作:邪神王ウロボロス
何処までも果てしなく続く森林道・・・
人が何かを求め、新天地を求め、交易を求め、道を切り開いていった・・・
そこには、以前は盛んに旅人がたくさん通っていたのであろぉ・・・
たまに通る者と言えば、魔物であるか、戦える者であるか、ただの物好きであるか・・・
今は、魔物が徘徊する危険な世の中でもあり、旅人は・・あまり・・そこを・・とおらなぃ・・
コンコン・・
森林道のすみにごく普通の狐が一匹いる。
そして、森林道を歩いてくる集団がいた。
兵士1「ふぅ、やれやれ、遠いなぁ・・国境はまだかなぁ。」
兵士2「なぁに、もぉすぐだぁ、帰ったらぁ酒でも飲もぉ。」
どうやらドルフ帝國の偵察兵のようだ、3人?いや4人はいてる。
彼らは国境周辺の広域に及ぶ偵察の任に就いていたが、どうやらその任が済み帰る途中であるようだ。
兵士3「あれれぇ?、珍しい、こんな物騒な世になっても狐がいるとは。」
兵士の一人が森林道のすみにいた狐を見つけた。
コンコン・・
兵士2「おっ、それは珍しいなぁ。」
兵士4「おお、珍しいなぁ、普通の動物がいるとは。」
兵士2「こんな魔物が徘徊する物騒な所にいてはこいつも格好の餌になっちまうぞ。」
兵士3「どうしようかあ?。。連れて帰るか?」
コンコン・・
狐は兵士の足元にいた。
兵士1「やれやれ・・・魔物が多いだけに俺達には警戒してないぜこいつ。」
兵士2「しかたがない、連れて帰ろう。」
兵士達はその狐をドルフ国境内に連れて帰る事にしたのであった。
兵士2が狐を抱き抱えると再び国境へと向かって帰っていった。
兵士達は国境の大きな門の前まで来ていた。
門は頑丈な創りをしており、内側より何重にも鍵がかけられていた。
門のすみには小さな小窓が付いており、兵士の一人がその小窓を叩いた。
コンッ! コンッ!
すると、中から守衛兵が何かをぼそぼそっとつぶやいたのであった。
守衛兵「お前の足は何本?」
兵士2「お前の足は5本?」
すると、守衛兵が門の鍵を全て開錠しはじめた。
どうやら、それは合言葉であったらしぃ、その合言葉はけっして敵に悟られてはならないので、各兵団が国境外に出る度に守衛兵が考えて兵士達に伝えられる仕組みになっていた。
ガチヤッ!
ズズズズズズズズッ!
ガチャッ!
ズズズズズズズズッ!
ガチャッ!
ズズズズズズズズッ!
いったい、何重に錠がされているのであろうか?、鍵を開けては捧を引き抜く音がひっきりなく続いていた。
ガチヤッ!
ズズズズズズズズッ!
ガチャッ!
ズズズズズズズズッ!
ガチャッ!
ズズズズズズズズッ!
十数回音は続いた後、何重にもかけられていた鍵が全ての開錠が終わったようである。
大きな門は轟音とともに開いたのであった。
ガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!
それはそれは大きな音であった。
この大きな門は開けると大きな音がする仕組みとなっている。
何故そのような仕組みにしてあるかというと、この暗黒の世で国境外は非常に危険地帯となっており、そのような場所とを繋ぐ門である。
さすがに無音では何に侵入されても兵士達は気付かないままとなってしまい、たちまちに外敵の侵入を許してしまう事になるのである。
その為に、門の閉開時には大きな轟音で中の兵士が門が開いた事を察知できるようにしてあるのだ。
さすが屈強を誇る大帝國、ドルフだけの成し得る対策であった。
このような造りをしている門のおかげで、守衛兵も少数ですみ、尚且つ彼等も交代で気軽に休憩などが取れるのであった。
そのような小さな配慮気配りがあればこそ、兵士達の帝王最上への忠誠心は高いものとなっていると言っても過言では無いのである。
ガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!
