作:邪神王ウロボロス
異端審問局の北方、ギルビア魔法王国。
独自の《魔法科学=通称:魔学》が発達した大国である・・・・・・・・・いや、以前はそうであった。
迷いの森と呼ばれる密林により外部からの侵入者を阻んでいた屈強の大国でもあった。
この国にいったい何がおきたと言うのか、今は荒廃した町並み、日の光を遮断した暗雲、中央には高層タワーが複数あり。
暗雲からの稲妻がその高層タワー郡の屋上にある3本の避雷針めがけて落ちていた。
ドドーン!!ピシャ!ゴロゴロゴロ!!
ガラガラガラ!!ドーーン!!ドドーン!!
ピシャ!!ビリビリビリ!!
街には暗黒瘴気が満ち溢れていた。
地上、空中、至る所には得体の知れない禍々しい生物が徘徊している世界。
かつての栄光は完全に消えうせていたのであった。
高層タワーの上層階の一室に白衣を着た一人の男がいた。
謎の男「ラグナよ戻ったか。」
その男は誰かに話しかけた。
謎の男「我が最高の傑作《堕天使ラグナ》よ、何処で何をしていた?また、玩具でも見つけてきたのかい?」
大きな黒い翼を持つ者が口を動かした。
ラグナ「いいえ、博士、少し外界を乱してきただけですよ。」
謎の男「私の可愛い《堕天使ラグナ》よ、お前が昔、迷いの森に倒れていたのをこの私が救ってあげたのだからなぁ。」
ラグナ「はい、博士のおかげであります。」
謎の男は妖しげな笑いを浮かべた。
謎の男「フハハハハハハハハハハハ・・・・(笑)」
ラグナは深々と男に頭を下げていた。
謎の男「私は天才だぁ、この小杉優作にかかれば如何物も新生物へと生まれ変わる事ができるのだぁ!!貴様も瀕死の状態であったぁ、私の施術が無ければ今頃とっくに肉片残らず魔物の餌食であった。」
ラグナ「はい、今があるのは博士のおかげであります。」
小杉「この魔法王国に来てから、魔学を学び、そして極めたこの私の手にかかれば誰でも生まれ変われる、ここの民達のように・・・」
なんと、街全体に徘徊する禍々しい異生物郡は全てこの小杉優作の手によって施術された国民達の変わり果てた姿であった。
小杉「私を追放したヤマトもそのうち我が施術により生まれ変わらせてくれよぅ。」
彼はヤマト神国の出身であり、深い恨みを抱いていた、っと言うよりも、ただの逆恨みであるのかもしれない。
小杉「その前に、闇の暗黒の軍勢を施術してみたい、だが、まだ足りぬ、私の実験材料をもっともっと持ち帰ってくるのだ、まだまだ全然足りぬのじゃ、期待しておるぞ、ラグナよ。」
ラグナは顔を上げて笑みを浮かべた。
ラグナ「すべておまかせください。事は順調に運んでおりますので。」
小杉「朗報を待っておるぞ。行け!」
ラグナはその身に持つ黒い翼を大きく広げ、即座に大きく羽ばたき大窓より外へ飛びたっていったのであった。
その姿はあっという間に遥か上空へと消えていったのであった。
ちょうどその頃、一人の男が迷いの森へと入っていた。
男『うむ、良い土地だ、我が同属達をこの密林へ呼ぶとしようか・・』
男の身体から莫大なる魔力が噴出しはじめたのであった。
その男の放つ超絶なる魔力と密林を漂う強力な暗黒瘴気が絡み合い、その保たれていた絶妙のバランスが崩れていく。
そして、密林全体に男の魔力が満遍なく行き渡った頃合に空間が歪み始めたのであった。
そして、その至る所の歪みのあちこちにひび割れがおきて、その中からは闇がこぼれてきていた。
男『我が同属達全部を呼ぶ程の土地の広さでは無いな。』
そして、各歪みのひび割れが広がり、大きく空間が砕け散ったのであった。
密林の至る所に大きな闇の穴が出現し、そして、その中より何かの大群が出てきたのであった。
禍々しい牙、巨大、鋭い眼光、大きな足、大きな尻尾・・・・・・・・
魔狼であった。
次から次へと穴から出現している。
百、千、一万、十万、百万、千万、一億、二億、三億、四億、五億、六億、数億頭は軽く出てきていた。
密林の広大な面積があれば然程問題は無い頭数であった。
そして、迷いの森は一瞬で魔狼の密林、いや魔狼達が至る所何処にも徘徊する闇の密林へと姿を変えていったのであった。
迷いの森を徘徊していた禍々しい異生物は魔狼達の格好の餌となっていた。
