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第64話:=闇よりの使徒=《支配の章 A魔帝狂襲》

作:邪神王ウロボロス


-From 63-


鬱蒼と茂る平原の先には途方にも長く地平線の彼方にも続きそうな石段でできた長城が延びていた。

その平原はどうやら荒野の端に位置しているようだ。

長城には番兵が複数人在中しており、交代で見張りをしているのである。

この長城はガイド公国の国境線を守る壁なのであった。

邪神王の暗黒の軍勢、及び、その近隣の国々が不穏な動きが活発化している事もあり最近では将軍クラスや騎士クラスも番に出ているようであった。

番兵1「ここの見回りも昔は平和で楽だったのになぁ」

番兵2「まぁなぁ、今じゃ魔物が頻繁に壁をよじ登って来るからなぁ、嫌な夜になっちまったなぁ」

番兵1「先週はアレスが魔物に襲われて大変だったからなぁ」

番兵2「幸いにも近くにいた将軍オルビス様が活躍した事で命に別状が無かったからよかったなぁ」

番兵1「何言ってんだ、仮にも番兵なるものが守りもできず守られてたら格好の笑い者だぞ」

番兵2「まぁオルビス様は重甲騎兵団の団長でもあるんだから俺達番兵風情凡兵とは格が違うんだぞ」

番兵3「ふっ、そうだな、笑い者だ(笑)しかし、しかたないだろ、今まで長く平和だったんだからなぁ」

番兵1「そうだなぁ、こんな物騒な世になった今でも壁の内側では町が栄えていたり、恋人同士が語り合ったりと幸せな奴が多い、それもこれもって、俺達が番を毎日かかさず交代で見張ってるおかげってもんだ(笑)」

っとその時、奥の扉から大きな男が出てきた。

出てきたのは強靭な肉体を包むように纏った大鎧が目立つ大男、腰には大きな大剣をさしている。

大男の口が開いた。

オルビス「おい、そろそろ交代してやるから中でゆっくりと休んでこい。」

番兵1・2・3「はっ、ありがとうございます。」

番兵は深く頭を下げた。

番兵2「(危ない危ない、怒られるとこだった・・・・・・あれ?)」

どうやら番兵2には荒野の遠い地平線の彼方に何かが見えたようだ。

番兵2「ん?」

番兵2は目をこすってよぉく見つめていた。

オルビス「どうしたぁ?早く行かないと休む時間が無くなるぞ?」

番兵2「いえ、何かが見えたように思いましたが気のせいでありました。」

オルビス「気のせい?何処だ?」

オルビスも遠くを見つめてみた、すると何かがこちらへ近づいてくるのが確認できたようであった。

オルビス「気のせいでは無いぞ、あれは人だ、このような荒野を一人で歩いてくるとは普通ではありえん!お前たち、休憩は終わりだ、念のため休んでる者も呼んでこい!」

番兵1・2・3「ははっ!(休憩が潰れた・・・・)」

番兵1「(こいつのせいで・・・)」

番兵3「(怨むからな・・・)」




一人の男が荒野を歩いていた。

容姿は黒いボロ布を全身を覆うように纏っている。

ボロの男『(遠くに壁があるな・・・・・壁の向こうから幸福の意思をたくさん感じる。)』

やがて男の足は歩くのを止めた。

ボロの顔部分の隙間から赤い髪が覗かせており、荒野の風に軽くなびかせていた。

ボロの男『(これより先に色々と意思が見える・・)』

ボロの男は止まったまま動か無くなった。




ガイド公国、そこは北にモルド公国、西には光の軍勢と隣接している広い敷地を有した国である。

本来、ガイド公国は昔よりモルド公国とは同盟国であり、商いなどの交易が盛んに行われてた。

現在は遥か西にある戦を好まぬ国であり神に最も近いとされる《神聖国アピス》の英雄マリン・ペルシャーゼが暗黒の軍勢討伐を主に誓い、神聖王ガローエン・ブライアンより認められ独立を果たし《光の軍勢》として、《暗黒の軍勢》に対極する名称を国名に自ら選び決意をあらわしたのであった。

本来、光の軍勢の敷地は神聖国アピスとガイド公国・モルド公国の間にあった国所有のされていない山岳地帯で狭い敷地面積でしかなかったが、ガイド公国の真王ヴァルファーゼとモルド公国の誠王ブリムが両国で協議を開き話し合い、暗黒の軍勢が攻めてきたときは全力で助太刀する事と交易を行うというの盟約を交わす事で両国が無償で領地を分け与えたのであった。

だが、通常そのような簡単な盟約で国の領地を簡単に分ける国など存在するはずもなく、実は昔、英雄マリンに両王は深く恩を受けており、その恩返しだという事もあり、実際は快く譲ったようである。

国民の生まれ育った土地からの立ち退きなどもあるので、表柄はそのような盟約を設定しなくては不平がでてくる可能性があったのである。

だが、実際国民は彼を快く受け入れていたので、さほど何も問題はおこらなかったようである。

今では《光の軍勢》の英雄マリンは光神王マリン・ペルシャーゼとして王位に就いている。

神聖国アピスは有翼種であり、また分家独立をした光の軍勢も有翼種であった。

普段、光の軍勢の有翼種は翼を神聖魔法の詠唱により消し、地上人と同じ姿であったが、光の軍勢の民は独自に戦闘時には素早く翼を出現できるように簡易呪文も開発されていた。

神聖国アピスでは戦を好まぬ故に英雄マリンは神聖王ガローエンとの話し合いの結果、戦をできる国を建てる事を認め、以後建国された《光の軍勢》には戦いたい有翼種の民達や賛成派の民達が移住していた。

三国の交易は盛んに現在も行われており、光神王・真王・誠王の信頼は互いに大きい関係となっていった。

一方、神聖国アピスは地上領地以外に浮遊鉱石で自然にできた空中浮遊領土をいくつか所有しており、地上人には所在が知られておらず、地上人の地図にもその所在は載せられる事は無かったのである。

いくつかの空中浮遊領土、そこには美しくも大きな巨城の建つ浮遊島があり、その偉大なる巨城には王族が住んでいる。

その浮遊島には城下町もあり、他の浮遊島には神殿や街が存在しているのだが、他国の地上人は誰もその城や街や神殿を見た者がいないという。

その理由は、神聖国アピスの有翼種達しか近寄れぬように特殊な神聖結界が貼られており、他国の飛空艇はもちろん空を飛ぶ乗り物があっても有翼種以外は近寄るどころか目視する事もできないのである。