そして、門が開くと守衛兵が出てきたのであった。
守衛兵「この度の偵察任務、大変御苦労であった。」
守衛兵が兵士達の抱き抱えるものに気付いた。
守衛兵「・・ん?、その抱いてるのは狐ではないか?どうしたんだ?そんな珍しい動物、何処にいたんだ?」
兵士3「俺が見つけたんだ、森林道を歩いてると道のすみっこにこいつがいたのであんな物騒なとこにいてはいつか魔物の餌になるだけだから連れて帰ってきたんだ。」
守衛兵「そうかぁ、そのような動物が再び安心して暮らせる世が再び早く来ると良いものだなぁ、ハッハッハッ(笑)」
兵士2「それもそうだな。ハッハッハッ(笑)」
守衛兵との会話を終えると兵士達は門の中へと入っていった。
そして、しばらく兵士達が中へと進むと小さな小屋が見えてきた。
兵士2「さてさてようやく着いたなぁ。。」
兵士1「そうだなぁ。。」
兵士3「早く報告済ませて解散しようぜぇ。。」
兵士4「我が家に帰って酒でも飲みてぇなぁ。。」
兵士達は小屋の中へ入っていった。
小屋の中へ入ると兵士が一人、椅子に腰をかけていた。
4人はその兵士を見るとすかさず揃えて声を出した。
兵士1・2・3・4「ただいま広域偵察任務、無事完了いたしました!!」
兵長「うむ、御苦労であった!、状況はどうであったか?」
兵士2「以前、変わらずでございました。」
兵長「うむ、今日は帰って休むがいい、次の任はまた報告する。」
兵士1・2・3・4「ははっ!!」
兵士達が小屋を出ようとしたとき、兵長が兵士の抱き抱える動物に気がついたのであった。
兵長「まてっ!その抱く物はなんだ?」
兵士2「ははっ、これは森林道で見つけた狐でございます。」
兵長「この御時世、珍しい動物だな、まぁいい、早く連れて帰って餌でも与えてやれ。」
兵士2「ははっ!」
そして兵士達は小屋を出て解散し各々が我が家へと帰って行ったのであった。
兵士2は町外れの小屋に着いていた。
兵士2「ふぅ・・ようやく休む事ができる。。」
コン
兵士2「おっ、そうか、忘れてたお前にも餌をやらねばな。」
狐『餌はお前でいいよ』
突然、狐が喋った。
そして、狐の姿がみるみる変わっていき、兵士の目も前には巨大な狐がいた。
兵士2「なっ!!何っ!!やはりただの動物ではなか・・うっ・・(不覚!・・魔物だったとは・・)(金縛り)」
兵士2は狐の魔力の前に金縛りで動けなくなっていた。
狐『ここまで御苦労であった、御褒美に食べてつかわす。』
兵士2「・・・・・・(なっ!!何!!?)(金縛り)」
その巨大狐の容姿はとても美しいものであった。
色は真紅に燃えるような赤、鋭く妖しげな眼、そして、何よりも特徴的なのは尻尾が九本もあるのであった。
兵士2はただただ狐の魔力で金縛りにあいつつも、その妖狐の姿に見とれてしまっていた。
狐『最後に私の名だけでも教えといておげるよ。』
兵士2「・・・・・・・(うっ美しい・・)(金縛り)」
狐『邪神王様に仕える四魔帝、妖狐帝の九尾様と覚えといてくださいな。っと言っても、もぅ死ぬんだけどねぇ(冷笑)』
兵士2は金縛りになりつつも、その名前を聞いて冷や汗が全身から滲みでていた。
そして恐怖のあまり、顔はみるみる青ざめていった。
兵士2「・・・・・・・(なっなんてことだ・・ただの魔物では無かったのか・・だが、もぅどうする事も・・)(金縛り)」
九尾『おやおや、状況がやっとわかってきたんだねぇ(冷笑)』
九尾はそう呟くと兵士を一口で食べてしまった。
一瞬の出来事であった、おそらく、兵士も食べられた事に気付かないで死んだであろぅ。
そして、九尾の姿がみるみる変貌してき、その姿は食べた兵士の姿であった。
九尾『しばらく、こいつの姿になりすましておくとしますか、フッ・・フッ・・フッ・・(冷笑)、さて、早速出かけるとしましょう。』
九尾はそう呟くと小屋から出て町へと向かった。
ドルフ帝國、さすがの近代城塞都市、辺りは工場の煙が至る所から噴出していた。
中央には最近建造されたばかりの新しい帝國府のシンボルでもあるエンペラータワーが建っている。
それを見た九尾は満足気な顔をしていた。
九尾『ほぉ〜なかなか良いとこですねぇ(冷笑)』