男『このぐらいで良いだろぅ、我が従者、《百八の魔狼星》もそのうち来るであろぅ。』
その時であった、闇の穴の奥から歩いてくる者の姿があった。
そして、その者は穴より出てから男の前に立っていた。
男『やはり、お前が最初に来たか、百八の魔狼星、炎狼バルワルド。』
バルワルド「私は魔狼王ゼラヒム様の為だけに存在しています故に参上しました。」
そう、この男こそは邪神王四魔帝の魔狼王ゼラヒムであった。
彼には忠実なる108の従者が存在した。
そして、その百八の魔狼星と呼ばれる者達は全て魔狼王ゼラヒムと同様に人の姿をしていた。
人の姿をしているのだが魔狼は魔狼である、本当の姿は魔狼王ゼラヒムも含め隠し持っているのであろう。
百八の魔狼星は暗黒魔界の最下層の中にある闇の密林にて、魔狼達の頂点に存在する者達であり、その魔力によって人の姿へと変貌していた。
この地上世界でも、人狼という者が存在するが、人狼とは別物である、魔狼が変貌を遂げた存在である故に力の格差が人狼とは桁違いであった。
そして、その百八の魔狼星を従える者こそがこの魔狼王ゼラヒムである。
ゼラヒム『ここは既に支配したも同然だ。他の者達が到着する前にかたずけておきたい事がある、バルワルドよ付いて来るがいい。』
バルワルド「ゼラヒム様自ら出向く事はありません、私にお任せを。」
ゼラヒム『我が自ら動かねば、神に仕えし者に笑われるは、そこには蝕まれた気配を感じる、たいした事は無い相手だが自ら出向いてやろぅ。』
そして、ゼラヒムは密林の内側の、ギルビア魔法王国の方向へと歩き進み始めた、そしてその後を追うように炎狼バルワルドが付いていったのであった。
その頃、堕天使ラグナは遥か遠方より、迷いの森の変貌を察知していた。
ラグナ「・・・博士、もう貴方は必要無い、貴方の頭脳は全て学ばせてもらった・・・・・・・博士、貴方こそ、私の最初の最高傑作なのですよ・・・」
ラグナはニヤリと笑みを浮かべながら遥か上空より、ギルビア魔法王国を一望していた。
小杉優作の手によって闇世界と化したギルビア魔法王国が魔狼王ゼラヒムの手によって更に暗黒闇世界へと変貌していくさまをラグナは遥か上空より見物していたのであった。
暗黒魔界の瘴気により闇の密林へと変貌をとげた元迷いの森の更に内側へと瘴気は流れ込んでいっていた。
瘴気が流れこむと、その場所には、暗黒魔界の植物が芽を出し始めていき、即座に大木へと成長し、ギルビア魔法王国の廃墟も密林へと姿を変えていった。
そして、24時間の時間が流れていた。
高層タワー郡だけが密林から飛び出している状態である。
ギルビア魔法王国が存在した場所には闇の密林が存在していた。
そして、高層タワーの上層階の一室では小杉優作が地上を見下ろしていた。
小杉優作は下界を見下ろしながら、事態の一変に気付いていた。
いや、むしろ、気付かない方が可笑しいくらいに下界は密林に覆われていたのであった。
小杉「何だ?何がおきている?この私の作品達が大きな生物に食べられているではないか!!?いや、っというか、あの森は何だ?」
小杉は事態の急変に驚いていた、っが、小杉は足元にある大きなプレートの上に足を置いた。
小杉「フハハハハ、この私は天才だぁ、何処の誰かは知らんが、私に挑んだ事を後悔するがいい!!」
小杉はそう言うと足元のプレートを強く踏んだのであった。
ピコーン、ピコーン、ヴォーーーーーーーーーーン!!
何かの動力が作動した。
小杉「マザーよ、侵入者があれば全て排除しろ!!」
声「ワタシハマザー、ハカセ、ワタシヲヨビマシタネ、イマカラ、タワーナイブノシンニュウシャヲミツケシダイサクジョイタシマス。」
小杉「フハハハハ、私の最高傑作の魔学コンピューター《マザー》は最強だ、この天才に挑んだ事が運の尽きだったな、闇の暗黒の軍勢達よ。」
そして、《マザー》が高層タワー内部のメカ類を全て起動させていったのであった。
ヴォーーーーーーーーーーン!!
ヴォーーーーーーーーーーン!!
ヴォーーーーーーーーーーン!!
ズシンッ!ズシンッ!
ズシンッ!ズシンッ!
ズシンッ!ズシンッ!