空中浮遊島は神聖国アピスだけあるのではない、世界中のいたる所に存在しているが、神聖国アピスの所有する空中浮遊島のみが神聖結界で守られているのである。

神聖国アピスの北には広大なアピス海があり、アピス海には数々の伝説があり、その一つが海底深く深海には誰もまだ見た事の無い巨大なる海底国家が存在するとの言い伝えがあり、人魚の目撃も多々されていた。

ガイド公国では、長城の壁の内側、領地内では平和そのものであった。

この平和も長城の警備のおかげである故に、名誉である行為と自賛して進んで自ら番兵に志願する者も多かった。

また、隣国三教国のキリル教国・ヘンスト教国とも交易が盛んであった。

同じくモルド公国でも、隣国三教国のヘンスト教国・メルド教国との交易が盛んであったが、ここ最近、メルド教国との交易が突然停止した事やメルド教国に入国していた交易商人からの連絡が途絶えた事で大きく警戒態勢をとり、ガイド公国の支援を得て警戒しつつも長城を建設中であった。




ガイド公国内部のとある町並み、平和そのものである。

一人の若い青年が公園のベンチに腰をかけていた。

青年「遅いなぁ・・・」

青年はそこで誰かと待ち合わせしているようだ。

様々な種類の小鳥達のさえずりが歌を奏で、子供を側で遊ばせて雑談に熱が入る女性達、そこは幸福に満ちた平和そのものであった。


チュン♪ チチ♪ チュンチュン♪

チチ♪  チチチ♪ チュンチュン♪


女性1「あら、奥さんったら。やぁねぇ(笑)」

女性2「本当なのよぉ(笑)」

女性3「まぁ、そぅなのぉ(笑)」

その喋りに夢中な女性達の側の小鳥達のさえずりが歌を奏でている木々の間では、女性達の子供達が走り騒いで遊んでいる。

少年「きゃっははっ、今度はジェイドの鬼だぁ!!♪」

ジェイド「ちぇっ!鬼かぁ・・お前のせいだ。」

ジェイドと呼ばれた少年は側にいた少女を叩いた。

アリア「うっ!・・ひっく・・ひっく・・ジェイドちゃんがアリアをぶったぁ・・(泣)」

ジェイド「うっせぇなぁ、また泣きだしたぁ・・・」

アリア「うっわぁ〜〜ん(泣)」

女性1が近づいてきてジェイドを叱った。

女性1「こらジェイドったらまた妹を泣かせてぇ、何度叱ったらわかるの?」

アリア「ママァ〜(泣)」

ジェイド「ちぇっ、ごめん!!」

っと、その時、若い娘が走ってきてベンチの青年に声をかけた。

若い娘「ごっめ〜ん、待ったぁ?本当に!本当に!本当に!ごめんねぇアレス。」

若い青年の名はアレスというらしぃ。

アレス「全然待ってないから気にしないでぇマイア、さっ久々のデートなんだから早く行こっ!」

若い娘の名はマイアというらしぃ、どうやら二人は恋人同士でデートの待ち合わせをしていたようだ。

マイア「仕事が忙しかったからぁなかなか終わらしてもらえなかったのよぉ」

アレス「全然気にしてないから早く行こ(笑顔)」

マイア「うん♪(笑顔)」

二人は公園から出て街中へと消えていった。

とある繁華街、店が並び大勢の人で賑わっている。

おばちゃん「さぁ、いらっしゃ〜い♪美味しいパンが焼けてるわよぉ♪うちのパンは極上に美味しいよぉ♪今日の晩御飯に買っておいき〜♪」

客「おばちゃんパン5つちょうだいなぁ」

おばちゃん「はぁ〜い♪5つおまたせぇ♪また来てねぇ♪」

客「おばちゃんのパンは美味しいからまた来るよぉ」

街には色々な店が並び賑わっていた、そして誰もが平和に満ち溢れて幸せに生きていた。

ガイド公国の真王ヴァルファーゼの居城、城は国の象徴とも言える場所、ガイド公国の城グレイトホーンは難攻不落の要塞と唄われる程の城である。

城グレイトホーンの城壁は伝説の鉱石《オリハルコン》でできており、いかなる砲撃でもびくともしない壁である。

そして、壁面は精巧に磨かれており、よじ登る事は不可能である程にツルツルに磨かれている。

城は光が反射しやすく、朝日に輝く城は美しい輝きである、また、光を反射さして敵に対しての目くらまし効果を出す事もできる。

交易盛んなガイド公国なだけに、異国よりの技術で城には魔導砲も複数設置されており、極めつけは大型の大魔導砲も設置されていた。

そこはグレイトホーンの真王の玉座、宮廷神官、王宮騎士団、側近達などが真王の側にいる。

ヴァルファーゼ「モルド公国の長城の建設状況は順調に進んでおるか?」

側近「はぁ、先日に伝令兵が報告書を持って参りました。現在、建設は問題無く順調に進んでおりますとの事でした。」

ヴァルファーゼ「そうか・・メルド教国にいったい何がおきたというのか、このような急を要する建設工事も一刻も早く終わらせてから、誠王ブリムにも安心してもらいたいものだ。」

ヴァルファーゼは隣国モルド公国への支援をしつつもメルド教国が気がかりであった。

後に自らの運命を知らずままに・・・




場所はかわり、モルド公国のメルド教国との国境線手前に建設中の長城建設現場、正午の時を刻もうとしている頃合。

長城建設現場では通常の建設現場とは異なり危険を有する仕事となるので囚人達や自ら志願したモルド公国兵やガイド公国兵などが労働に励んでいた。

メルド教国との連絡が一切取れないだけに国境線の警戒態勢での警備状態はこの長城建設中であるだけに一切気を抜いて緩める事はできないのである。

いつメルド教国に動きがあったとしても回避できるように常に万全な警備状態を取り、労働者達の安全を確保していたのであった。

全身傷だらけで独眼で大髭の大男がツルハシを片手に仕事に励んでいた。

その周辺にも、小柄の男や細身の男など外見は様々だが幾多の修羅場を乗り越えてきた事をうかがわせるのは言うまでも無い。

大男の動きが止まった、そして大男が大声で叫んだ!!

