作:邪神王ウロボロス
時は少しばかりさかのぼり、暗黒の世となりて、まだ間が無い頃合。
もはや、世界は動乱、魔物が徘徊し、殺戮暗黒の世そのものであった。
この頃にはまだ、四魔帝は地上世界に姿を現れてはいなかった。
平和の無い世とはいえ、のどかな森も点在していた。
その点在する一つの森の中でなにやら異変がおきていた。
空中の空間の一部に異変がおきている。
ビリビリ
ビリビリ
稲妻のようなものがその空間に走り出すと、その空間の領域だけがよどみだしたのである。
そして、気付けばぽっかりと黒い穴が口を開いていた。
ドサッ
穴から何かが出てきた。
そして、それは森の片隅に落ちて、横たわっていた。
どうやら、人のようだ。
黒い鎧を身に纏っている。
だが、その鎧も、破損が激しく、その者自身もかなりの深手を負っているようだった。
そして、意識も無い。
ずたぼろになって横たわる者。
男のようだ。
ちょうどその頃、近くに通りかかった二人の旅人の姿があった。
それは、法衣を纏った若い男女であった。
女「おや!?、クレイン、この森の中に歪みを一瞬だけ感じましたが気になります。」
女は男にそう言った。
クレインとは男の名前であった。
クレイン「セレン様、少し待っていてください、見てまいりましょう。」
セレンとは女の名前であった。
セレン「いいえ、私も参ります。」
セレンがそう言うとクレインは何も言わず森の中へと入っていった。
セレンもまた、森の中へと後を追うように入っていったのであった。
そして、しばらく森の中を二人は探索していると、木の木陰に横たわる男をクレインは発見したのであった。
クレイン「あれ?セレン様、人が倒れていますよ!?」※《この場面は第105話にでてきました。》
そこにはかなりの深手を負った男が倒れていた。
セレンはクレインに言われて、すぐに男のそばにかけよった。
セレン「何故このような所に人が倒れているのでしょう、でも、この人は、かなりの重症を負っているようですね。」
隣では、少しおどおどしながらクレインがセレンを見つめていた。
セレン「とにかく、ここには置いて行く訳にはいきません、運びましょう。」
少しあせるクレイン。
黒い鎧をまとっている男をみつめる。
クレイン「ですがセレン様、この人が良い人なのか悪い人なのかもわかりませんよ?・・・」
セレンはクレインをキッと睨んだのであった。
セレン「私達の身分は人を選びません、運びますよ!」
クレインはセレンにそう言われると、しぶしぶ男を背負ったのであった。
当のセレンは何も運んでいませんでした。
クレイン「・・・・(結局、僕が運ぶのですか・・・セレン様・・・重い・・)」
セレンはクレインの後ろから着いていき、背負う男に治癒魔法を唱えていた。
だが、男の傷は酷く、治癒魔法ではなかなか癒える事はなかったのであった。
そして、しばらく歩くと、遠くのほうに小屋が一軒見えてきたのであった。
セレン「あそこに小屋が見えます、あそこに参りましょう。」
そして、傷ついた男を背負い、二人は小屋まで運んでいった。
小屋には人が住んでいた形跡が残ってはいるが、どうやら暗黒の世にもなって、今は空家となっているようだった。
多少荒れてはいるが、生活用品などはそのままの状態で残っていたのであった。
小屋の中にはベットがあった。
男をそのベットに寝かせたのであった。
セレン「とりあえず、鎧を脱がしましょう。」
二人は男の鎧を脱がした。
そして、そのあと、クレインは小屋の中を色々見てまわった。
クレイン「セレン様、ここに医療品がありますよ、まだ使えそうなのがあるかもしれません。」
クレインは見つけた医療品をセレンのもとへ持ってきて置いた。
セレン「役にたちそうですね。」
セレンは使えそうな薬を医療品の中から選び、男の身体を手当てしたのであった。
クレイン「セレン様、僕は食料になるものを探してまいります。」
セレン「よろしくお願いしますね。」
クレインは外へ食料を探しに行った。
それから、しばらくの刻が過ぎていた。
男「・・ぅう・・う・」
男は意識を取り戻したのであった。
セレン「はっ、しっかりしてください。」
男「・・う・・みっ・・水・・」
セレンは自分達の荷物の中から水筒をだして男に飲ませた。
ゴクッゴクッゴクッ
男「はっ!ここは何処ですか?そして、貴方は?」
男は起き上がって、セレンに尋ねたのであった。
