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第116話:ドルフ軍夕闇計画〜第四章〜

作:最上さん


-From 115-

「こちら2番艦鯱、異常なし」
「こちら5番艦宵闇、敵攻撃により側部多連装誘導弾を損傷、第弐艦橋も破壊されました」
「4番艦夕闇、的攻撃被害により艦の後部と連絡が取れません」
交わされる通信、続く戦闘、まだゾンビが広がる直前に飛び交う電波
「こちら6番艦暗闇、第3砲塔損傷、また下部に小破口確認、数人の負傷者がでてます」
各艦の艦橋はあわただしく、通信手が交信を続け、連絡手が艦内を走り回り、指揮官はひたすら最善を考える
「こちら1番艦鯆、了解した引き続き敵を攻撃しつつ航行せよ」
「こちら4番艦、弾薬庫、と第参艦橋との連絡途絶えました、確認に向かわせます」
「こちら7番艦常闇、敵ドラゴンのゾンビ化を確認、攻撃防ぎきれません!援軍要請します!」
「7番艦、敵の頭を攻撃しろ!頭を潰せばゾンビ化してても倒せる!」
「こちら2番艦、艦内に異常事態発生、全員武装警戒します」
「こちら4番艦、艦員がゾンビ化しています!倒せません!艦橋まで迫っています!」
ゾンビ化した艦員が各艦に出始める、すでに艦隊はパニックになっていた。
「こちら7番艦常闇!艦後部ゾンビで溢れ返ってます!指示ください!」
「こちら1番艦!全艦に告ぐ!頭を打て!頭を潰せばゾンビでも倒せる!不死身ではない!とにかく撃て!」
「1番艦!ダメです!もう第壱艦橋以外ほとんど制圧されました!」
すでに皆解っていた、3番艦鯨で何が起こっていたのか、そしてそれは自分のすぐそこに起きている
「帝王!後部すでに敵征圧下です!」
「無事なものを前部に集めろ!艦内だろうが白兵戦だ!ゾンビ化したものはもう仲間だと思うな!」
昨日までの戦友が敵になる、たとえ空中だろうとそこは戦場だった、あちこちで響く銃声がいつまでもこだまする。
「5番艦通信途絶えました!」
次の瞬間轟音して5番艦が爆発した、艦の真ん中から煙が上がる
敵が次から次にやってくる、通信手の声だけがいつまでも響く
「6番艦、7番艦も通信途絶えました!」
「帝王!ゾンビ、すでに艦のエンジン部を押さえてます!」
「全員銃を取れ!ゾンビを倒すぞ!艦内戦闘だ!」
扉を開けて最上と数人の兵士が艦橋を後にする、そんなに広くない廊下を走りぬける、
銃声と悲鳴が常に聞こえる艦内、あちこちに血が付いている
「エンジン破壊されました!失速します!」
スピーカーから常に状況が報告される、すでに他の艦も同じような状態だった
廊下を曲がり、下の階に降りる、そこはすでに戦闘をしていた、艦内物を持ってきて作ったバリケートを作っている
無事な艦員はバリケートより奥に逃げて、戦闘準備をする。頭を狙い、艦内だろうと重火器を使っている。
「弾まわせ!こいつらどんどん来るぞ!」
どんどん迫ってくるゾンビ、狙えるのは首から上、狭い艦内の廊下は血に染まってゆく
「手榴弾でも、ランチャーでも何でもいい!広範囲武器を廻せ!機関銃じゃ埒が明かない!」
数に圧倒されていたが、数人で固まり迎え撃ち続けたおかげで何とか数が減ってきた、そして盛り返してゆく
6人1部隊で動くことになった、目的は生存者の救出とエンジン、弾薬庫などの確保、
「お前ら、死ぬなよ!」
一声かけて走り出す、エンジンが停止している今、飛行艦が落ちるのは時間の問題だ、
エンジン室まで700メートル、狭く曲がりくねった鋼鉄の廊下を走っていく、曲がり角には手榴弾を投げ、一部屋一部屋確認していく
ほとんど地獄の入り口だった、周りには空の薬莢や銃が転がる、その周りにはかつて戦友だった敵の死体