大男「めしだめしだぁ、野郎どもぉめしだぁ!!めし食ぅぞぉ!!野郎どもぉ!!」

小男「兄貴ぃ、やったぁ♪飯ですかぃ、この時間が一番楽しみなんでぃ♪」

細男「何が楽しくって俺ぁ達ぁこんな事やらされなきゃならねぇんだぁ・・」

大男「黙りやがれぇ糞野郎どもがぁ!!お前ぇらぁのめし食っちまうぞぉ!!」

小男「兄貴ぃ、それはぁ困る!!ラグーン、ぶつぶつ言うなよぉ」

小男の言ったラグーンとは細男の名前であるようだ。

細男「俺達ぁ何も悪い事してねぇのに、外見だけで判断しやがってぇ捕まえられるってぇおかしくないかぁ?バルガス兄貴ぃ」

大男の名はバルガスというらしぃどうやらこの3人は兄弟であるらしぃ。

バルガス「うるせぇ!!飢え死にしそうだった俺達ぁただめしにありつけてんだぁ!!文句言うなぁ!そのうちちゃんと抜け出す!」

ラグーン「モルドの繁華街にぁ可愛い娘がいっぱいいたのにぃ、ニルスもこんな生活で不満はねぇのかぁ」

小男の名前はニルスというらしぃ。

ニルス「俺達ぁ弟を探す旅を続けるためにゃぁたまには楽な飯も食わないと体力持たねぇだろぉ」

どうやらこの3人は弟を探す旅を続けていた所を入国する際に外見の悪さで捕らえられたようである?

3人は昼食配給される兵の側に進み歩いていた。

ラグーン「たしかにぃ盗みの生活に比べりゃぁたまにはいいかもしんないけどよぉ・・俺達ぁ盗賊だぜぇ?・・」

実は彼らは外見で捕まったのではなく、盗賊四兄弟として国際手配されており、賞金首でもあったので、今は厳重警備中である為に逃げる間も無く兵士達に捕り押さえられてしまい、現在は長城建設の労働者にされていた。

長城の建設現場にいれば、ただめしを食えるだけでなく、逃げるチャンスもじっくりうかがえるとバルガスは判断していたのである。

バルガス「お前ぇら、うるせぇ!」

3人は昼食を配給する兵士の前の人の列に並んだ。

バルガスは前に並ぶ者をカッ!っと睨んだ、すると。

前の男「(また、嫌な視線を感じる・・)」

男は後ろを振り向くと・・・・・びくっ! バルガスと目があってしまった。

バルガス「お前ぇ腹減ってねぇだろぉ?ニヤッ(微笑)」

男「はい、お腹一杯です!(仕方無い、あとでこっそっり後列に並ぼっと・・・)」

男は後ろの方へ去っていった、バルガスは再び前の男を睨む・・・




再び鬱蒼と草木の茂る荒野・・ボロ布の男の足が止まったまま、かれこれ三刻半程の時が過ぎていた。

ボロ布の男『(平和・・・聞きうざい言葉だ・・・)』

・・・ボロ布の男は再び前進しはじめた。

一歩、そして一歩、また一歩と前へと進める足先の先には長城が見えている。

長城の上には兵達が何事か?と騒いでボロ布の男を遠くから眺めている。

ボロ布の男『(さて・・そろそろいいだろぅ・・)』

ボロ布の男がフッっと吐息を吹いた、その吐息は5Km程離れた位置からでもとてつもない速さで突き進んだ。

ちょうど吐息の向かう先、長城の上でじっと遠くのボロ布の男に警戒しつつ眺めているのは重甲騎兵団の団長でもある将軍オルビスであった。

オルビス「あのボロ布が近づいてきておるぞ。」

っと、その瞬間の出来事であった!!ボロ布の男の口からでた吐息が将軍の顔に吹き付けたのである。

オルビス「ぐぁあ!!」

番兵1「えっ!オルビス様?」

将軍オルビスの顔の皮膚がぶくぶくと気泡を浮かべて崩れようとしている。

毛が全部抜けて顔色は緑や紺色のようになり気泡がぶくぶくとでていき腐食し始めて腐敗臭があたり一面に広がっていったのである。

そして、とうとう、将軍の甲冑のみを残して将軍は完全に溶けて無くなってしまったのであった・・・

番兵1「ひっ・・・ひひ・・」

番兵達はその驚きよりも先に恐怖を察知した。

だがしかし、番兵達は恐怖に負ける訳にはいかなかったのである。

番兵2「あの者を決して近づけてはならぬっ!!」

恐怖に顔を歪めている番兵達の中、恐怖より我にかえる者達もでてきた。

騎士「ええぃ!皆の者、意識を保てぇぃ!」

兵士達が徐々に恐怖から覚め現実を受け止めて我に戻ってきた。

騎士「事態は緊急を要するっ!!直ちに城へ伝令を使わせぇいっ!(くっ・・将軍程の者が一瞬で・・尋常では無い・・くっ・・)」

ボロ布の男はゆっくりと一歩一歩と歩いて来ている。

長城は緊急事態に警戒防御体制を固めてきていた。

ボロ布の男『(少し・・時間を与えてやろぅ・・警戒すればいぃ・・)』

ボロ布の男は長城より1Km程まで先にまで近くに歩き着いていた。

長城では兵士達が攻撃態勢を整え終わって弓銃狙撃隊を先頭に男の様子を見つめ待機していたのであった。

攻撃対象はいくら将軍を殺ったとはいえ、相手は一人である、将軍オルビスも不意を突かれたと言っても過言では無いと兵士達は考えた。

故に、少数部隊だけをボロ布の男を捕らえる為に向ける事となったのである。

伝令を城へ向けてから、少数の精鋭部隊を城から真王はよこしたのであった。

たとえ、不意打ちとはいえ、将軍オルビス程の屈強の将軍を一瞬に腐食死させただけのボロ布の男であるのだ、一般兵士を向けた所で全滅させられてもおかしくないとの判断で、複数有する騎士団の中でも少数精鋭の双剣騎将隊を向ける事にしたのであった。

双剣騎将隊は精鋭中の精鋭部隊であり、騎士団ではあるが少人数であるが為に騎士隊となっている、選ばれている者達は本来条件を満たしている者の志願で結成されており、将軍級の双剣使いの騎士だけで結成されているので双剣騎将隊というのであった。

双剣騎将隊長「行くぞっ!!」

隊員達「はっ!!」

  ザッ!パカッ!パカッ!  パカッ!パカッ!(馬の走る音)

