第20話:闇の鼓動

作:邪神王ウロボロス


-From 19-
そこは薄暗い地中の奥底。
地上とは景色が異なる場所、異臭が漂い、地上に存在する下級悪魔・下級妖魔などはここには存在できない程の威圧感が魔の波動とともに辺りに漂う空間である。
この場に迷い込めば、一歩間違えれば最上級魔物・最上級悪魔・最上級妖魔に遭遇する危険度が非常に高い場所だ。
そう、この更に奥底に闇の神殿が存在するのである。その奥に邪神王の気配を悪寒とともに感じる。

邪神王『わしの復活が影響して奴も目覚めようとしている・・』

邪神王はまだ完全ではなく、2割程度しか復活できていなかった。
邪神王の復活には大量の混沌の負のエネルギーと大量の人間達の恐怖のエナジーが必要であった。
そう、ファンファン達や他国の争いで生まれる負のエネルギー、そして、悪魔がはびこる世界の恐怖のエナジーが常に邪神王に集まってきているのである。

邪神王『まだまだ全然足りぬわ・・ちょうど良い、あ奴がでてくれれば完全復活もかなり近くなろぅ・・』


その頃、地上世界の遥か上空、雲の上ではあるが、ちょうどドルフ帝國の真上にあたる位置で微量に高エネルギー反応がでてきていた。
最上もその異変に気づいてはいなかった。
まさか、このような事態に陥るとは誰も想像がつかないのである。
そう、いつ襲い来るか予期できぬ常に訪れる恐怖に怯えていかなくてはいけなくなる事態を・・・


ギュルン・・


ギュルルン・・


ギュルン・・ギュルン・・


バチッ・・ギュルン・・バチッバチッ・・

空間にできた次元の歪みとともに、高エネルギー反応は至大に大きくなっていく。
果てしなく途方にも無く膨れ上がっている。
っと、その時である!!


ドックンッ!!


ドックンッ!!


ドックンッ!!


ドックンッ!!

空間の歪みの中から大きな鼓動が鳴り響く。それは恐怖の始まりの鼓動にも聞こえてくる。
そのとき、とてつもなく巨大な稲妻が空間の歪みに複数発生した。

バリバリバリッ!!!


バリバリバリバリバリバリッ!!!


稲妻の後、そこには、とてつもなく巨大な、とてつもなく大きすぎる存在が出現していたのである。
その頃、闇の神殿では邪神王がその事を察知していた。

邪神王『ついにでてしまったか、暗黒魔界の最上級超魔物アバドンと人の作りし超魔物兵器オメガが融合してできた、禍々しい虚け者めが!!存分に地上で暴れるがよいわ!!喜ばしい限りじゃ!!』

太古の昔、幾万年前より存在した最上級超魔物アバドン。
2万年前の魔大戦で愚かな人間が作りだした超魔物兵器オメガ。
両者ともに恐るべき存在、その両者が長い年月の間、邪神王の瘴気に触れた結果、誕生した超弩級超魔物アバドンΩ、通称【MASTER-R】それが地上の遥か上空に目覚めてしまったのであった。
全長2kmはあろう、町と言わず一国家を一瞬で殲滅する事もMASTER-Rには他愛の無い事であろう。
MASTER-Rは遥か上空をゆっくりと遊泳し始めた。
MASTER-Rには手さえ出さなければ襲われる事は無い。
しかし、目の前に存在する物は総べて無差別に飲み込みながら遊泳するのである。
MASTER-Rには敵味方など判断しないで殲滅して飲み込む習性がある。
また、高エネルギーを好んで吸収してしまう習性も持っていたのであった。
ゆっくりとドルフ帝國上空より遊泳しながら南へ移動し始めた・・・

邪神王『滅びたくなければ触らぬ事だな・・・』

邪神王は眠りについた。




-To 暗躍する影、つかの間の休息…-

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