高層タワーの至る所に設置されていた様々なメカ郡が起動していった。
その頃、ゼラヒムとバルワルドは小杉優作のいる高層タワーの一階の入り口まで来ていたのであった。
バルワルド「ゼラヒム様、ここのようですね。」
ゼラヒム『でわ、先に進もうか。』
そのとき、高層タワーの入り口のドアが自動に開いたのであった。
それはまるで、中へと導かれているようにも思えた。
ゼラヒムとバルワルドは無言で進んでいく。
二人は立ち止まった。
バルワルド「普通の者であれば、ここから先は体がバラバラになるだろうが・・(微笑)」
二人の目には見えない光線も全て見えていたのであった。
目の前には網目に張り巡らされた光線がびっしりと貼られていた。
二人は何も躊躇せずにそのまま前へ進み始めた。
彼らは普通に何も無いかのように進んでいるではないか。
光線は彼等を切り裂くどころかダメージさえも与えていなかった。
彼らが普通では無い事を物語っている。
そして、光線地帯を彼等が通り抜けしばらく進んだ場所に大きな広間がでてきた。
中央には大きな階段が3階あたりまで続いているようだ。
辺りはシーンと静寂が漂っている。
二人の足はそのまま階段に進んでいた。
ちょうど、2階辺りまで進んだ頃合であった。
3階付近より妙な音が響いてくる。
ズシンッ!ズシンッ!
ズシンッ!ズシンッ!
ズシンッ!ズシンッ!
バルワルド「ゼラヒム様、音がしますが気配を感じませんね、恐らくメカ、ロボットという物でしょうか?」
ゼラヒム『そういう物は数万年幾度となく見てきたわ、魂の無い存在だ。』
彼らはそのまま階段を上がっていくと、そこには大きな巨人?のような物がいっぱいいたのであった。
そして、彼らに襲いかかってきたのであった。
バルワルド「彼らは魔殺石で作られておりますね。」
ゼラヒム『無駄よぉ』
ゼラヒムの体から物凄い魔力のオーラが噴出した。
ロボット達は襲いかかるも虚しく、彼等の寸前の所で次々とばらばらに粉砕していった。
ゼラヒム『魔殺石など、効きはせぬ、皆無に等しい。』
バルワルド「フッ(微笑)、確かに、それが効くようであれば、我らとてとっくに数万年前に滅っされているわ。」
ゼラヒム『暗黒魔界最下層自体がここでいう魔殺石という物でできているというのにな。(微笑)』
バルワルド「魔王や邪神どもが普通に支配していたわ、我ら魔狼星とて魔王クラスの存在、かえって心地よいわ。」
彼らの周囲の巨人達は全てばらばらに粉砕されていた。
ゼラヒム『先へ進もうか。』
バルワルド「ははっ。」
彼らは前へと進み始めた、至る所のカメラが彼らを監視していた。
高層タワー上層階。
小杉は彼等を監視していた。
小杉「奴らはいったい何者なんだ?」
小杉は震えていた。
それはけっして怯えてでは無い。
武者震いであった。
小杉「すっ、素晴らしい!!マザーよ!奴らを捕らえよ!!」
マザー「ビビービビーカレラノマエデハセイギョデキマセン・・・」
小杉「なっ!マザー!!?なんとかしてでも奴等を実験体にしてやりたいのだが・・・なんとかしろマザー!!」
マザー「ハカセ、リョウカイシマシタ・・」
小杉が更に別のボタンを押したのであった。
小杉「マザー安心するがいい、貴様のリミットを今解除した、思う存分暴れてくるがいい、捕らえるのが無理であれば殺して持ってきてもよいは、フハハハハハハハハハハハ・・・・(笑)」
その頃、ゼラヒムとバルワルドはエレベーターの前に立っていた。
バルワルド「ゼラヒム様、これに乗れば向こうの罠にはまりに行くも同然ですが?」
ゼラヒム『怖気づいたか?』
バルワルド「いいえ、嬉しいのですよ。(微笑)」
ゼラヒム『さぁ、行くぞ。』
っと、エレベーターに二人が乗り込んだ時であった。
マザー「ワタシハマザー、アナタタチヲトラエマス。」
エレベーターの扉が閉じた。
そして、エレベーターは一気に急加速で最上階あたりまで上がると、こんどは一気に下へ降下し始めたのであった。
だが、彼等はまったく動じていなかった。
ゼラヒム『ぬるい、この程度か、つまらん、遊びはここまでだ。』
バルワルド「そのようですね、フッ(微笑)」
バルワルドが意識を集中しはじめたのでった。
バルワルド「見つけました。」
その時ちょうどエレベーターは一階付近まで急加速で急降下してきていた。
ドバガッシャーーーーンッ!!??