弓銃狙撃隊長「弓銃狙撃隊っ!構えっ!照準合わせて待機っ!」

弓銃狙撃隊は隊長の号令で構えて照準をボロ布の男に合わせて待機した。

重甲騎兵団副団長「えぇいっ!仇は我が討ち果たすっ!」

兵士「王の命には逆らえません!控えてください!」

その後では重甲騎兵団が団長を殺られた事でいきりたっていたのであった。

ボロ布の男『(ふっ・・・雑魚どもがぁ!)』

双剣騎将隊がボロ布の男までの距離をあと300m程の所まで迫っていた、

双剣騎将隊長「全員、剣を抜けっ!すぐには手を出すでないぞっ!行くぞっ!」

ボロ布の男のそばに隊員達は双剣を抜いて器用に馬にまたがっている。

ボロ布の男『・・・・・』

双剣騎将隊長「えぇいっ!貴様っ!不届き者めぃっ!!名を名乗れぃっ!!」

ボロ布の男がボロ布から顔を出した、赤髪にキリッと鋭い眼つきに怪しく赤々と燃えるように赤い眼球が目立っていた。

双剣騎将隊長「おのれぇ魔物めぇいっ!」

ボロ布の男『我、名など遠に忘れたはぁ・・ただ、神に仕えし者・・それだけよぉ』

そう、ボロ布の男の正体は邪神王四魔帝の神に仕えし者であった、神に仕えし者は抑え隠していた闇の魔力を解放し始めたのであった。

隊員1「ぐぁ!」

隊員2「ぐふっ!」

双剣騎将隊長「お前たち!どうしたと言うのだっ!?」

隊員3「・・うぅっ!」

隊員5「かっ!・・顔が熱い・・」

隊員4「ぅわ!なっなんだぁ?」

隊員達が将軍オルビスと同様に腐敗臭を放ち腐食し始めたのである。

双剣騎将隊長「なっなぬっ?・・ぐはっ!」

隊員達は抵抗する間も無く崩れ落ちたのであった、その場には隊長のインフェルナスの双剣と隊員達の白銀の双剣、そして甲冑のみを残して馬もろとも双剣騎将隊は腐り溶けて消滅したのであった・・・

神に仕えし者『ふっ、我が腐属性の魔力に触れただけで一溜りも無い・・人間とは脆い生き物よぉ、だが、ただ単に腐り溶けてもらうのもつまらん、我が絶大なる魔力を思いしるがぃいっ!恐怖こそが最も心地良いわぁ!』

弓銃狙撃隊長「射れぇいっ!!」

   ビュビュビュビュビュビュッ!

弓銃狙撃隊が号令を合図に一斉に神に仕えし者へと弓銃を射った!っが、しかし、矢は全てたちまちのの如く腐り消えたっ!

神に仕えし者『・・エイブラ・・ダブエラ・・ゴブス・・』

神に仕えし者は人間が聞いた事の無い呪文を詠唱し始めた、すると魔力の流れに変化がおきてきた。

そして、長城へとその変化した魔力が届き始めたその時であった・・・・・兵士達に変化が訪れたのである。

弓銃狙撃士1「うっ・・・痒い・・」

番兵2「あっ・・痒ぅ・・なんだ・・かっ痒いぃ・・」

兵士達の様子がおかしくなってきたのである、顔が青くなり皮膚が爛れて腐食した、また腐敗して消えてしまう症状なのであろうか?・・

いや、今度はさっきとは違ったのである、兵士達の意識・自我は崩壊していく、彼等はただ捕食のみを求めるゾンビと化していたのであった。

魔力の広がりはあっという間に長城全域に広がっていき領地の内側へと流れていったのであった。

重甲騎兵団も弓銃狙撃隊も番兵達も応援に駆けつけた騎士達も全てゾンビと化していたのであった。

神に仕えし者『我が魔力に従えしゾンビ兵よ、領内へ入り人間を捕食せよ!(人間よ自ら捕食される事により素晴らしい恐怖を発生させてくれよう。)』

ゾンビ兵達はガイド公国内部へと進んで行った、そして神に仕えし者も一歩、また一歩と様子を見物しながら、さも楽しそうな笑みを浮かべて内部へと突き進んでいったのである。

街中にゾンビ兵が突き進んできた、そして人を無差別に襲い生きたまま捕食していったのである。

また、噛まれた者はゾンビと化していった。

アレス「痛っ!何すんだこいつぅ!噛みやがって・・(痛)・・・・・」

どうやら、先ほど公園にいた若い青年のようだ。

マイア「アレスぅどうしたの?大変!血が出てる!早く手当てしないと。」

青年の顔色は既に青く腐食しかけていた、そして、手を出した娘の手を噛みついた!

マイア「キャー!アレス何するのっ?痛いっ!」

アレスは既にゾンビと化していた・・

マイア「ひぃ・・アレスやめてぇ!・・」

そして、ゾンビと化したアレスはマイアの頭をつかんで首に噛み付き首をちぎったのであった・・

マイア「ぎゃ・・・・・・・・・・・・・・」

ぼとぼと・・・ぼとぼと・・(血の落ちる音)

そして、繁華街のあちこちで捕食しては増えていくゾンビ達、街はもはや秩序など無く無法にも恐怖が散乱する世界と化していったのであった。

公園でも、子供を捕食する母親達・・

ジェイド「ぐゃ・・・」

少年を貪り食う母親の姿であった。

アリア「マッ・・ママがジェイドちゃんを・・・・・痛っ・・小鳥がぁ・・あっああっ・・・やめてっ・・・痛っ・・・・・・見えない・・・・・ぎゃっ・・(死)」

小鳥が少女に襲いかかり眼球をくりぬいて食べていた、小鳥達ですらゾンビと化して人間に襲いかかっていたのであった。

そして、少女もまたゾンビとなっていった・・・

ガイド公国は国境線を全て長城で囲っているので長城内、つまり国全土をゾンビに埋め尽くされてしまっていたのであった・・




居城グレイトホーン、門の前。

兵士長「えぇいっ!門を決して開けるで無いぞっ!」

兵士達が城の門を大きな錠をかけて必死に抑えていた。

兵士「うっ、なんてこった、外はゾンビだらけだぞ!もぅこの国は終わりなのか?・・」

兵士長「我等が城を命に代えても守り抜くんだっ!」

居城グレイトホーンの上層階に位置する王の大広間の玉座には真王ヴァルファーゼが腰をかけていた。

下の階より一人の兵士が慌てた顔でかけ上がってきた。

側近「どうした?そんなに慌てて。」

兵士「はぁ・・はぁはぁ・・街は壊滅状態ですっ!外は既に民がゾンビと化して暴れまわっております・・はぁはぁ・・」

ヴァルファーゼ「なっ!?何がおきたというのだ!?」

側近がヴァルファーゼの耳元で口を動かした。

側近「どうやら、ボロ布の男の仕業のようでございます。」

ヴァルファーゼは玉座から腰を上げた。

ヴァルファーゼ「我が街が、我がガイド公国が、一人の者によって滅ぶというのか!?そんな馬鹿げた事があって良いのか?・・・・・守らねば・・我が国が落ちる訳にはいかぬ!、大魔導砲の準備を急がせぇいっ!」

側近がうろたえる・・

側近「しっ!しかしっ!、真王様、たった一人の者に向けてあのような魔兵器を使われると、街そのものまで消えてしまいますぞっ!お考えなおしをっ!」

ヴァルファーゼは決意していた、屈強と信じていた我が国が、城を残して国全域が壊滅している現状を心に受け入れるしかなかったのであった。

ヴァルファーゼ「ここで我が国が落ちれば、モルド公国もまた危機に晒されるであろう、そして、光の軍勢もまた危機に晒されるであろう、ここで討っておかなくてはならん、国の復興はその後でできる事、誠王との誓い、新しくできた我等が希望の光の軍勢までは奴を行かす訳にはいかぬ、ふっ・・我が国もここまで落とされては今使うしかあるまい、大魔導砲、奴に向けよ!」

側近「真王様、わかりました、もしも、我が城が落ちる時は私も御供致します。」

側近が大声を上げたっ!

