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第105話:=四魔帝外伝=《神に仕えし者の章・始まりの序曲K序曲の始まり》

作:邪神王ウロボロス


-From 104-



地上世界、三大国の謎の消滅後、数十年の歳月が過ぎ去り、その地はよみがえり、青々とした大地に森が誕生していた。

そして、地方近隣諸国の貿易路が作られ、人々が旅路の道として賑わっていた。

森の中央にはいつしか、空高くまで貫かんとする程の高さを誇る塔を中心に三本の塔が建っていた。

その塔は、一人の者によって、10年の歳月だけで建造された不思議な塔である。

そう、たった一人でここまでの塔を三本、しかも、たったの10年で建てられたのである。

近隣諸国では、あまりにも不思議な塔であるが為に、「あの塔は生きている」などと言う者までいているほどである。

その塔の内部構造もまた矛盾の多い不思議な迷宮となっており、かなり複雑な罠仕掛けなども施されていた。

そして何よりも、その塔には建造した張本人だという、大賢者が一人住んでいた。

大賢者のもとへ辿り着くには必ず塔の入り口から入り、塔を登らなければ辿り着く事はできないように強力な魔法結界が塔に付与されており、塔の周囲の上空には一匹の大きな魔獣が空を我が物顔で飛びまわっていた。

そのため、いかなる者であろうと、どのような手段を使おうと、必ず一階入り口から登るしか他に方法は無かった。

そして、大賢者は誰も知らないような不思議な強力な魔法をいくつも所有しており、辿り着けた者には、その進路に見合った魔法を授けていたのであった。

その事によって、世界中より様々な職の者達が訪れ、一つの試練の場としていた。

その塔のてっぺんまで到達すれば、自然と魔力が増幅できているような塔の仕組みであるので、到達者は更なる上級職への転職、又は、新職業の創始者になる為の権利を得る事ができたのである。

また、その塔を訪れる者達が頻繁に訪れる事を利用して、塔のそばにはいつしか宿場町ができており、商人達の商いの場ともなっていた。

そして、その塔は誰もが試練の塔と呼んでいた。

本来、塔には所有者である大賢者の付けた名称があったのだが、歳月とともに忘れ去られてしまっていた。

その名称は、大賢者の思い入れが大きくこめられていたという・・・






宿場町、それはそれは賑わっている。

繁華街には活気盛んにも露店が並び、その周囲にはたくさんの宿屋が建ち並んでいた。

腕試しをする決闘場もあれば、又は、パフォーマンスを見せている大道芸人。

そして、吟遊詩人が音色を奏でていた。

その中には、より一層強い魔法を手にいれようとする魔法使いや魔法騎士達、そして、治癒魔法や神聖魔法を極めようとする僧侶達、それ以外にも、聖騎士、召喚士、、、、、などと、様々な職の者で溢れ賑わっていた。

そして、そのような者達の中で喧嘩や犯罪を抑える為に、傭兵を雇い用心棒としている宿屋も多く点在した。

そしてまた、今日、あらたに宿場町に入ろうとする者達が数人いた。

一人は筋肉むきむきで身体中に傷痕が散乱している大男、背中にはとてつもなく巨大な両刃斧を2本背負っている。

どう見ても、魔法を会得する為に来たようには見えない、用心棒の職探しなのか?

それにしても、何故両手で振るうのも精一杯そうに見える斧を何故2本も所有しているのか、軽々と背負っている。

脳まで筋肉になってしまったのか?と、思わせぶりである。

そして、その横には細身で綺麗な服装をしている女性のような男。

楽器を背負っている、吟遊詩人?のようだ。

澄んだ表情に、気品を感じさせてくれる。

そして、その後ろには魔法使い・僧侶と続き。

その後を黒い布に身を包み、顔まで隠す男と、そして、ボロ布に身を包む男、こちらも顔を隠していた。

両者ともに無口で歩いている。

この6名、どう見ても異様な組み合わせである。

旅は道連れとは言うものの、何処で知り合ったのか?と考えさせられてしまう光景であった。

筋肉男「ふっしししっ、やっと着いたか、俺様はここで荒稼ぎしてやるぜぇ、このゴリアテ様を一目見りゃ、誰でも用心棒に雇いたくなるはず。」

さすが筋肉自慢、猪突猛進型とはこういう奴を指すのであろう。

筋肉だらけで、頭は悪そうである。

ゴリアテ「お前ら、金さえ出せば守ってやっても一緒に登ってやってもいいんだぜ?トロアさんよぉ、どうだ?」

トロア(女性型男)「好きにすればいいじゃない、私はここで試練の塔に登り、魔法歌を完成させたいだけなのよ、守りなんて必要無いわ、ねぇジグルトさん、カリムさん、あと、無口なお二人さん。」

