(下)-

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