作:邪神王ウロボロス
京介は背後に見送る二人を後に、東へと足を進めた。
そして、見送る二人も遠くのほうで、もう見えなくなっていた。
そして、京介は一人、さらにさらに東へとひたすら足を進めていった。
それから、しばらく歩くと、深い茂みが辺りを覆っていた。
その茂みをかきわけながら、京介はさらに突き進むと、その奥に遺跡が姿を現したのであった。
その遺跡は、遠い過去に滅んだ跡であるとうかがえた。
遺跡には石像が複数あった。
その石像には目がたくさん彫られていた。
どうやら、この地に遥か昔に生活していた人たちだと京介には思えた。
京介「・・ここは・・百眼族の遺跡というのか?・・」
京介は辺りの様子を伺いながら遺跡の奥へと足を進めていった。
どこまでも続くかのように思える巨大なる遺跡・・
その奥に立ちふさがる壁が現れた、山が削れてできたようだった。
それは壁では無い、そこから先は無く、ただ、山になっているようであった。
だが、一か所だけ、大きな洞穴が口を開けているのを京介は見つけたのであった。
なぜだか、京介はその洞穴に呼ばれているような気がして、その中へと入っていったのであった。
京介「これは?・・」
京介は洞穴の内部を見まわした。
信じられない程のプリズムであった。
その洞穴自体がプリズムでできていたのである。
プリズム鉱山?いや、鉱石を掘っていた形跡は見当たらない。
ましてや、プリズム程の鉱石をそう簡単に掘り出す事など、常人にはできないはずであった、まあ、百眼族ならできそうな気もしないのだが。
中はプリズムに覆われたプリズム洞とでも言える洞窟であった。
京介はその奥に異質なる得体の知れない物を感じていた。
だが、先に進まねばという心で、京介はひたすら、先へと足を進めたのであった。
そして、京介は洞窟の最深部へと到着していた。
だが、京介が感じていた得体の知れない物は何所にも無く、辺りをすみずみまで見回してみたのであった。
しばらく周囲をうかがっていると、一か所だけ、おかしい空域を見つけたのであった。
京介「これは?・・」
その空域には空中に亀裂が生じており、微量の稲妻が走っていた。
京介はその亀裂へと近づいていった。
その亀裂は徐々に広がり、そして、それが闇の塊へと姿を変貌させていった。
京介は、警戒しながらも、その闇を見据えていた。
その闇は巨大な人の形へと変貌を遂げていた。
何所かで見たような形であった。
突然、その闇は京介へと襲いかかったのであった。
京介は大きな破壊力とともにその身を吹っ飛ばされた。
京介「うっ・・・」
京介の全身は周囲のプリズムの壁に衝撃を与えてうちつけられ、全身の骨が砕かれたが如く激痛が走り、その痛みに息も詰まり、声も出なかった。
だが、闇は容赦もせず、京介に迫ってきている。
京介「・・(やばい・・)」
闇の人型は再び京介に襲い狂う。
京介は何もできず、再び宙に吹っ飛び、そして、壁にぶつかった。
京介は気絶した・・
京介は夢を見ていた。
大男「俺様のぶんまで生きろ・・・俺様を持っていけ・・」
気絶している京介に影は再び容赦なく、襲いかかろうとしていた。
京介「・・俺は生きねば・・」
闇の攻撃の一瞬、京介の気絶はとけていた。
そして、紙一重で攻撃を避けたのであった。
そして、その横で、京介は顔をうつむいて拳を握りしめて立っていた。
立っているのも精一杯のはずの京介であったが、もう、何かがふっきれたのか、全身の激痛はどこかへと飛んでいったかのようにも見えたのであった。
並大抵の精神力では無かった。
京介「俺は・・ここで尽きる訳にはいかぬ・・お前がそう望んだはず・・そうだな?・・ゴリアテ?」
京介は襲い狂う影に対して言葉を投げつけたのであった。
影は一瞬、動きを止めたっが、すぐ動きだし、襲いかかってきた。
京介は意識を集中した。
そして、それを開放とともに、技をくりだしたのであった。
京介「必殺奥義、風雷鬼神剣・紅葉おろし!!」
京介の両腕に仕込まれた手甲の刃の凄まじい斬撃により、辺りには凄まじい程に風が吹き荒れ、そして、空気との摩擦によって、稲妻が辺りを走りまくっていた。
影はその攻撃によって、動きを止めた。
そして、一瞬、影はほほ笑んだかのように思うと、徐々に消えていった。
京介は辺りを見渡したが、影は消え何所にも見当たらないどころか、空中の亀裂も消えていた。
そして、京介は、ある一点を見つめた。
そこは、影の消えた場所であった。
そこには、周囲にあるプリズムとは違い、不思議な鉱石があった。
