作:邪神王ウロボロス
三番艦鯨の艦橋内部。
魔王テオは指揮官の前にいた。
深くお辞儀をしていると思うと、スッと顔をあげた。
テオ「ここで出会ったのも何かの御縁という事でありましょう。」
テオは指揮官に対して手をさしのべ、握手を求めたのかのように思わせたのであった。
指揮官「いや・・・これは、どうも・・」
指揮官はつい反射的に腕を出して握手してしまった。
テオは指揮官の手を握ると背にたれていた大きな黒いマントを指揮官に覆いかぶせたのであった。
しばらく沈黙が続いた、他の兵達は何がなんなのか理解できずに、微動だもしない状態である。
テオのマントがパサっと指揮官からはがれた。
指揮官「うぃひひひ・・・」
指揮官の顔色と顔つきが先ほどとはうってかわって違っていた。
兵「指揮官殿!?」
指揮官はテオから離れた、テオの口には僅かに血がついていた。
指揮官「うひ・・・報告がある・・うひぃ・・ちこう寄れ・・・うぃひぃぃぃ・・」
指揮官は一人の兵に対して手招きをした。
兵「・・・(いつもの指揮官では無いような・・)」
兵の一人は指揮官に近づいた。
兵「報告とはなんでありましょうか?」
指揮官「よしよし・・うぃ・・」
指揮官が突然兵の頭に噛みついた。
兵「うぎゃ!!」
指揮官は怪力である、指揮官の噛んだ場所からは頭蓋が砕け脳があらわとなり鮮血がピュピュ〜と噴出している。
兵の体を指揮官はしっかりと抱きしめて、噴出す頭蓋に口をあてがい血塗れになりつつも血をゴクゴクと飲んでいた。
頭蓋のくだけた兵の体はビクンビクンと痙攣をしている。
既に息絶えているようだ。
一瞬の出来事に他の兵は動揺している。
兵「指揮官が変になっちまったぁ〜〜〜!!」
一人の兵の声とともに他の兵達も我に返り、その状況を把握したのであった。
兵「撃てい!!撃てい!!撃てい!!銃を撃てい!!」
ターン!ターン!ズキューン!!
ターン!!ズキューン!ターン!ズキューン!タターン!!
一斉に銃口がテオと狂った指揮官へむけられ、一斉射撃された。
・・・・が、しかし、テオは無傷。
テオ「せっかく挨拶してあげたのにぃ、痒いわねぇ」
指揮官が食事を終え、頭蓋の割れた兵の骸?が床へ転がる。
指揮官の体は銃の射撃のせいで穴だらけである。
だが、倒れふせる事はなく、他の兵の方角をジーーーっとみつめると、そのまま、次の標的目指して突進していったのであった。
指揮官「ががががががが・・・もっと血をよこせぇっ!!!!・・・うぃひひひひ・・」
床に倒れていた兵の骸の様子も変であった。
ピク
ピク
ズズズ・・
ゆっくりと起き上がりだしたのであった。
頭蓋は割れ片目は飛び出したれ下がっている。
体内の血液は無いようであって、傷口からは血は止まっていた。
屍兵「・・・う〜う〜〜・・・」
そして、他の兵が近寄る。
兵「おい!?大丈夫か?」
屍兵「・・う〜〜う〜〜・・」
兵「・・(汗」
ガブッ!
兵「ぐへっ!!」
片や一方、指揮官のいる方向は惨劇の嵐であった。
指揮官が兵達を食い散らかしている。
まさに、これは吸血ゾンビと化していた。
テオはそれを腕を組みながら、ただ、見物していた。
艦橋内はほんの数分で吸血ゾンビだらけと化していた。
そして、他の部所の兵士達が艦橋との連絡が途絶え、異変を感じたので、様子を見にやってきた。
屍兵達は、扉をあけた兵にむかって一斉に食いかかる。
兵「ぐへっ!何これれれ・・ぎゃ〜〜〜!・・・・」
吸血屍兵達は開いた扉からぞろぞろと艦内へとなだれだしたのであった。
テオはそれを見ると、ニヤリと微笑みを浮かべて、深く礼をした。
テオ「御馳走様でした・・」
そして、入ってきた、場所からさっと翼を広げ大空へと舞い上がったのであった。
一方、艦内は惨劇から惨劇へと次から次へと伝染していった。
まるで、血を吸われた者は吸血ゾンビへと変貌を遂げ、それは一種のウィルスのようにも思えた。
指揮官「・・うひぃ・・あそこにも・・血がいっぱいありそそそそそそ・・・喉が渇くくくくけけけけ・・・」
最初の餌食となった指揮官はまだ意識?があるようにも思えたが、狂っていた。
艦橋で艦の操縦を指揮官は握ると、遠くに見える艦へと進路を向けた。
そして、艦は他艦へと突進し始めたのであった。
一方、艦内では生存している兵と吸血屍兵達との交戦中であり、あちこちで悲鳴と銃声が響いていた。
兵「あっちいけぇ!!くっくるなぁーーーーー!!」
ズキューン!ズキューン!