セレン「私達も旅をしておりますので、あまりこちらの地理には詳しくありません、ですが、キリル教国の近くである事は確かです。私はセレン・ティアノートと申します、あと、連れの者がクレイン・ゼノサキスという者がおります。貴方は?」
男「私は・・・・・・・・・・・・」
男は名を聞かれ、何か言おうとしたが、しばらく黙り込んだのであった。
だが、しばらくして、男の口が動いたのであった。
男「恩義を受けた者に名乗らぬは失礼、私の名は京介と申します。」
そのとき、外からクレインが戻ってきたのであった。
ガタッ
扉の開く音。
クレインが入ってきた。
クレイン「野生の果物ぐらいしかありませんでした。・・・はっ!」
クレインは男が意識を戻しておきているのを見て驚いた。
クレインは勘違いした。
クレイン「あ・・あなた!・・セレン様に何もしてませんね!!!?・・あわわ・・」
小屋に見知らぬ男とセレンが二人きり、クレインは変な事を考えてしまっていた。
それに気付いたセレンはクレインに話しかけた。
セレン「あの?何もありませんが?この方の名は京介さんです、貴方の事も話しておりますよ。ところで、何とは何でしょうか???」
セレンは首をかしげてクレインに聞いたのであった。
クレイン「・・・・いや・・いえ・・あの・・なんでもありません・・・・」
顔を赤く染め、クレインはそのまま黙り込んでしまった。
セレン「ぷっ(笑」
そして、セレンは再び京介のほうを向いた。
セレン「京介さんは何処から来たのですか?」
京介はそれに応えた。
京介「試練の塔で闇の者と戦っていたが、どうやら、妙なホールに放り込まれてしまい、気付けばここにいた。」
セレンは京介の言っている事が理解できなかった。
セレン「あの、今あなたは何の塔と申しましたか?」
京介「三大国の消えた場所にある試練の塔ですが?ご存知ありませんか?とても有名なんですが。」
セレンはまったく理解できなかった。
何故かというと、セレンは過去に勉強で習った事はあったが、試練の塔とは、約2万年前の第一次暗黒魔大戦が始まる前に謎のまま姿を消した塔という事で文献にのっていたのを見た事があるだけであった。
クレインが動いた。
クレイン「あなた、頭おかしいのではありませんか?」
それをセレンが止めた。
セレン「クレイン、私が話します。」
京介は何がなんだか状況が読めていなかった。
京介「どうしたのですか?」
セレン「貴方の目を見ている限り、嘘は言っていないようですね、試練の塔とは、もう存在しません。」
京介は意味がわからなかった。
京介「いや、つい、こないだそこに私はいました。」
セレンはそのまま続きを話した。
セレン「落ち着いて聞いてくださいね、試練の塔は2万年前の第一次暗黒魔大戦の始まる前に謎のまま消滅したと文献に記されていました、そして、今はついこないだ、第二次暗黒魔大戦が始まったばかりで、世は乱れ、世界には魔物が徘徊し、全てが混沌としております。・・・・・クレイン、書を出してください。」
セレンはクレインに荷物から書を出すように命じた。
クレインは荷物の中から一冊の書をセレンに渡したのであった。
セレンは書を京介に渡した。
京介「これは?」
セレン「それは、遥か昔に試練の塔にあったとされる魔法書の一つです、フィアナの書・光竜の章です。試練の塔が消え、世界に散らばったと聞いております、それがその一冊です。」
京介は無言になった。
京介「・・・・」
そして、京介の手が震えていた。
京介「・・・・(あれは・・・夢ではなかったのか・・・ゴリアテ・・私を生かす為に・・・意識が薄れていく中でかすかに見えていた・・・)」
そして、京介は沈黙をといた。
京介「どうやら、私は2万年も時空を流れてしまったようです。だいたいの状況は飲めました。この度は、助けてもらいありがとう。」
京介は二人に礼を言ったのであった。
京介「セレンさん、貴方の話を聞いて、この世界もまた動乱の世と知りました、傷が癒えしだい、私は世界を旅して流れた時間分の勉強をしたいと思います。もし、よろしければ、途中まででかまいませんので、旅に同行させてもらってもかまいませんか?」
京介はセレンに聞いた。
クレイン「なっ!?」
セレン「こちらこそ、よろしくお願いします。」
クレイン「セレン様・・・・・・・・・」
セレンは快く了解したのであった。
そして、3人は一緒に旅をする事になったのであった。