エレベーターは衝突していた。
高層タワー上層階。
小杉「マザー?マザー?でかしたぞ、肉片でも良いので採取してくるのだ!!」
マザーの反応が無い。
小杉「マザー?どうした?」
小杉がマザーへ話しかけていたがまったく反応が無かった。
コツ
コツ
コツ
コツ
小杉の背後より足音が聞こえてきたのであった。
小杉「ん?」
小杉は背後に振り返ると二人の男が立っていた。
その一人が大きな球体を手に持っていた。
バルワルド「マザーとは、これの事かな?」
グシャッ!!
ボンッ!!
パラパラパラパラ・・・
小杉「マザー!!?・・きっ貴様らぁー!」
ゼラヒム『バルワルド、貴様は下がっていろ。』
バルワルド「ははっ!」
小杉は逆上していた。
小杉「まったく、マザーが役に立たんとは・・・仕方無い、私自らで相手をしてやろう!」
小杉がまた足元のプレートを踏むと、今度はロボットのアームのような物が床からいくつも出現しだした。
そして、そのアームは小杉と合体した。
小杉「これはまだまだ科学です、私は天才魔学者、これだけではありませんよ。」
小杉自身が魔力を帯び始めたのであった。
バルワルドは何も言わず見物している。
ゼラヒム『フッ(微笑)』
小杉は魔力を帯びた複数のロボットアームでゼラヒムを襲い始めた。
ドガッ!!
ズーーーン!!
ゼラヒムは軽く腕でそのアームを止めた。
ゼラヒム『つまらんな・・』
ゼラヒムの体から魔力のオーラが滲み出す。
小杉の帯びた魔力がゼラヒムの強大な魔力の前に吹き飛んだ。
ボーンッ!!
ボーンッ!!
小杉と合体していたアームが次々と破壊していく。
ボーンッ!!
ボーンッ!!
そして、気付くと小杉はボロボロになっていた。
小杉「・・私は天才だぁ・・・」
小杉は既に戦意を失っていた。
小杉「負けた、早く殺れ。」
っと、その時であった。
小杉の体に異変がおこり始めた。
小杉「ぬぁぁ亜あーーぁぁぁああぁぁぁああ!!!!!」
小杉の体から闇が滲み出てくる。
ゼラヒム『なんだ?』
そして小杉の体がみるみるうちに禍々しい形態に変化していった。
小杉「ぬぉぉおおおおぁあぉぁああああ!!」
左右から禍々しい腕が何本も生えてきている、それだけでは無い、体自体が巨大化しているではないか。
そして、背後からは大きな翼が12も生えてきた。
足はごつごつとふてぶてしい形をしている。
顔も禍々しい顔へと変化を遂げていっている。
小杉「ぬぁあおぉぉ・・ラグナ・・謀ったな!・・ぉぉぉぉぉおおお・・」
そして、ゼラヒム達の目の前には変わり果てた小杉が立っていた。
頭からは色々な方向に曲がった角が生えている。
そして口からは大きな牙が何本もむき出しにでてきており、よだれが床にぽたぽた流れ落ちている。
すでに、小杉の意識は消えているようだ。
グルグル・・・
そして、小杉はゼラヒムを叩きつけた!!
ズーーーンッ!!
ゼラヒムは床にめりこんでいた。
グルグル・・・
闇が小杉の体のあちこちより噴出している。
バルワルドは離れた場所で無言で見物している。
ゼラヒムはめりこんだ床の中からゆっくりと浮上した。
ゼラヒム『少しは楽しませてくれそうだ・・』
ゼラヒムがカッ!!っと鋭い眼光で小杉を睨みつけた。
ボンッ!!
小杉の足が一本吹き飛んだ。
小杉はそのままゼラヒムに襲いかかろうとした、その時であった。
ゼラヒムの体に変化が現れてきたのである。
ゼラヒムの周囲には邪悪なる波動がひしめき始めたのである、小杉はゼラヒムに近寄れない。
そして、ゼラヒムは巨大な魔狼の姿へ変化していた。
全身銀色の毛で覆われている。
そして大きな銀色の翼が生えている。
バルワルドの口が動いた。
バルワルド「終わったな。」
グルグル・・・
そして、魔狼変化したゼラヒムは小杉に跳びかかった!!
ガァーーーーーー!!!
ギャォーーーーー!!
メリメリ・・
バキボキバキバキ・・
ゼラヒムが小杉を骨も肉も貪り食べていた。
辺りには真っ赤な鮮血が飛散している・・
そして、最後には何も残っていなかった。
気付くとゼラヒムは元の姿に戻っていた。
ゼラヒム『食事は終わった、行くぞ。』
そう言うと、二人は部屋から出て行ったのであった。
遥か上空。
ラグナ「フフ(微笑)、博士さようなら、後は引き継いであげますね。」
堕天使ラグナはそう呟くと大空へと羽ばたき消え去ったのであった。