ジグルト(魔法使い)「わしもより強力な魔法を早く会得したいだけだ。」

カリム(僧侶)「私もとくに、筋肉は苦手ですので(汗」

黒布「・・・・・・」

ボロ布「・・・・・・」

ゴリアテ「おっお前ら二人あいかわらず、ふんともすんとも言わねぇなぁ(・・こいつら苦手だ)」

黒布「・・・・・・」

ボロ布「・・・・・・」

ゴリアテ「・・・・・・」

カリム「私は好きですよ、二人とも、らくですから(汗」

おそらく、会話しなくても良いという意味でらくなのであろう。

トロア「貴方みたいな筋肉自慢って何処にでもいるのよね(笑」

ゴリアテ「なぬ!?聞き捨てならねぇなぁ、いつでも勝負してやっぞぉ!!」

トロア「そうそう、そうやって、すぐ暴力に訴えようとする。」

ゴリアテ「・・・・・くっ・・ぬやろぉ!」

ジグルト「まぁその辺で止めておいて、町の中に入ろうではないかぁ。」

仲が良いのか仲が悪いのか、よくわからない集団であった。

そして、集団は宿場町の中へと入っていった。

宿場町に入ると全員立ち止まった。

盛り上がる繁華街の露店、宿屋の呼び込みなど、町は盛んである。

活気盛んである。

トロア「皆さんはこれからどうなさるの?」

ゴリアテ「俺ぁ雇い主でも探す、だから、もう行かせてもらうぜ。」

ゴリアテはそう言うとそそくさと、町中へと消えていった。

カリム「とくに宛もありませんので、御一緒させてもらってもよろしいでしょうか?」

トロア「別にかまわないわよ、貴方達もどう?一緒に行動しない?」

ジグルト「わしはかまわんでくれ、一人が好きでな、一足先に塔に登るとするよ。」

黒布「・・・・・・」

黒布の男は首を縦に動かしたようだ。

ボロ布の男の姿はすでにその場から消えていたのであった。

トロア「あれ?なんにも言わずに行っちゃったぁ、ボロの人、あいかわらず無愛想ね、という事で、またこれからよろしくね、ジグルトさんも頑張ってくださいね、私達は明日にしますわ、貴方は寂しいわねぇ、同類が減って。」