側近「えぇいっ!城に滞在する全ての王宮騎士達、全ての従騎士団は城門に行け!直ちに城塞守護騎士団に加勢するのだ!、近衛騎士団はこの王の玉間にて王の守護を勤めろ!」

城は騒がしく兵士や騎士達が動きはじめた。

側近「重砲兵も大魔導砲の準備を急げぃ!全ての大魔導砲門と魔導砲門を奴に照準をセットしろ!急ぐのだ、城に近づくまでに仕留める!」

その頃、神に仕えし者は、真王の居城グレイトホーンより2Km程の位置までゆっくりと近づいてきていた。

神に仕えし者は冷酷な微笑みを浮かべながら遠くのグレイトホーンを見つめていた。

そして、北に隣国モルド公国の誠王の居城ビッグパレスが遥か遠くにかすかに見えていた。

神に仕えし者『この世に・・・平和など必要無い・・恐怖こそ全てよ・・我が神ウロボロスに見せてくれよぉ、暗黒魔界で2万年、魔王・大魔王を十数程殺めて我が身に吸収して、更に高めた我が魔力を!お前の為に使ってやる!』

城の大魔導砲と魔導砲の砲門が全て神に仕えし者へと照準がむいたのであった。

神に仕えし者は不敵に微笑んだ。

城では、重砲兵達が真王の合図を待っていた。

重砲長「用意は整ったか?」

重砲兵「万一の事があっても2回までは撃てます。」

重砲長「では、後は合図あるまで待機してろ、伝令兵よ、王に報告急げ!」

王の玉間では、ヴァルファーゼが玉座から立ち、まだかと言わんばかりに手を震わせていた。

伝令兵が側近のもとへ来た。

伝令兵「全ての用意は整いました。」

側近「そうか。」

側近は王に近づいていき、ヴァルファーゼに告げた。

側近「真王様、全ての用意が整ったとの事であります。」

ヴァルファーゼ「そうかぁ、では、我が合図のもとにラッパを吹くのじゃぁ!撃てぇいっ!!」

ヴァルファーゼが合図を出すと城中にラッパの音が鳴り響いたのであった。


       プァーーーーーーーーーーーン!!


っすると、全ての砲門に熱が入り、一つの標的に向け、全ての魔導砲が神に仕えし者めがけて撃たれたのであった。

当然、神に仕えし者がそのような事に気づかないはずも無かったが、うろたえる事無く不敵に微笑んでいた。

神に仕えし者『ふっ、最後の悪あがきか・・』

魔導エネルギーは、ちょうど、神に仕えし者の目前まできたがっ!!?

神に仕えし者が大きく手を広げて魔力を開放したのであった、その瞬間、魔導エネルギーは方向を変え、北の隣国モルド公国の誠王の居城ビッグパレスの方向へと向いたのであった。

ヴァルファーゼ「なっ!!・・・・(絶句)」

重砲長「なんてことだ!」

誠王の居城ビッグパレス、誠王の玉間、誠王は玉座に座り外の方を眺めていた。

誠王ブリム「ん?なんだ?」

その瞬間、ビッグパレスに魔導砲と大魔導砲の集束された魔導エネルギーが直撃した。

その場にあったはずのビッグパレスは跡形も残さずに消滅したのであった、そして、隣国モルド公国との国境線の長城も倒壊してゾンビ達が侵入を始めたのであった。

モルド公国の民達はガイド公国の国境線沿いに近い位置にいた者からゾンビの餌食となり、またゾンビの仲間となりゾンビは増殖し続けていたのであった。

真王の居城グレートホーン、真王の玉間。

ヴァルファーゼ「くっ!我が手でブリムを・・・」

その頃、既に神に仕えし者はグレートホーンのすぐ目前にまで歩き着いていた。

そして、城門の側で神に仕えし者は足を止めた。

神に仕えし者『こんなもので私を防いでると思ってるのか?・・・(冷笑)』

神に仕えし者は城門に手をあてた。

城門の内側では複数の騎士団が身構えていた、っが、しかし、突然の事であった。

城門がみるみるうちに腐り崩れ果てていく・・・誰にもそれを止める事ができず、兵士・騎士達は己の未熟さに何もする事ができなかった。

兵士・騎士達が神に使えし者を直視したときであった。

騎士1「ぐあ・・苦しい・・」

騎士2「うぐっ・・・」

兵士「ぐはっ・・げほっごほっ・・」

突然頭を抱え込みながら苦しみだしたのである。

  っ!!? 兵士・騎士達が苦しみもだえながら、不自然に容姿が激しく変化し始めたのである。

体色は青く変色して皮膚が硬くごつごつとなり、頭からは角が生えてきて、口からは禍々しい牙が出てきたのである、目の真っ赤に充血して瞳は怪しく光っている、そこにいた全ての兵士・騎士達は魔物と変身してしまった。

神に仕えし者『行け!』

神に仕えし者は城には入らず方向を変えて西へと足を進め去ったのであった。

元騎士「・・グルル・・」

元兵士「ジュルジュル・・グルル・・」

魔物と化した兵士・騎士達は城の内部へと入っていった・・

真王の玉間、ヴァルファーゼのそばには側近達がおり、そのそばに近衛騎士団がいた。

ヴァルファーゼ「大魔導砲が通用しないとは・・いったいどうすれば・・」

兵士がヴァルファーゼのそばにあわて走ってきた。

兵士「大変です!下にいた騎士達が皆魔物に変わりました・・」

側近「おい?何を言ってる?言ってる意味がわからんぞ。」

そのときであった、玉間の外からたくさん何かが入ってきた・・

元騎士「・・グルグル・・ジュル・・グルル・・」

元兵士「・・ジュルジュル・・」

恐ろしい魔物と化した兵士・騎士達であった。

ヴァルファーゼ「なっ・・・(絶句)」

近衛騎士団がすかさず斬りかかった!

   ガッ!  ズバッ!

