作:邪神王ウロボロス
クルトは山頂の手前まで登ってきていた。
さすがにここまで登ってくると、先ほどの魔獣グリフォンの咆哮が大きく聞こえてくる。
クェ〜〜〜〜ン!!
クェ〜〜〜ン!クェ〜〜ン!!
それでも尚、クルトは頂上を目指した。
魔獣グリフォンの咆哮は更に、更に、とぉとぉ間近に聞こえるようになってきたのであった。
クェ〜〜〜〜〜〜〜ン!!
クェ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!
クルトはとぉとぉ魔獣グリフォンを視覚で確認できる位置まで登ってきていた。
頂上、大きな岩の上には、上半身は鷲、背中には鷲の翼、そして下半身はライオンであった。
クルト「・・・・(でかいなぁ、あれが噂の魔獣グリフォンなのか。)・・うっ!!」
クルトは石に足をつまずいた。
ガラガラ・・
足元にあった石が斜面を転げ落ちていった。
クルト「(しまった、見つかったか?)」
魔獣グリフォンは、今の石の転げる音でクルトの気配を感じ、警戒して鳴くのを止めた。
クルト「(鳴くのを止めたぞ?ばれたか。くそっ!)」
魔獣グリフォンは、警戒しつつ辺りをキョロキョロと見回している。
クルト「(ここでしばらく隠れて様子を伺うとするか。)」
クルトは側にあった岩陰に身を寄せて隠れた。
だが、魔獣グリフォンは既にクルトの気配を察知していたので隠れても無駄であった。
クルト「(まずい・・こっちへ来るぞ・・)(冷汗)」
っと、その時、魔獣グリフォンのいてた大岩の後から何かの音がした。
ヒヒ〜〜ン
馬の鳴き声に反応して魔獣グリフォンは大岩の方へ戻っていった。
クルト「・・・(馬?、そういえば、馬を好んで食べると聞いていたが?馬がここにいてるはずが無いはず、では何だ?)」
クルトは、魔獣グリフォンに牧場を襲われたという話をよく耳にしていたので、馬がいてる事を疑った。
しかし、どうやら大岩の後に馬がいてるようである。
クルト「・・・(間違いない、馬だ。でも、何故?・・・・・っまさか!・・しかし、あれは伝記上の生物のはず・・だが、もし、そうなると大変だ。っが、しかし、やるしかない。後戻りはできない。)」
クルトは、剣技大会の優勝したときに贈呈された白銀の剣を帯剣していた。
クルト「・・・(しかし、確認しないといけないな、もう少し近づいてみるとしょう。)」
クルトは魔獣グリフォンの隙を見ては徐々に距離を詰めていった。
そして、大岩の後側が少し見えた、美しい馬が一頭、そこにはいた。
クルト「・・・(やはりな、おそらく牝馬のはず、さもなくば不自然だ。いや、そうであっても不自然か。)」
クルトは馬の方へと近づいていった。
クルト「・・・(馬がいるという事は間違いなく《あれ》もいてる可能性が大きい。)」
クルトは足元にあった大きめの石を一つ手にすると、すぐさま馬の方向に大きく投げた。
投げた石は見事に馬に命中した、馬は石に驚いて駆けだした。
その駆けていく馬に魔獣グリフォンが気付いて追いかけていったので、その隙を見て馬のいた場所へクルトはささっと駆け寄った。
クルトは何かを目にした。
クルト「やはりな、だがまだ生後数日だな。お前には悪いが今からする事で怨むなよ」
クルトはそう言うと魔獣グリフォンが戻ってくるのを岩下に身を潜めじっと待った。
しばらくすると、魔獣グリフォンが馬と一緒に戻ってきた。
クルト「(よし、だが、まだ距離がたりない。)」
そして、魔獣グリフォンは元いた場所に戻り落ち着き、馬も元いた場所に落ち着こうとしたがクルトがいたので警戒して少し離れた。
クルト「(この距離なら問題無い、動かないでじっとしていると助かる。)」
クルトは呪文を詠唱しはじめた。
クルト「・・ぶつぶつ・・我、汝に命ずる、その身を封印、汝の御霊を捧げよ。」
しかし、何もおこらない。
クルト「(くそっ、元気すぎたか、戦うしかないな。)」
クルトは腰に帯剣していた白銀の剣に手をやった。
クルト「(よしっ!根性だけで行くぞ!卑怯かもしれないが悪いがお前を使う。)」
クルトは足元にいたものを抱えて盾代わりにして、魔獣グリフォンに斬りかかった。
クルト「ヤァッ!!」
クェ〜〜〜〜〜〜〜ン!!
クルト「ヤーァッ!!」
クェクェ〜〜ン!!