無線を使って他の部隊と連絡を取る。他も同じような状況だった。戦慄の一言に尽きる世界だった。
「何でこうなるんだよ・・・」
部隊の一人が呟いた3年ほど居る兵士だった、訓練と実戦で追ったであろうその顔の頬の傷の上に涙が流れている
「さぁな、原因はハッキリしないが・・・これから行く場所になら答えはあるだろう、答えを知りたきゃ精一杯生き残るんだな」
軍に10年近く居る砲撃長が言う、革命や戦争をいくつも乗り越えて生きてきた軍人からすれば死は当たり前なのだろう。冷静を保つ
「もうすぐエンジン室だ、他の部隊はどうした?」
「部屋に立てこもっていた生存者を見つけたようで、後方まで送っていって今追ってきてますよ、もうゾンビもほとんどいないでしょう」
また角を曲がる、まだ500メートルはある
奥に3体のゾンビが見える、狙撃手がすかさず頭を狙って撃つ、一体、二体目が倒れた、三対目がこっちに向かってくる、
最上とグレイハウントが機関銃を構えて撃つ、何十発も頭に当る、後ろに血しぶきが飛ぶ、前にも返り血が飛ぶ
「くそ、何体居るんだ、」
階段から別のゾンビが上がってくる、一瞬の躊躇も無く撃つ
「手榴弾を貸せ!」
階段の下に手榴弾が転がっていく、効果範囲は7〜8メートル位、階段から爆音と軽い金属音が聞こえる、
血飛沫が階段の手すりや壁に付くのが見えた。恐る恐る下を除く。
運よく頭に断片が当ったのか顔がつぶれて人とは思えない青白い肌の死体が転がっていた。
「次に行くぞ!」
威勢よく走っていく、狭い場所での訓練はした事がほとんど無かったが慣れと感覚で戦い方を理解していた。
「オラァ、邪魔だぁ!」
「こっちだ!そっさとしろ!モタモタしてんな!」
「どんどん行くぞ!」
血を浴びながらひたすら突き進む、戦い慣れた彼らは全く止まらない。威勢の良い掛け声と共に走っていく
角を曲がる、エンジン室前の通路が見えるはずだった、瓦礫で崩れていなければ・・・
「なんだこりゃぁ・・・」
「よし、応援を待とう、6人じゃそろそろキツイだろう、弾も残りが少ないし、瓦礫は手持ちの火薬じゃ崩せそうにない」
最上、砲撃長、グレイハウントに新兵、連絡手と狙撃手だけではエンジン室奪還は難しい、敵・・・ゾンビの数は不明である
「帝王!5番艦墜落しました!、7番艦も高度がどんどん下がっています。この艦は・・・いま7800メートル、時間がありません!」
「分かってる、弾が足りないんだ、人もだ、瓦礫で通路が塞がっている、参式炸裂薬弾とか、伍式爆薬弾でもいい!」
無線越しに最上が怒鳴る
残り5分もあれば完全に落ちるだろう。
「火薬もってきましたよ!」
別の部隊が応援に駆けつける新兵の部隊だろうか、若いものがほとんどの部隊だった
その後ろからさらに別の部隊が駆けつける、20人位になった、火薬を設置し、物陰に隠れ、火薬を起爆した
吹飛ぶ瓦礫、周りに煙と埃が立つ、足元に転がるボルトやパイプ類に電線、
「行くぞ!エンジン室に突入だ!」
扉を蹴り破る。すぐに20人ほどに膨れ上がった大部隊が突入する。その後からもさらに応援が駆けつける。
エンジン室は広めに設計されていたが天井から剥れた鉄板や機械が散乱していた。
「これは・・・戦闘の影響で潰れたのか・・・?」
壁には大き目の穴が開いていた。そこから瘴気と風が吹き込んでいる。
エンジン室の何の機械か良く分からない計器類の塊やパイプや電線の集まったような柱の影からゾンビ化したドラゴンが現れる
「・・・レッドドラゴンが何でこんなところに居やがるんだよ!」
兵士が銃を構える、狙うのは頭のみ
「散れ!囲って撃てるだけ撃ち込め!」