あちこちで銃声が響いている。
しかし、その銃声も一つ、また一つと消えていった。
艦橋内では他艦からの通信が鳴り響いていた。
「三番艦鯨・・・どうなっている!こちらのモニターには血塗れの艦内が映し出されている!誰か応答可能なものはいないのか!?」
もはや、誰もそれに出る者はいなかった。
生き残りの兵達も、もうどうする事もできなかった。
兵「くっ犬死か・・・くそっ!」
一人の兵が軍服の腰についていた手榴弾のピンを抜き、吸血屍兵の群へと飛び込んだ。
屍兵「うう・・ううう・・」
!!ッド===−−−−ン!!!
辺り一面に肉片が飛び散る。
指揮官「うひひぃ・・・きたきたきたきた・・・」
艦はだいぶ他艦へと接近し、衝突寸前で向こうの艦が避けたのであった。
そのまま、三番艦鯨は避けられ、急上昇していく。
そして、方向性を見失った三番艦鯨はそのまま地面へと急降下していった。
指揮官「ありりぃ!???・・・血は?・・・血はぁ??・・・もっと欲しいのにぃ・・・」
地面へと三番艦鯨は衝突、叩きつけるが如く衝撃が艦内に伝わる。
そして、衝突した箇所から徐々に潰れていく、そのスピードは速い。
あっというまに艦橋付近まで潰れていた。
指揮官「あれれれれれれれれ・・・地面・・・ぱっご」
指揮官もろとも艦橋は押し潰れたのであった。
無残に残骸となった三番艦鯨からはもくもくと煙が辺りの風にのって噴出している。
それを遥か大空からテオは見ていた。
テオ「なーーんだ、つまらないですねぇ・・・一隻だけですかぁ、そいじゃ、これならどうですかぁあ?(ニヤリ」
テオはぶつぶつと詠唱を始めた。
テオの目が赤く怪しく光りだした。
そしてテオは大きく腕を広げたと思うと、すぐに胸の前で交差させ、体全体を翼で囲った。
すると、徐々にテオの体が足元から宙に分散し始めたのである。
だが、不可思議である。
しだいにテオの体は分散していき、最終には頭部も含め、全て分散してしまった。
そして、後に残されたのは黒い浮遊物体である。
細かい何かが宙に浮遊している、それは何かの群のようでもあった。
テオは細胞単位で分散したのである。
浮遊している何かは何か声を出していた。
うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ
うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ
うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ
うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ
そして、それは敵味方なく、ドラゴン達に対して突進していった。
それに囲まれたドラゴンはまたたく間に血を吸い尽くされ、吸血ドラゴンへと変貌を遂げていった。
そして、吸血ドラゴンは他のドラゴンや魔物達に襲いかかり、気付けば辺り一面にいる魔物やドラゴンの全てが吸血屍鬼化となっていた。
もう、まともな魔物は存在しない・・・
うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ
うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ
うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ
うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ・うにゅ
辺り一面の方々の艦に取り付いた魔物達は砲撃手や兵達を食いちらかしはじめていた。
そして分散したテオも方々の艦へと侵入していた。
兵「痛っ!蜂か!?」
バチンッ!!
うにゅにゅぅ・・
兵「なんだこりゃ?・・・・うへへいぃ・・気持ちいぃぃぃ・・血が飲みてぇ・・・」
そして、全艦に進入を終え、何もかも満足したテオは一箇所に集合しはじめた。
そして、再び上空に、テオは固体として出現したのであった。
テオ「おおお、この地獄絵図こそ、我が心に喜びを沸き与えてくれる・・・うっ・・逝きそう・・うふふ・・それでは、帰りましょう」
テオはだいぶと艦の接近していた首都の最深部の魔城へと滑空して飛び去ったのであった。