魔獣グリフォンはクルトが盾代わりに抱えているものを気にして襲いかかる事もできずに、クルトの剣撃によって致命傷を負った。
クハァ・・・クハァ・・・クハァ・・・
魔獣グリフォンの息が荒くなり横たわっている、それを見た牝馬は魔獣グリフォンのそばに近寄ってきて寄り添っていた。
クルト「すまない・・・・」
クルトは再び呪文を詠唱しはじめた。
クルト「・・ぶつぶつ・・我、汝達に命ずる、その身を封印、汝の御霊を捧げよ。」
呪文の一部が微妙に違っていた、そして、呪文の詠唱が終わると魔獣グリフォンと牝馬がスッと消えたのであった。
クルト「(これで、牧場なども襲われずに済む、だが、これでよかったのか?・・・・・・・・・)」
クルトは牝馬と魔獣グリフォンが残した子を抱えていた。
クルト「自分勝手な事をして悪かった。すまん、だが、勝手かも知れないがお前の両親は永遠に生きる事になる。悪かった・・・・ごめんな・・・」
クルトは子にそう言うと抱えたまま山を下山したのであった。
あくる日、クルトは学校からフィアナと一緒に帰っていた。
クルト「フィアナ、見せたいものがあるんだぁ、今日、うちに来てくれないか?」
フィアナ「また何かあるのぉ?(笑顔)」
クルト「まぁついてきてからのお楽しみ(笑)」
フィアナ「またなのぉ(笑)、まぁいいわ、行ってあげる(笑顔)」
少し遠いがクルトの家にフィアナは行く事になった。
そして、家に着いて二人は中に入っていった。
クルト「ただいまぁ」
メイア「おかえりぃ、あら、彼女?可愛いじゃない(笑顔)」
クルト「いや・・あの・・友達・・(赤面)」
クルトは顔を赤く染めていた。そして、フィアナがメイアに礼儀正しく挨拶をした
フィアナ「初めましてフィアナと申します。」
フィアナは深々と頭を下げた。
メイア「こちらこそ初めまして、クルトの母です、いつもうちの息子が御世話になり、ありがとうございます。」
クルト「・・・・・・」
クルトはフィアナの手をとってそそくさと階段を登って部屋へと向かっていった。
メイア「お茶とケーキを持っていかなくちゃ(笑顔)」
父のジョセフはどうやら仕事に出かけており家には母のメイアだけのようだ。
メイアは嬉しそうな満面の笑顔で台所へ向かって行った。
一方、クルトは部屋の前まで来ていた。
クルト「見て驚かないでね、これで昨日、父さんに怒られたから(苦笑)」
フィアナは興味深々な顔をしている。
フィアナ「まぁ、いつも貴方の見せるものには驚かされてばかりだから今更大丈夫よ(笑)」
フィアナがそう言うと、クルトは部屋のドアを開けてフィアナと中へ入っていった。
フィアナ「・・・・・これって!・・・」
フィアナが目にしたのは、なんと、上半身が鷲で翼があり、下半身が馬の奇怪な生物である。
フィアナ「これって、もしかしてグリフォン?・・・子供だけど、親は?」
クルトは少し暗い表情になった。
クルト「親は封印した・・最初はグリフォンしかいないって思ってたから・・・後悔してる、だけど、その罪滅ぼしにこいつを育てる事にしたんだ。」
フィアナ「まぁ、仕方無いは、でも、もぅ牧場を襲う化け物はいなくなったのね・・・貴方は悪くないは・・」
しばらく、二人の間に沈黙が続いていた。
クェンクェン?
クェンクェンクェン♪
グリフォンの子供が二人に甘えてきていた。
クルト「こいつは、グリフォンと牝馬の間で生まれたヒッポグリフなんだ。名前はまだ付けてないけど。」
フィアナの顔に笑顔が戻っていた。
フィアナ「可愛い♪これちょうだい♪」
クルト「駄目っ!!」
フィアナ「冗談よぉ♪(笑顔)」
クルトも笑顔が戻っていた。
フィアナ「名前ぐらいつけましょうよぉ♪(笑顔)」
二人は名前を考え出していたがしばらく沈黙が続いたのであった。
クェンクェン?
しばらく沈黙は続いていたが、しばらくするとフィアナの口が先に動いた。
フィアナ「クェンにしましょう♪そう鳴いてるから(笑)」
クルトは悩んだ・・・・
クルト「まぁ・・・クェンでいいか(苦笑)、今日からお前はクェンだ。」
クェンクェン?
フィアナ「クェンよろしく♪可愛い♪」
クェン?
そして、二人はヒッポグリフにクェンと名付けたのであった。