作:邪神王ウロボロス
ここの空気はとても清んでいる。
全世界の暗黒魔界化が進む中、不思議と、そこには何事も無かったように平穏に思える空気が漂っている。
静寂な空間が広がる竹林の中、うぐいすが鳴いた。
ホ〜〜〜〜〜ホケキョッ!!
竹林の静寂は一瞬崩れはしたが、それはそれはとても心地よい清い響きであった。
ここはドルフ帝國のちょうど東に位置する国家、ヤマト神国である。
ヤマト神国は武士の頂点である征夷大将軍の治める国家である。
そして、このヤマト神国は、神皇がこの国を治めた太古の昔、伝説の五大陰陽師が五芒星の位置にそれぞれ配置し国を守る為に生きたまま自らを封印して結界を張ったという伝説がある。
時代も進んではきたが、五大陰陽師の封印されし位置は誰も探しあてる事はできていない。
どうやら、伝説は真実である証拠として、その結界の効果が大きく持続していたのであった。
さすがに、この時代にまで結界の効果を持続影響を及ぼすとは陰陽師達は強大な神通力を備えていた事が想像できる。
その結界の効果のおかげで、いままで闇の瘴気が一切国内には入ってくることはなかったのであった。
それを察知していた征夷大将軍は、万が一に結界が破れる事を恐れ、ヤマト神国の諸国全域に武家達を通して条令『諸国流浪探求禁固の令』を国内全域に出していた。
そして、このヤマト神国は長い間、他国を信用せず現在鎖国状態であった、そのせいもあって、外の国々にはヤマト神国は謎の多き国と言われていた。
新国家ドルフ帝國も隣国ヤマト神国には手を出さなかった、いや、出せなかったのであった。
ヤマト神国の北部に位置する山脈【鞍馬山脈】の入江峠を越えたところで一つの煙がたっていた。
一見、のろしのようにも見えたが違うようだ。
そこには一軒の藁葺き屋根の大きな家があった。
どうやら、人の気配と温もりを感じる風景である。
一人の女が炊事をしているようである。
女「旦那様、お食事の用意がもうすぐ整います。」
旦那様「うむ、ゆっくりで良いぞ、拙者は少し外を眺めてござるよ。」
どうやら、この民家は猟師や百姓には見えない、旦那様と呼ばれた男は武家のようである。
旦那様と呼ばれた男が外を眺めながら口を開いた。
旦那様「お鈴(すず)よ、拙者の事を旦那様と呼ぶのは辞めてはもらえんでござらんか?」
どうやら女の名は「お鈴」というらしい。
お鈴「何を今更照れてなさるのですか。私にとっては貴方様は生涯無二の旦那様と決めておりますのよ。旦那様。」
お鈴は満面の笑顔を浮かべていた、
どうやら、二人は新婚生活を最近始めたばかりの武家夫婦であるようだ、二人は幸せ一杯を感じさせ家庭円満な生活をこの山奥でおくっていたのであった。
旦那様と呼ばれる男が木陰を見ていると、野鹿が現れた。
ガサッ! ガサッ!
野鹿は辺りをきょろきょろっとすると再び林の中へと消えていった。
旦那様「風流よのぅ・・」
お鈴「旦那様、お食事の支度ができましたので食事になさいましょう。」
愛妻のお鈴が食事の支度を告げにきた。
旦那様「うむ、わかった。」
っと、その時、林に影がごそごそっと動いた!!
影の男「拓ノ心殿、書状を持って参ったでござる。」
影の男が呼んだ名前は旦那様と呼ばれた男の名である。
拓ノ心「半蔵か、影忍軍頭領半蔵自ら持参する書状とは如何に?」
半蔵「・・・」
半蔵は何も言わずスッと消えていた。
さすが影忍軍頭領半蔵程の男である。
任務が済めばすぐに立ち去る行動、去り際が見事である。
拓ノ心は書状を広げて中を見ていた。
お鈴「行ってしまわれるのですね、旦那様。」
お鈴が心配な表情で伺う。
〔書状〕
北部鞍馬武士団長 細川拓ノ心謙次に告ぐ
急用にて隠密の任を命じたい所存
大殿より直ちに桜花城へ参られよとの事
くれぐれも道中気をつけられよ
拓ノ心「お鈴よ、城から御呼びがかかったでござるよ。」
お鈴は悲しい顔をしていた、どうやら、お鈴には拓ノ心が恐らく長い事帰ってこれない予感がしていたからであった。
拓の心「そのような悲しい顔をするで無いでござるよ。」
拓ノ心は、お鈴に優しい顔で言うのであった。
拓ノ心「拙者はすぐに任を済ませてお鈴の元へ帰ってくるでござるよ。」
お鈴はニコッと笑顔を見せた。
お鈴「鈴は旦那様をいつまでも待っています。」
拓ノ心は旅支度を済ませた。
拓ノ心「お鈴、行って参るぞ。」
お鈴「行ってらっしゃいませ、旦那様。」
拓ノ心は城へ向かったのであった。