第23話:モモドスの憂鬱

作:MASTER-Rさん


-From 14-
時は遡って数ヶ月前
聖地の隣らへんに位置するモモドス公国は滅亡の危機に瀕していた

「うむう…国境に部隊を送ったのはいいが、この城の守りが
  薄くなってしまったのう…」
「国境の部隊が破られればもう止める術はありませんな…」

玉座でうなっている初老の男がモモドス公王
その前で頭を抱えている老人が先代の騎士団長である
このモモドスは先代の王の時代、南の帝国により領土の殆どを奪われ
今では弱小国と呼ばれるレベルにまでなっていた
先代の努力によって一応は対等な関係での停戦条約を結んだものの
数十年経った今、また帝国に不穏な動きがあったと報告されたのである

「まあ、杞憂かもしれんし、儂らはいつも通りにしてればいいじゃろ」
「そうですなあ、それじゃいつも通りにいきましょうか」

…全体的に脳天気なお国柄なのである
ちなみに最前線でも似たような感じのため緊張感の無い事このうえない

「しかし暇じゃのう、なにか話題は無いかのお」
「それでは…もし世界征服をしたら何がしたいかとかはどうですかな?」
「おお!それならすぐに考えつくぞ!儂が世界征服した暁には全ての国民に
猫耳着用を義務づける!魔族も強面のおっさんも総猫耳じゃ!」
「おお!それは面白いですなあ!一度見てみたいですなあ、格好つけた魔族の
猫耳」

ひとしきり笑った後、二人は少し落ち込んでしまったようだ

「しかし…辺境の小国が何を言ってるんだという感じじゃなぁ…」
「そうですな…せめて騎士団が私の代ならばまだ良かったのですが、今の
団長は…」

その時、玉座の間に一人の若い男が現れた
走ってきたのか息を荒げている
「その男こそ魔術も使えて腕も立つ!大天才である今の騎士団長である!」


「…自分で何を言っとるんじゃ」

この男が現在の騎士団長である。公国の中では最も腕が立つが、
よく部屋に籠もり自分の研究に没頭しているためよくは思われていない…
などと食堂のおばさんのあいだで評判である

「それよりも王!ついに私が研究を続けていたゴーレムが完成しました!」
「なんと!?いつも通りすぐに飽きるかと思ったら本当に完成させるとは!」
「…王、そんなに私が嫌いですか?」
「い、いや、あまりに驚いたせいで本音が、な」

団長が研究していたのはこの公国に伝わる神像を基にしたゴーレム技術である
ゴーレムを量産することにより国力の差を補おうというのだ

「それで、そのゴーレムは何処にあるのじゃ!?」
「慌てないでください、サンプルはここに持ってきています。
ゴーレム!ショータイム!

叫んだ瞬間土の人形が現れる!

「グォォォォォ!」

「…随分と小さい気がするのじゃが、役に立つのかの?これ」
「ふっ、驚くのはここからです。
ゴーレム!アクション!

再び叫ぶと、ゴーレムは猛スピードで巨大化していく!

「おお、これはすごい!これならば実戦でも使えるのう!」
「いやあ、私にかかればこんなのお茶の子さいさいですよ!」
「…で、どこまで大きくなるのだ?」

騎士団長の突っ込みにより現在の状況に気付く二人
ゴーレムは天井に届いても巨大化をやめない。
…あっ、天井が抜けた

「…それじゃ、私はこれで」
「なあっ!?無責任すぎるじゃろ!?」
「と、とにかくお逃げ下さい!このままでは城が崩れます!」

ゴゴゴゴ…

結局、これにより城は崩壊、研究成果も瓦礫の下となった
彼らは、いつまでもいつまでも崩れた城を見ていた…

-To 神像計画 THE 凰雷魔-

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