作:邪神王ウロボロス
まだ、最上は使者がすべて皆殺しになった事は知らなかった。
ドルフ帝國の使者は皆殺しにされ、中にはまだ息がある者もいたが
帝國兵A「う・・うう・・」
帝國兵B「母さ・・ん・」
生きていようがすべて魔狼の餌にされた。
そう、ファンファンらの拠点にしている城塞には全長30mはあろうかという魔狼を番犬がわりに3頭飼っているのである。
魔狼は暗黒魔界の上級魔物の一種である。
帝國兵A「ぐぎゃ!!」
ボキィ・・バリバリ!!
骨が砕ける音とともに魔狼は帝國兵を貪り食っている。
その食欲は底無しで最高司祭ファンファンにも手が付けられない程である。
まれに妖魔が食べられているが誰も何も言わず、暗黙の了承とされていた。
そう、腹を空かさせて自らが魔狼に食べられるのを恐れているからである。
あと、魔狼の吐く息は猛毒であり、触れたら一瞬で腐り朽ちてしまうのである。
兵士達はその息に触れる事も恐れていた。
教団兵A「世話係がいなくなったからなぁ。」
教団兵B「奴が脱走しなけりゃ、俺達が面倒見る必要も無かったのになぁ。」
そう、以前、魔狼の世話をしていたのは愚者皇だ。
子犬のように彼にだけは不思議となついていたらしい。
教団兵B「ぎゃ!!」
ごくたまに教団兵も魔狼は食べていた。
その頃、謁見の間では。
邪神王『ファンファンょ・・』
空間の歪みから邪神王の声がした。
ファン「陛下、どうなされましたか?」
邪神王『愚者皇が逃げたらしぃのぉ・・』
ファン「は、さようでございます」
邪神王『本来ならば我自ら蹴散らしたいとこだが、まだ体が思うように動かぬ』
ファン「陛下、御心配には及びません」
ファンファンの口に不敵な笑みがこぼれる。
ファン「以前、愚者皇が可愛がってた魔狼が3頭おりまして」
邪神王『魔界の魔狼か・・総べて貴様にまかせた・・』
邪神王の声とともに空間の歪みが消えていった。
ファン「みなのもの!!禁呪の用意をせよ!!」
そう、ファンファンは愚者皇の可愛がってた魔狼に禁呪を施し、凶暴化させて元飼主の臭いを追跡させ食い殺させようと考えたのであった。
ファンファンは思った。
ファン(自らが世話した魔狼に貪り食われる愚者皇よ、哀れな奴だ・・)
教団兵C「ファンファン様、用意がととのいました。」
禁呪の儀式の用意がととのった事を兵がファンファンに告げた。
ファン「では、早速始めよう。」