すぐに散る兵士たち、ドラゴンを丸く囲む様に広がると全員がいっせいに頭を打つ、
「携帯無反動砲を使え!小銃弾や機銃弾じゃ効果がない!」
別の兵士がバズーカを構えて首を狙って撃つが外れる、天井に当たり派手に崩れる
ドラゴンがその兵士のほうを向くとすぐに火を吐いた、一人は何とかよけたが、一人は左腕をやられる
「ぐぁ、う・・・この糞野郎が」
千切れて血が流れ出る左手に構わず右手で機銃を乱射する。今度はドラゴンの右目や口に当る
「馬鹿野郎、さっさと逃げろ!」
ドラゴンがもう一度火をはこうとする。だが別の兵士がバズーカを打ち込む、今度は見事に命中した。
首から上が吹飛ぶ、ドラゴンのどす黒い血が当りに飛び散る
「よっしゃぁ!様ぁ見やがれ!」
周りの兵士が喜び叫ぶ、その興奮が冷めないうちに急いでエンジンを起動させる。
いくつか壊れているものがあるが、回路を変え、別の部品を使って修理して何とか持ち直す
「エンジン稼動を確認!高度また上昇しま・・・」
急に通信手が固まるのが聞こえた
「よ、4番艦が突っ込んできます!」
エンジン室の小破口から外が見える、4番艦夕闇がぼろぼろの艦首をこっちに向けて飛んでくる
「全員退避!ここから出ろ!爆発したら死ぬぞ!」
言われる前から外に出る、そしてできるだけ離れたところで手すりや壁、柱にしがみ付く、
最上は艦橋まで走る。艦橋のドアを開けるとすぐそこに迫ってくる夕闇の姿が見えた
「もっと高度を上げられないのか!?」
「無理です!出力足りません!この高度では下にも下げられません!」
「不時着してもいい!なんとしても直撃を避けろ!」
操舵手が舵を精一杯下げる。艦首がすごい勢いで下を向く
「ダメです!ぶつかります!」
ダメだと思ったとき、急に夕闇の艦首が爆発する。
2番艦鯱が砲塔を全て夕闇に向けていた、どんどん砲撃をする。ミサイルも撃っている
それと同時に7番艦常闇も同じように砲塔を夕闇に向けて砲撃を行っている
「・・・こちら2番艦、ゾンビを制圧した!これより貴艦の援護をする!」
「、こちら7番艦!同じくゾンビを制圧した!援護開始します!」
その通信を聴いた艦員に希望が込み上げる、
「全艦員に告ぐ、各員4番艦夕闇を攻撃するんだ!直撃する前に打ち落とせ!」
もう格好もつけない、敬語も使わず感情的に通信手が叫ぶ
「言われなくとも打ち落とすさ!」
ほかの兵士が通信をかえす。すぐに1番艦鯆の砲塔が回り夕闇に砲撃を開始する。ミサイルも、ロケットも飛んでいく
4番艦の艦首か崩れ落ちる。その間にも1番艦は下にさがる、高度は5000メートルをきっていた。4番艦のエンジンが火を噴き失速する
「どいたどいた!まだ死ぬ気は無ぇぞ!」
無反動砲やバズーカをもって別の艦員が艦橋に入ってくる、窓から身を乗り出しつぎつぎに弾丸を打ち込んでいく。
「4番艦、失速しているぞ!エンジン出力と共に高度も低下!、今なら避けられる!」
今度は1番艦が急上昇をする、一気に持ち上がる艦首
「オラオラオラァ!墜ちろやぁ!」
威勢の良い掛け声と共にどんどん弾丸を4番艦に打ち込んでいく、すでに4番艦の形が崩れていた。
「他の兵も手伝え!弾と火気を集めろ!」
倉庫や弾薬庫から対戦車砲や大型の機関砲を持ってくるとすぐに撃ち込む。
「1番艦高度6500、、4番艦の高度は4700、完全に避けた!避けたぞ!」
通信手の実況に艦内と2番艦、7番艦から歓声が上がる。同時に誰かが叫んだ
「このまま目標に突撃するぞ!」
威勢の良い艦員の歓声が爆音と共に夕暮れの空に響き渡った。

-To 《テオ・テスカトル外伝》魔王-

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