元騎士「ぐぇ・・」

元騎士の腕が床に落ちた、っがまた生えてきた。

近衛騎士団は既に数人殺されていた、相手は城中にいた複数の騎士団が全て魔物化しているのだ。

数が圧倒的に多い、しかも不死身で怪力、斬っても無駄であった・・・

あっというまに、近衛騎士団は団長を残して壊滅していた。

側近「おぉのぉれぇいっ!」

側近も昔は騎士であった、腰につけていた剣を抜いて斬りかかった!

  ガッ!  ズババッ  ガキッ

側近「王を、我が命に代えて守るっ!」

っしかし、側近達はあっという間に全員食い殺されてしまった。

側近「・・ぐはっ・・無念・・(死)」

とうとう近衛騎士団長とヴァルファーゼの二人だけが残されてしまった。

近衛騎士団長「くっ・・真王様、もはやこれまで・・」

ヴァルファーゼ「もぅ良い、ぬしもよくやってくれた、感謝する。」

ヴァルファーゼは玉座に腰を下ろした、そして近衛騎士団長は元騎士達に斬りかかった。

近衛騎士団長「我は負けぬっ!」

       ズババッ

近衛騎士団長は元騎士の変わり果てた魔物へ一撃を食らわしたが、他の元騎士に取り囲まれて食われ果てのであった・・

近衛騎士団長「・・真王・・(死)」

元騎士の変わり果てた魔物達はヴァルファーゼに襲いかかった。

ヴァルファーゼは何も語らず果てたのであった。

ヴァルファーゼ「・・・・(無念じゃ!)(死)」

ここにガイド公国は完全に滅亡したのであった・・




一方、モルド公国でも王族は城ごと消滅、街全体がゾンビで埋めつくしていた。

その頃、長城建設現場では。

バルガス「お前ぇらぁ、生きてるかぁ?」

ラグーン「兄貴ぃ縁起でもねぇ事いわねぇでくれぇ」

ニルス「兄貴ぃ、もぅここはやべぇよぉ、あそこ見てくれぇ、化け物がぞろぞろこっちに来てるよぉ」

三人の周囲には首の無い死体が一杯散乱していた。

どうやら、三人以外は全員殺されたようである。

バルガス「あれだけやっつけたのにぃ、まだまだ新しいのが来やがる!」

ニルス「兄貴ぃきりがねぇなぁ・・どぉするよぉ?」

バルガス「脱出しかあるめぇ、だがよぉ、あそこ見ろぉ。」

長城のメルド教国側に出る門の方向をバルガスの指を刺した、そこにはゾンビ化した騎士達・工夫達がひしめきあっていた。

バルガス「どぉやら今回ばかしはぁ、全員脱出とはいかなさそうだなぁ・・しかし、考えてる暇などあるめぇ?行くぞっ!」

大男バルガスが突進していった、そして二人もそれに続いたのであった。

ニルス「でもよぉ、どぉすんだよぉ・・」

ゾンビを目前にバルガスは足を止めた、そして二人も側まで走ってきた、バルガスは大きく深呼吸をした。

バルガス「・・フ〜ゥウ・・さて、これしかあるめぇ(微笑)」

バルガスが何を思ったか二人を持ち上げた。

ラグーン「?兄貴?何すんだよ?」

ニルス「???まさか?」

バルガス「こぉすんだぁっ!」

大男バルガス、物凄い怪力である、いきなり物凄い勢いで二人を壁の向こう側へぶんなげた!

ラグーン「あっ!兄貴ぃっ!」

ニルス「そんなっ!」

バルガス「お前ぇらだけでも生きろぉっ!」

二人は投げられつつ、満面の笑顔で手をふり即座に剣でゾンビに斬りかかるバルガスの姿を眺めながら壁の向こう側へと落ちていった。

壁の向こう側、多少のゾンビは徘徊しているが二人には気づいていない。

ラグーン「兄貴ぃ・・うっうっ・・」

ニルス「ラグーン、悲しんでる暇はねぇ行くぞぉ・・」

そう言うと二人はメルド教国の国境線を越え中へと消えていったのであった・・・




光の軍勢では、両国の異変を察知していたが、助太刀する盟約ではあったが既に手遅れであった為に、援護には行く事ができなかった。

そして、光の軍勢にも危機が訪れる事は間違いないとの判断で、光の軍勢は自らの防衛の為に賢者達の詠唱による大掛かりな光属結界を張りめぐらしてあった。

その光の軍勢の国境に、神に使えし者はすでに到着していたのであった。

神に仕えし者『はははははは・・・(高笑い)今度は少しは楽しませてくれそうだな。我が腐の魔力を、結界で防ぐとは。』

光神王マリン・ペルシャーゼは相手のとてつもなく強大な魔力に感づいていたので光の軍勢の国内全域に警戒態勢を貼り、全力で攻防する構えを見せていた。

光神王マリン・ペルシャーゼは新しく建造された光城ラピスの王の玉間の玉座に腰をおろしていた。

光城ラピス、光が反射すると七色の輝きを放つ美しい城であった。

グレートホーンと同じくオリハルコンで作られていたが外壁だけはプリズム鉱石で特殊な加工を施してあった。

その為、いかなる攻撃も受け付けない造りになっており、プリズム鉱石の特色でもある七色の光を放つのであった。

マリン「奴は来たか?」

聖将フィンドルフ「来たようだな。」

聖将フィンドルフ、彼は光神王マリン・ペルシャーゼとは旧知の仲であり、今は側近として側に仕えていた。

全身には真紅の炎で燃える鎧《炎龍帝ドラクネス》を纏い、腰には神狼剣ネファローズを帯剣している。

二人は、側近と王という関係よりも、硬い友情で結ばれ、兄弟のような間柄であった。

マリン「恐らく奴は魔界から来たのであろぅ、あの強大な魔力は尋常では無い、全軍には独自の判断をしてかかるように伝えておいたか?」

聖将フィンドルフ「全て伝令を出しておいた。」

マリンは心配そうな顔をして遠くを見つめていた。

聖将フィンドルフ「妹が心配か?」

マリン「うむ・・長旅に出ておるからなぁ、暗黒の軍勢の魔物達が徘徊する世、少しでも苦しみが減ればと、討伐の旅に出たきりだからな。」

聖将フィンドルフ「セレンには、あのクレインが一緒についておろぉ」

マリン「そぉだったな。」

聖将フィンドルフ「クレイン・ゼノサキス、あれでも奴は神聖国アピスの光属召喚魔法学校を優秀な成績で卒業してるぞ。」

マリン「だが、実戦で使用した事が無い上に性格が優しい・・・・・だが、切れたら止められない上にとんでもないものを召喚するがな。」

聖将フィンドルフ「お前は本当に妹思いな奴だなぁ。」

マリン「ふっ・・・(苦笑)」

聖将フィンドルフ「昔、お前が荒野に捨てられていた黒羽の有翼種の赤子を拾ってきたときはびっくりした。」

マリン「あのときは若かった・・」

聖将フィンドルフ「だが、お前が禁を犯して禁断光属封印で羽を白くし、セレン・ティアノートと名付け、あそこまで良い娘に育てあげた、まぁこの事は俺達二人しか知らない事だがな。」