だが、九尾が向かったのはドルフ中枢部の方向では無く東の国境方面へと足の向きを変えたのであった。
東の国境、そこはヤマト神国との国境でもある。
九尾は兵士の姿をしていたので、誰も警戒する事もなくなんなく国境手前まで着いていた。
そして、九尾は国境沿いの壁に何かを見つけたのであった。
九尾『穴?綺麗に開いてますね、誰が開けたのでしょうか?まぁ、ちょうど良いので通らせてもらいましょう。』
九尾は国境の壁に人一人通れる程の穴を見つけていた。
その穴は以前に、拓ノ心が斬鉄剣で開けた穴であった。
九尾『どうやら、この壁を境目に大きな結界の力を感じますねぇ、ですが私にはそのような結界など無力です、この姿もここまでですね。』
九尾は壁穴の前でそう呟くと、みるみるまた再び小さな狐の姿になっていた。
九尾『この小動物の姿であれば、誰も警戒する事も無いでしょう、フッ・・フッ・・フッ・・(冷笑)、さて行くとしましょうか。』
九尾は穴を通り抜けてヤマト神国の領土内へ入っていった。
九尾には己の魔力を完全に消す事ができたのである。
そして、狐の姿になる事により人を完全に油断させる事も容易い事であった。
この九尾もまた、四魔帝の妖狐帝とも呼ばれる所以でもあった。
九尾は狐の姿でヤマト神国の深い森の中を駆けていた。
さすがのヤマト神国、結界に守られているだけの事があり、魔物、物の怪の類がまったくと言って良い程に森にはいなかった。
普通であれば、九尾が狐の姿をしておれば、すぐに魔物が捕食しようと襲いかかるであろう。
まあ、九尾を襲った魔物の方が可哀想であるが。
九尾は本来ならば空間を瞬時に移動できるのであるが、わざわざ狐の姿に化けて移動しているのも一つの目的があるからであった。
といっても、九尾は狐の姿に化けていると言うより、戻っていると言う方が言い方が正しいのである。
彼は本来、狐であった。
今や過去形であるが・・・。
それはまた別の機会に話すとしよう。
一方、何故、彼が狐の姿で移動しているかというと、色々と地理を確かめていらり、状況の把握、など様々な理由である。
彼は自らの肉眼で確かめるのが主流でもあった。
九尾がしばらく駆けていると、森が切れて大きな街が見えてきた。
その街は物凄く栄えているように見える。
中央には大きな城が見える。
桜花城である。
そして、その周囲で栄える繁華街は城下町である。
九尾『ふ〜ん・・あれにしよう・・夜を待つとしようか。フッ・・フッ・・フッ・・(冷笑)』
九尾はそう呟いてから夜を待ったのであった。
そして、時は過ぎて夜になり辺りは暗く静けさを漂わせていた。
カーンッ!!
カーンッ!!
町人「火の用心っ!!」
カーンッ!!
カーンッ!!
町人「火の用心っ!!」
カーンッ!!
カーンッ!!
夜の街中は静寂の中に防火運動の声が響き渡る空間になっていた。
一匹の狐はその闇の中を駆けぬけるように城へと向かっていた。
九尾は城の堀にまで辿り着いていた。
九尾は堀の中を眺めた。
九尾『美味しそうな魚が泳いでますねぇ・・』
九尾は堀の中に大群に飼われている肉食魚『無頭撫』を見てそう呟いた。
九尾はサッとジャンプすると軽く堀をまたいで越えた、そして九尾には何の障害も無く次々と堀を飛び越えていった。
夜の暗闇の中ではその姿を誰も見つける事などは無かったのであった。
そして、九尾は城の天守閣の屋根の鯱までジャンプして辺りを見回した。
九尾『良い景色ですね。この国をいただくとしましょう。フッ・・フッ・・フッ・・(冷笑)』
九尾はそう呟くと天守閣の屋根からスッと姿を消したのであった。
たくさんの部屋のある城内の一室、征夷大将軍が眠る部屋まで九尾はきていた。
大殿「スー・・スー・・」
大殿は深い眠りについていた。
九尾は大殿の枕もとに行くと、大殿の額に前足を頭に置いた。
そうすると大殿の寝息が次第に荒くなり、大殿はうなされ始めたのであった。
九尾『この男、ここの主のようだな、今まで御苦労であった、これからは引き継いであげるよ。フッ・・フッ・・フッ・・(冷笑)』
九尾はそう呟くと姿がみるみる内に妖狐の姿へと変貌していった。
そして、九尾は自身の尻尾を一本ちぎると大殿の顔の上にそっと置いたのであった。
