作:愚者皇さん
「…つまり、アリシアはヴィエナにいるんだな」
「こいつの言う事が間違いなければ、嬢ちゃんはそこにいるんだろうな」
「あのケンプファーとかいう奴の言葉に偽りは無かったでござる。恐らく、こちらを叩きのめす自信があるのか…」
「まぁなんにせよ、俺はそこへ行く…」
その直後、レオンはバンッとテーブルを叩きながら立ち上がった。
「馬鹿かお前は!!」
「?」
「お前は、死んでももおかしくないレベルの重傷を負ってたんだぞ!?」
「うむ…。レオン殿の言うとおり、愚者殿は確かに生死の境を彷徨うだけの傷を負っていたでござる」
「だから…、まだ行くなと言いたいのか?」
「おい預言者!!お前からも何とかいってやれよ!!」
レオンは紅茶を持ってきた!!!に向かって怒鳴り散らす。
「私はアルティシア様の意思を尊重させていますゆえ、行くというのであればとめる事はできませんので…」
「ぐ…」
苦虫を潰したような表情で、愚者皇を睨む。
ひとまず、現在彼等が今いる場所を説明しておこう。
彼等が今いるのは、魔神皇アルティシア(現在:愚者皇)率いる魔神皇軍が拠点としているヴァン・ニルヴァーナと呼ばれる元・メルド教国の首都にある城である。
メルド教国の名前もヴァレンティウスと変えている。
魔神皇軍はデスラグナロク率いる暗黒騎兵200万、預言者!!!率いる暗黒魔道士100万、他にもアルティシアに仕えていた15人もの魔神達による部隊が一人当たり200万、そして愚者皇が率いる魔界騎士300万の計3600万の兵力を持っている。ちなみに、これらの数は現在この世界に来ている分であって、まだ魔界に残っている兵力を召喚すれば億を超えるものになる。
さて、話をもどして…
「んで、こいつ等はお前の言う事しか聞かないと言うわけなのか?」
「…らしいな」
「らしいな…って、お前さぁ…」
「俺は王の器じゃないんだ…。人にあれこれ命令するのは正直面倒くさい…。そんな事するぐらいなら、自分でさっさとやった方が楽だからな…」
「まったく、命令するのが面倒くさいという王様も珍しいもんだな…」
そういって、骸骨の甲冑を着た騎士がやってきた。
「だから俺は…」
「アルティシア様よ、俺達はアンタの言うとおりに動くんだ。だから、あんたが適当だと俺達はどうしようもないんでね」
「ふぅ…」
さも面倒くさそうに溜息をつくと、愚者皇はこう続けた。
「デスラグナロク、この国の防御体制は?」
「暗黒魔術士の魔力結界によって外界との空間を遮断しています」
変わりに!!!が答える。
「って事は、外へ出るには転移魔法を使うしかないと…?」
「そうなりますね。空間遮断によって通常の手段では侵入できないようになっておりますので。こちらから向こう側への転移門を作りだしておりますので、それを使えば望みの場所へといけます。ただし、門はさほど大きくないので少人数しか一度に転移できませんが」
「それで、何か命令はあるのか?」
「これといってない…」
「…おいおい、何かあるだろ?」
「あるんだったら、いちいち聞く前に行動してるだろ?お前の場合…」
「なっ…!?」
「似てるんだよ…俺と」
「確かに、それは言えてますな…」
唖然としているデスラグナロクを身ながら、!!!は楽しそうに答える。
「さてと…いくか」
「おい…、身体の具合は本当にいいのか?」
「まぁな…、しぶとさだけが俺の取り柄だ…。それに、あのオルハとかいう奴には色々と借りを返さないといけないからな…」
そういって立ち上がる。
「まぁ、こういう輩は何を言っても無駄でござるよ…」
「悪かったな…」
「ったく、まぁいい…。俺も行くからな…」
「ではこちらへ…」
そう言って、!!!は3人を転送門へと案内していった。
転送門は文字通り門だった。
豪勢な作りの大きな木製の門。
「ここでございます…」
「でかいな…」
「でかいでござるな…」
「たしかに…」
3人は口々に呟く。
「では、あけますよ…」
!!!は低い声で何かの言葉を呟く。すると、扉がひとりで開いていく。扉の向こうは何も見えず、ただ黒い渦のようなものが蠢いている。
「んじゃ、行くか…」
レオンはそう言ってひっていく。
「それでは拙者も…」
それに続いて拓ノ心も入っていく。
(待ってろ…、今助けに行くからな…)
拓ノ心が入った後、愚者皇も入っていった。