マリン「お前も共犯だ・・(苦笑)」

聖将フィンドルフ「お前も昔、捨て子でティアノート家に拾われたそうだな。」

マリン「ティアノートの家名はとっくに捨てたわ、つくづく貴様は口うるさい男だ・・(苦笑)過去話は終わりだ、外の様子が気になる。」

二人は会話を止め国境線の方向を見つめた。




その頃、光の軍勢の国境線、神に仕えし者とのとてつもなく激しい攻防戦が、今始まろうとしていた。

神に仕えし者『ハンッ(冷笑)・・無駄な抵抗よ・・』

光の軍勢は、国境線手前で神装騎女達がペガサスに跨り戦闘態勢で待機している。

神装騎女1「フンッ、我が槍の餌食にしてくれょぉ」

神装騎女2「フッ、運の無かった事と諦めるのだな、我が神装騎女隊の手にかかる事を光栄に思うが良い。」

神に仕えし者は小さく小声で呪文を詠唱しはじめた。

神に仕えし者『・・・ブツブツ・・(詠唱)』

っとそのときっ!!一人の神装騎女が行動を起こした!

神装騎女3「こざかしぃわっ!!」

詠唱を唱える神に仕えし者へと槍を向けて突撃した。

神装騎女3「くたばれぇーーーっ!!!」

神に仕えし者『・・ブツブツ・・フッ(冷笑)、漆黒の闇の大魔獣グレゴリウスよ、我が契約のもと、我が魔力を食らいて目の前の敵を滅せよ!』

突然、周囲がどんより暗くなり、空に黒雲がたち、空間によどみが出現した。

そして、そのよどみにぽっかりと大きな空間の穴が出現!

その穴の中は真っ暗な闇につつまれていた。

その闇の中から獣の咆哮が聞こえてきた。


     ウァーーーーーーーーーーーン!!!


神に仕えし者に突撃した神装騎女は驚愕した!、そして暗黒の闇の穴の前で跨るペガサスが驚き止まったがっ!突然っ!!

神装騎女3「何っ!!?」

      ヒヒィーーーンッ!!

     ウァーーーーーーーーーーーン!!!

        バクッ!!?

神装騎女3「ギャヒッ!!(死)」

噛みちぎられた神装騎女の腕と首が血をしたたらせて地面に落ちた。

       ボトッドサッ

      グルルル・・・

突撃した神装騎女は、暗黒の闇の穴より突然出てきた得体の知れない巨獣にペガサスもろともバックリと食べられてしまった。

その後には、暗黒の闇の穴より出現した巨獣が神装騎女達を見つめていたのであった。

神装騎女4「何だあの化け物はっ?」

闇の巨獣は突然、暴れ狂うが如く神装騎女達を次々と食らい尽くすと再び遠吠えをして穴の中へ帰っていった。

     ウァーーーーーーーーーーーン!!!

そして、辺りは元の晴れわたった喉かな空色へと戻っていた。

地面には巨獣の食べ散らかした神装騎女達の身体の肉片がそこらじゅうに散らばっている、神に仕えし者は不敵に笑う。

神に仕えし者『ふははははっ(笑)・・この獣は我が封滅し、我が力で召喚獣に変えてやった暗黒魔界最下層の漆黒の森の獣《大魔獣グレゴリウス》よ、人間がその眼で拝むのは初めてであろぉ?・・・っと言っても、もぅいないか・・』

神に仕えし者は腐の属性であるだけではなく、相手を召喚獣に変えてしまう特殊能力をも持っていた。

神に仕えし者『では遠慮なく、先に進ませてもらうぞ。』

もはや神装騎女隊は大魔獣グレゴリウスによって無残にも全滅してしまったので、神に仕えし者は難なく国境の中へと進入した。

国境線の内側には光属結界が貼りめぐらされてはいたのだが、神に仕えし者には意味が無かった、難なく通りぬけて中へと進入したのであった。

幸いにして、光属結界のおかげで有翼種達の光属性の力がパワーアップする効果を得れたおかげで、神の仕えし者が通常放つ腐属性の魔力の影響を受ける者はいなかった。

しかし、これは有翼種の上位光属者のみしかいない光の軍勢であったからこそであって、もしも力の弱い者がその場におれば、たちまちの如く神に仕えし者の腐属性の魔力に蝕まれアンデットと化していた事であろう。

一方、その頃、光神王マリンは神装騎女隊の全滅の報告を受けていたのであった。

光属偵察兵「マリン様、神装騎女隊は全滅しました。」

マリン「何っ!?・・あの勇猛果敢な女戦士達が・・何という事だ・・」

光属偵察兵「あの者、神に仕えし者というそうです、光属結界をいとも簡単に通過してこちらえと向かってきております。」

そばにいた聖将フィンドルフの口が動いた。

聖将フィンドルフ「わかった、もう下がれ。」

光属偵察兵「ははっ!!」

光属偵察兵は聖将フィンドルフの言葉を聞いてその場から退室していった。

聖将フィンドルフ「マリン、どう動く?、各隊個々に判断を任せたところで同じ結果と私は考えるのだが?もはや神に仕えし者は余程の強大と思える相手、先ほど向こうの空に見えた黒雲の中に巨大な魔物が見えた、恐らく奴は我らが見た事もない強大な闇の召喚魔法を使うらしぃ。」

マリン「うむ、あの召喚獣はどの文献にも記されてはいなかったな、しかし、ここで引く訳にはいかぬ、我等は神聖王ガローエン殿との約束を果たす為にこうして今ここにいるのだ、個々で対抗するは不利と言うのであらば策は一つしかあるまい、しかし、我が兵達だけを戦いに行かす訳にはいかぬ。」

聖将フィンドルフ「マリン、お前・・」

マリン「相手を知らなさ過ぎるのも対抗策を練る事もできぬが、少数で駄目ならば我を含めた全軍でかかる。全軍に伝えよ、奴に進軍せよと。私も今から出陣する!」

聖将フィンドルフ「この命、貴様にくれてやる為にここにいる、それでは行くとしよぉ。」

そうして、光の軍勢全軍が総動員で進軍したのであった。

光の軍勢は有翼種、空の軍と言っても過言では無い、空には有翼種の兵士達が自らの翼で空を飛び、ペガサスに跨るペガサスナイト達、そして召喚魔法の詠唱を続ける光属召喚師達、戦いの歌を歌う光属吟遊詩人達、空も地面も白い翼を開放している有翼種達で埋め尽くしていた。