大殿「うっ・・・ぎゃ!!・・・・」
九尾の置いた尻尾が大殿を頭から食べ始めたのであった。
さすがの大殿も顔の上にそのような物を置かれては叫ぶ事もできず、あっというまに食べられてしまったのであった。
尻尾は大殿を食べ終わると大殿と同じぐらいの大きさにまで成長していた。
そして、尻尾がモコモコといたるところが動きはじめてから、しばらく時間が経過した後には大殿へと変身していた。
九尾『お前の名前は将軍。今日よりそぅ呼ぶ事にする。フッ・・フッ・・フッ・・(冷笑)』
将軍「にやり(冷笑)」
そして、明くる朝、ヤマト神国の桜花城では大殿の変貌に気付いた者がいた。
宮廷陰陽師の優希尋であった。
優希はいつもと変わらぬそぶりで大殿の左横に座した。
大殿からは妖しい気配を優希は感じとっていた。
大殿の口が動いた。
将軍「この中にうつけがおるわぁ。」
大殿が左を指さした、その先には優希がいた。
将軍「この者をひっとらえぃいっ!!地下牢へ繋いでおけぇ。」
優希「なっ・・!!(やはり!?)」
優希は大殿により牢獄へと入れられてしまった。
大殿の間に一人の妖しげな男が入ってきた。
将軍「紹介しよう、新しい側近、九尾だ、皆の者よ。今日よりこの九尾の声は我が声と思うのじゃ。」
そう、すでに大殿は九尾の一の尻尾《将軍》であった。
そして、優希は牢屋の中に閉じ込められてしばらくの刻が過ぎていた。
優希「・・・(策を練らねば・・どうしたものか・・)」
こうして、桜花城は九尾により乗っ取られてしまったのであった。
国の中枢に成り代わるだけで全てを制する九尾の策であった。
九尾は他の四魔帝とも、引けもとらぬ魔力を当然の如く持っているのだが、ただ己の力のみで制する事を好まず、常に最小限の力で頭を使い魔力を出さずに制する事を好んだうえでの事でもあった。
ちょうど、その頃、ヤマト神国の東部にて一人の男が倒れていた。
その男の容姿は騎士のようであるが、かなりの怪我をしている。
鎖国状態のヤマト神国にいったいどうやってこの男は来たというのであろうか。
騎士「うぅ・・」
ちょうど、その側を一人の男が通りがかった。
男「おっ!これは大変だぁ、手当てをしてやらねばな。」
男はそう呟くと軽く担いで山小屋へと連れて帰ったのであった。
騎士「・・うっ・・うう・・こっここは?」
騎士が気付いた。
男「御主、気付かれたか、まぁ飯でも食え!」
男がぐつぐつと煮える鍋から柄杓で器に注いで騎士に手渡した。
男「川魚の汁じゃ、精が付くぞ、たくさん食え!」
騎士は手渡された器を口に持っていくとがむしゃらに食べた、そして、何杯もおかわりをして手を止めた。
男「ワシの名は左京大夫と申す、御主の名は何と申す?その怪我、ただ事ではないようだな?」
騎士「・・・・名?・・・思いだせん・・・誰なんだ?・・」
どうやら、騎士は頭を強くぶつけていたようであり、記憶喪失になっていた。
左京大夫「御主、名を思い出せぬか、仕方あるまいな、名無しさんとでも呼ばせてもらう事にするよ。」
名無し「名無し・・思い出せない・・」
左京大夫「まぁ、そぅ気を病むでない、時間とともに記憶など戻る。それより、御主のこの武器なんじゃが、刀では無いな、この見事な異国の装飾、とても素晴らしい。」
左京大夫は名無しの持っていた剣を手に取っていた。
左京大夫「わしも多少は勉強した事があってな、神剣というがあるらしぃな、これがそれかもしれんな?」
名無し「・・・名は思い出せないが、それは覚えている。神狼剣ネファローズという剣だ、それよりあれは何処へやった?」
左京大夫「あ〜ぁ、あの物騒な赤い鎧なら脱がして外へおいてある。安心しろ売ってはおらぬ(笑)、所々から火がでてたもんでな、不思議と全然熱くなかったが、小屋が燃えては困るんでな、勝手に脱がせてもらったよ。」
名無し「そうか・・」
左京大夫「何も無いとこじゃが、しばらくここでゆっくりとしていくといい。まだ動けぬじゃろぉ?(笑)」
名無し「・・・すまぬ。」
この騎士こそは聖将フィンドルフと呼ばれた男であった、記憶を失いヤマト神国まで飛ばされていたのであった。
この左京大夫とはいったい何者なのだろうか・・・・