作:邪神王ウロボロス
鬱蒼と茂る茂みの中、一本の獣道を歩く男の姿がそこにはある。
どうやら、長い峠道を下って、ようやく平面の道に辿りつき歩き続けてるのであった。
男は小太刃と大太刀をそれぞれ一本づつ計二本を腰の帯に差し付けている。
男の身なりは剣士? いや、武士? 侍であるようだ。
男は急ぎ足で休むまもなく颯爽と歩いている。
その速さは相当日頃の厳しい鍛錬が物語っている者としか思えない勢いであった。
そう、この男こそ拓ノ心である。
城から書状が来て御呼びがかかったので、拓ノ心は急いで桜花城へと向かっている道中であった。
さすが、平穏な国のヤマト神国である。
ヤマト神国の諸国を一人で旅をしても、さほど危険は無い。
拓ノ心は三日三晩寝ずに歩き続けた。
さすがの拓ノ心も疲れてきたようである。
拓ノ心「・・ふぅ・・ハァハァ・・」
っと、その時、遠くに茶屋が見えてきた。
拓ノ心「ふぅ・・」
拓ノ心は溜息をついて、やれやれと言った表情を浮かべていた。
拓ノ心は思った(ここで少し茶でも頂戴いたすとするか。)
店主「へぃ、らっしゃぃ、何になさいましょうか?旦那ぁ」
店主の呼びかけに拓ノ心は安土の表情を浮かべて答えた。
拓ノ心「串団子3本と茶をいただくでござるよ。」
店主「へぃ」
拓ノ心は考える。(この茶屋があれば城下町もさほど遠くないでござるな、大殿様はいったい何を拙者に命じるのでござろうか?、気になるでござるな、わざわざ半蔵に仰せ任せてまで書状を持って参るとは余程の事ではないな、しかし、久方ぶりというのに、半蔵め、あの無愛想が、今度、とっちめてやるでござるよ。)
拓ノ心が物思いに耽っていると茶屋の店主が店奥から団子と茶を持ってきた。
店主「当店自慢の串団子と御茶でございます、ごゆっくりなさってくださいませ。」
店主は、そっと拓ノ心の側に串団子と茶を置いていった。
拓ノ心は心を安らげながら串団子を口に持っていき頬張り、茶をゴクッっと飲み干した。
拓ノ心「さて、そろそろ急ぐとするかぁ、おやじぃ、銭はここに置いとくでござるよ。」
店主「へぃ、ありがとぅございやしたぁ。」
拓ノ心は茶屋を後にし、淡々と歩きだした。
しばらく歩いていると城下町が見えてきたが拓ノ心は関所で止まった。
役人「怪しい奴め!!何処から来た!!」
そう、何処の関所の役人も偉そうに物を言うのであるが、だが何処も拓ノ心が印籠を見せると怖気づくのである。
役人「うっ・・・」
拓ノ心はとぼけた顔で言った。
拓ノ心「何か問題でもあったでござろうか?」
拓ノ心の印籠の表には細川家の家紋、裏には鞍馬武士団長の紋のが刻印されている。
役人「はっはぁ!!ぃいやっ、申し訳ございません、御無礼お許しくださいませ、武士団長殿、どうぞ、御通りください。」
拓ノ心は急いでいたので、役人をそれ以上からかうのはやめ、関所をくぐり、城下町へと入っていった。
中央に桜花城のあるヤマト神国の中心街、桜花城の城下町である。
城下町は町人達や商人・遊び人で物凄く賑わっている。
桜花幕府の栄華の象徴とも言えるであろう、まさに桜花爛漫(おうからんまん)、この言葉の似合う街である。
城下町の中央には美しく金銀で装飾された桜花城があり、天守閣には光輝く黄金の鯱(しゃちほこ)が施されている。
城には六つの大門があり、それぞれに屈強の武将が守衛として配備され、それぞれが得意とする武器を持ち、各々が様々な武芸の達人であり、彼らを通称『天剣六神衆』と呼ばれていた。
その桜花城の周りには大きな堀が10列程並んで掘られ、10段構えに攻め手を防ぐ仕組みになっている。
堀には低い位置程までだが、水が流し込まれており、中には無差別に肉を食らう肉食魚『無頭撫』(なずな)と呼ばれる魚群を住まわせているので落ちると一秒で骨と化してしまう程に危険な堀となっているのである。
更には、城の城壁には古代古き時代に南蛮より渡来した兵器『魔導砲』が周囲12方向にそれぞれ配備されていた。
各堀の周りに配備された衛兵達には、魔導砲からヒントを得て製作された『魔導銃』と、他には十字槍と小太刃・大太刀を装備させていた。
これほどまでに万全な体制で城の周囲を固めておれば如何なる者も進入不可能といえよう。
美しき屈強の城、これぞまさに桜花爛漫なる『桜花城』であろう。
ここにヤマト神国の組織図を説明しよう。
桜花幕府には征夷大将軍の下には大老一人と五人の老中『五老中』と、その下には順に大目付・中目付・目付と階級がある。
特別待遇で城に招かれ結界をはったり祭事をおこなう宮廷陰陽師が一人、当然の如く大陰陽師である、他にも宮廷風水師が一人、桜花城の内部の大気の流れから対極を示し、地脈から龍脈を維持しる役として招かれている。
彼らは仲が悪いとも噂されているが各々が陰陽道による戦闘、風水による戦闘の達人でもあり、万が一に戦争がおきれば大活躍を期待されている存在である。
城下町もまた、かなり広大な敷地にあるために町方奉行所を東西南北に設置しており、それぞれに奉行を配備、町の治安を守っている。
十手を持つ役人が町中を徘徊し見回るのも犯罪を未然に防ぐ仕事である。
桜花城には屈強の守衛『天剣六神衆』以外に各部所へ衛兵達が配備されている。
城を自由に出入りできる権限を持つ特殊部隊、隠密の忍の集団『影忍軍団』も存在し、半蔵はこの影忍軍団の16代目頭領半蔵である。
他に大きな組織が複数あり、東部・西部・南部・北部に幕府所属の各武士団を配備している、拓ノ心の所属する鞍馬武士団は北部に配備された幕府所属の武士団であろ、拓ノ心こそがそこの団長を務める武将である。
幕府に所属する組織として太古より存在する組織もある、それは太古の昔に五大陰陽師の一人が建てたといわれる陰陽寺がある、そこでは陰陽道を修行する修験者達の寺で、陰陽寺の場所は大老・老中・宮廷陰陽師しか知らないといわれているが、現在の宮廷陰陽師は陰陽寺出身では無く別流派との噂もある。
陰陽道にも流派があり、幕府に所属しない陰陽師達の集団も存在する。
その他、幕府に所属しない団体として、いくつか盗賊団・山賊団・海賊団の集団が存在するのと、忍の里が諸国全域に108程分布して、忍者は108の衆が存在しており、その中で一番達者であった者がそれぞれ幕府により召し抱えられ影忍軍団に所属する事ができ、更に影忍軍団で一番腕の達つ者が代々団長を務める事となっているのである。
108の衆ある忍の里の数と同じで、影忍軍団は総勢108名である。
以外に、現幕府政権が成り立つ前に戦国時代があった名残で各地に諸大名も領地を与えられ分布しているのである。