その光景は、まさに天軍、天使の軍にも見えたのであった。

神に仕えし者『ふん(鼻笑)・・最初からそうくればよかったのだ。』

神に仕えし者の身体から闇のオーラが滲みだして大きく大きく膨れあがってきた。

神に仕えし者の纏っていたボロ布が完全に脱げて完全に容姿が確認できるようになっていた。

その身体には物凄い憎悪を感じさせる禍々しい魔力を放つ黒い鎧を纏っていた、本来それは、人界に存在する鎧では無い事が、誰が見てもおのずと明確に判断できる代物である事が確認できた。

纏った者がもしも、万が一に人間であればたちまちの如くその鎧に魂ごと肉体を食らい尽くされているであろぅ。

この鎧を纏っているだけで、それが人では無い事がうかがえるのである。

四魔帝の神に仕えし者は、暗黒魔界の最下層でも十数の魔王を殺し食って自らの身体に取り込んでいた、この鎧は大魔王ゾルダークの宝物庫に眠っていた遺品でもあった。

神に仕えし者は当然の如く、鎧は殺し奪った物である。

そして、腰には様々な形状の剣が数本程帯剣している、どれも見た目から想像して魔剣である事がうかがえる。

どれも人界には存在しない人知を超えた鎧と剣を所持した神に仕えし者の奥底知れぬ強大な魔力に光の軍勢の兵達は生唾を飲む勢いであった。

その神に仕えし者が今、まさに本気を出そうとしているのである。

神に仕えし者『はぁ〜〜・・・・』

闇の波動が辺りの木々を揺さぶり始め、空の風の流れが凍りついたかのように停止した、その時であったっ!


     ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ〜〜〜〜〜〜ッ!!?

     ゴォ〜〜〜〜〜〜ッ!!


神に仕えし者を中心にして周りの空気がとてつもない轟音とともに回転しはじめたのである。

そして、その流れは神に仕えし者の闇の波動と闇の超魔力を帯びた超巨大竜巻と化したのであった。

もはや、光の軍勢は手も出せない状況に陥り、次々と竜巻に飲み込まれていったのであった。

光属性の力がまったく通用せず、歯が立たないのでは何もせずやられるしかなかった。

気がつけば、光の軍勢は一割も残ってはいなかった。

誰もが、敗北・死の文字を心に思うしか無い状況である。

マリン「くっ!・・・・・・(無言)」

聖将フィンドルフ「皆の者、引けぇいっ!マリン、お前は生きねばならぬ!生きておれば必ず復興できる!そして・・・妹の帰る場所を無くさぬ為に!」


     ドスッ


鈍い音がした、聖将フィンドルフが光神王マリンのボディーに拳をいれていた。

マリン「うっ!・・フィンドルフ・・お・・ま・・え・・・(気絶)」

光神王マリンは気絶した。

聖将フィンドルフ「お前たち、王を頼む、そして逃げのびよ。」

光属天騎士「しっしかし・・わかりました。」

光属天騎士達は聖将フィンドルフの顔を見て決意を把握したらしく、素直に命令を聞き、その場から退いたのであった。

神に仕えし者『ふっ、逃げるのか(笑)』

神に仕えし者の前に聖将フィンドルフが立ちはだかった。

聖将フィンドルフ「貴様の相手は私だっ!」

神に仕えし者『雑魚が・・・』

聖将フィンドルフは剣を抜かずに呪文を詠唱し始めた。

神に仕えし者『貴様、ただの騎士では無いようだな。』

聖将フィンドルフ「・・・ブツブツ・・・(詠唱中)」

神に仕えし者『まぁ他の連中は少しばかり余命が延びただけだ、貴様に免じて見逃してやろぅ、その代わりに貴様の技で楽しませてもらうぞ。(冷笑)』

神に仕えし者も詠唱を始めた。

その光景はまるで魔法合戦の始まりを思わせる状況であった。

両者の呪文が終わろうとしていた。

聖将フィンドルフ「・・ブツブツ・・我が契約の主よ、今こそ我に加勢し、その力で標的を滅せよっ!」

聖将フィンドルフ側の空気は光に満ち溢れてきて、至大にその光が凝縮したかと思うと巨大なドラゴンの形へとなり、その場に巨大な光眩いドラゴンが出現したのであった。

聖将フィンドルフ「光神竜!召喚!」

神に仕えし者『・・・ブツブツ・・我に仕えし闇の王、我が身代わりになりてその力をここに示せ、標的を滅殺せよっ!』

一方、神に仕えし者も同じく召喚魔法を使ったようであった、っがしかし、召喚したものは!!?

神に仕えし者『我が血約を果たせっ!大魔王ゾルダークよ行けっ!』

大魔王ゾルダークの出現、聖将フィンドルフの召喚した光神竜を遥かに上回る魔力と波動であった。

その魔力で召喚したはずの光神竜はあっという間に光に消えてしまった、そして、その反動が自ら召喚した聖将フィンドルフへと跳ね返ったのである。

聖将フィンドルフ「ぐあぁあ〜・・!」

召喚された大魔王ゾルダークがその聖将フィンドルフに追い討ちをかけるが如く一撃をくらわそうしたが、幸いにして光神竜の最後の灯火を盾に防げたのであった。

しかし、その反動はかなりのものである、五体満足でいられる訳もなく聖将フィンドルフは遥か彼方へと吹き飛ばされてしまった。

大魔王ゾルダークはスッと消えた。

その場に残るはもはや神に仕えし者のみである。

神に仕えし者『何処かへ飛ばされたみたいだな、恐らくもぉ死んでおろぉ・・さて、あの城を我が城にさせてもらおうか・・』

神に仕えし者は城の光神王の玉間に向かった。

神に仕えし者『うむ、気にいった。』

神に仕えし者は光神王の玉座に座ると城自体が彼の魔力により恐ろしく禍々しい城へと変貌を遂げ、その周囲の雲行きもどす黒い暗雲がたちこめていき、暗黒の世界へと変貌を遂げたのであった。

神に仕えし者『少し眠ろう・・』

神に仕えし者は玉座で眠りについたのであった。




一方、光神王マリンを抱えた光の軍勢の兵達はこの戦では惨敗であった為に西方の山岳地帯の洞窟に逃げ延びて機会を伺う事にした。

マリン「ううっ・・」

光属天騎士「フィンドルフ様は御無事であれば良いが・・・・」

光神王マリンは神に仕えし者の魔力を身体に強く受けていたので、そのまま眠り続けていた。

そして、聖将フィンドルフは遥か東方に飛ばされて消息不明であった。


-To 桜の木の予言-

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