京介「・・これは?・・プリズム?いや、何かが違う、だが、プリズムと似たようにも思える・・」
それは、一見重たそうな大きさではあったが、京介は持ち上げてみた。
京介「軽い、・・・お前はこれを俺に持っていけと言うんだな・・」
京介は何かを悟ったかのような顔つきになっていた。
そして、鉱石を両手で持って、洞窟の外へと向かっていった。
京介は、洞窟から外へ出ると目を疑ったのであった。
遺跡が跡形も無く、何所にも見当たらない。
辺りは鬱蒼と茂みに覆われている。
京介「はっ!」
京介は後を振り返った。
洞窟どころか、壁も無く、山も無い。
何所までも続く茂みだけであった。
今まで幻でも見ていたのかと、疑ったが、両腕には鉱石をかかえている。
京介「夢でも無い・・痛・・・」
それに、全身の痛みはまだ残っている。
少し、よろけながら、京介はセレン達の元へと戻っていった。
そして、神殿までなんとか辿りついたが、そこで、バタッと倒れ伏してしまった。
セレン「あれは、京介さん、戻ってきたのですね、こんなに傷だらけになられて・・」
セレンは京介に近づいて、治癒魔法を施したのであった。
そして、京介を神殿の隅に寝かせていると、クレインがそこへ戻ってきた。
クレイン「えっその男、いやっ京介さん、戻ってきたのですか!」
セレン「信じていたとおりです、戻ってきました。」
クレイン「・・(ちっ、3日経った所で無理やりにでも出発してればよかったのに・・)」
既に一週間が過ぎていた。
京介からすれば一日も過ぎていなかったのだが、洞窟に入って出てきた間に一週間が経過していたのである。
京介「うっ・・うっ・・ここは?、セレンさん・・」
セレン「神殿ですよ、あれから一週間経つので心配しておりましたが、きっと戻ってこられると信じておりました。」
京介「一週間?・・馬鹿な、まだ今日出たばかりのはず・・そうか、時空が乱れていたのかもな・・それよりセレンさん、鉱石は何所に?」
セレン「鉱石?それなら、そこへ置いてありますが、あれは何ですか?初めて見たのですが?」
クレイン「へぇ〜京介さんって石の収集家なんですね(なんだこの石っころは?でっかい石だなぁ、セレン様、どうやって運んだのだろうか?そんな怪力の持ち主だったのか?(汗)」
京介「俺にもわからない、しかし、一つ言える事は、友だ。」
クレイン「貴方のそばにあったので、大事な物だと思い、触れてみると、凄く驚く程軽かったので、ここへ運んでおきました。」
京介はその鉱石を見つめた。
京介「セレンさん、貴方は方々に旅をしてまいられたと聞きましたが、この鉱石を精錬できる程の職人を知りませんか?」
セレンは記憶をたどった。
セレン「知っておりますよ、伝説の鍛冶屋、プリズムを精錬して、いくつもの伝説武具を作ったと話を聞いておりますが、今は鍛冶はもうしていないらしいです、私の名を言えばきっと、京介さんの力になってくれるはずです。」
クレインがびくついている。
クレイン「えっ、あのじいさんの事ですか!!、頑固ですよお・・・」
京介「その鍛冶屋は何所にいますか?」
セレン「ここより遥か東のノアフ共和国の最果て一人で暮らしております。その地で人に尋ねると教えてくれましょう。私は案内してついていってあげたいのですが、残念ながら、旅の途中、これより三教国へと向かうとこでございます、一人ならば、ご一緒させていただくのですが、クレインがおりますので、これ以上は無理です。」
クレインは嬉しそうな顔をしている。
京介「いえ、一週間も足止めしてしまった事、すまなかった、だが、その情報、ありがたく受け取らせてもらいます、これよりは、自分でなんとかしてみせますが、旅の道中お気をつけてください、また、俺も用が済めば、そちらへ向かいます、恩は返さないと気が済まないので。」
クレイン「その言葉だけでもありがたいですよ。(ふんっ、もう二度と会う事も無い。)」
セレン「では、明日には私達も旅へ出ますが、京介さんはどうなさいますか?」
京介は、少し考えて、口を動かした。
京介「俺も明日、出ましょう。」
そして、日は暮れて、一夜が過ぎ明くる朝が訪れた。
三人は旅の支度を整え、神殿の外へとでていた。
京介「それでは、自分はもう行きます。旅の御無事を祈ります。」
セレン「私達も貴方の旅の無事を祈っております、そして、きっと、また会えますように。」
そして、それぞれは、それぞれの旅へと旅立ったのであった。
クレイン「(やっと、あの男がいなくなった・・せいせいする。)」