黒布「・・・・・・」

カリム「さぁ、宿でも探しに行きましょう。」

トロア「じゃぁ、行くわねぇ、ジグルドさん頑張ってくださいねぇ。」

3人は宿探しに町中へと消えていったのであった。

ジグルトもまた、塔の方角へと町中へと足を進め入れて、試練の塔の入り口の前にいた。

ジグルト「ここが入り口か、大賢者様とはどのような御方なのであろうか、楽しみじゃな。」

ジグルトはそう言うと、塔の中へと足を踏み入れた。

塔には不思議な磁場が働いている。

ジグルト「むっ、さすがは試練の塔と言うだけの事があるわ。」

中は迷宮というよりも、魔宮と呼んでも不思議ではなかった。

ジグルト「それでは進むとしよう。」

ジグルトは緊張感を張りながらも、奥へと奥へと足を進み入れていった。

しばらく歩くと、通路がいくつにも分かれている不思議な空間に出くわしたのであった。

ジグルト「これはこれは。。。ふっ・・・ぶつぶつ・・」

ジグルトは詠唱を始めると、道が一つにまとまり、分かれ道が消えていった。

ジグルト「この程度の仕掛けなど、まだまだ子供騙しじゃの。」

そして、ジグルトは塔の迷宮の中を、奥へ奥へと進み、消えていったのであった。






一晩明けて、朝になっていた。

町の中央、そこには、朝の静寂の中に、一人のボロ布の男が立っていた。

ボロ布「・・・・・・ふん・・」

ボロ布の男が始めて口を動かしたのであった。

それから、しばらくの刻が過ぎさり、朝の静寂も消え町は賑わいを見せ始めていた。

っが、その時、ボロ布の男が動いた。

ボロ布の男から異様な力場が発生したと思うと、禍々しい黒いオーラが辺りに広がり始めたのである。

地面は腐食し始め、木々は腐り落ち、建物は崩れだした。

ボロ布「つまらぬな・・」

その異様な状態、状況に気付いた者達が、ボロ布の男を見る。

騎士「あいつの仕業だ!!、させるかーーーー!!」

騎士は呪文を軽く詠唱したかと思うと、腰の剣を抜き、剣に唱えかけた。

剣の刀身に紅蓮の炎が付与された。

騎士「この魔法剣の糧としてくれよぉ!!でやっ!!」

騎士はすかさず、斬りかかった!

っが、しかし、瞬時に騎士の姿が消えた・・・・・というより、地面には鎧だけが落ちている。

どうやら、騎士は一瞬で溶けてしまったようだ。

ボロ布「もろい・・弱い・・恐怖も生ぬるい・・」

そばにいた者達はゾンビと変貌を遂げていた。

それは、町中に惨劇を呼び、そして、広がっていった。

一方、その頃、宿屋の前で戦闘している者達がいた。

トロア「私の光の詩で浄化してあげますわぁ!」

   〜〜♪〜〜〜♪〜〜〜♪

      〜〜♪〜〜〜♪〜〜〜♪

   〜〜♪〜〜〜♪〜〜〜♪

       〜〜♪〜〜〜♪〜〜〜♪

吟遊詩人トロアの奏でる音色が辺りに流れる。

襲い狂うゾンビ達が浄化され、崩れていく。

そのそばでは、黒布の男が顔を出し、両手には長く鋭い鉄の爪を装着して身構えてはゾンビを斬り倒していた。

カリム「おお、麗しの・・・ぶつぶつ・・」

カリムは聖域結界をはりつづける聖なる言葉を唱え続けていた。

ゾンビはやっつけてもやっつけてもキリが無い程に沸いてでてくる。

3人はだいぶ疲れてきていた。

トロア「まずいわね・・はぁはぁ・・」

黒布「・・そうだな・・」

トロア「えっ?喋った??!!」

トロアは黒布の男が始めて喋った事に対して一瞬ゾンビなどどうでも良くなるような驚きであった。

カリム「・・ぶつぶつ・・はぁはぁ・・ぶつぶつ・・」

っとそのときであった。

大男「どぉりゃぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!だぁっはぉーーーーーーーーーーーーーはははっしゃぁ===−−−−!!」

遠くから物凄い勢いで大声をあげながら走ってくる男の姿がうかがえた。

3人「????????!!」

トロア「なっ!!なんですか??・・」

遠くのほうから、筋肉むきむきの男が両手に巨大な両刃斧を振りかざしながら、暴れ狂いながらも、ゾンビ達を一掃しながら突き進んでくるではありませんか。

誰もが目を疑った、猪突猛進にゾンビをバッサバッサとまとめて倒しながら向かってくる姿など、目を疑わないほうがおかしい光景であった。

その姿はよく見ると、ゴリアテであった。

こういう光景を見せ付けられると、頼もしいとしか言い様がなかった。

だが、不思議である、何故ゾンビにならないのかと。

でも、誰もそれを考える事はなかった。

ただ、思った事は一つ、自分も筋トレしよう。

筋肉恐るべしと、一瞬考えてしまったのであった。

そうしてる間にも、ゴリアテはすぐ目前まで来ていた。

3人「・・!(あっ足早!)」(汗)

ゴリアテ「おーーう!お前らぁーーーー生きてたかぁーーーーシャーーーーーおりゃぁーーーーどりゃどりゃどりゃっ!!!ぬんぬんぬんふんふんふんしゃーーーーー!!」

3人唖然・・・

喋りながらでも、両手の巨斧を振り回している。

トロア「つよっ!?・・」

カリム・黒布「・・・・(汗」

3人はふと我にかえり、辺りを見回すが、かつて繁栄していた宿場町の風景は地獄絵図と化していた。

暴れながらも、それを察したゴリアテの口がまた動いた。

ゴリアテ「おっお前らぁーーーーー!!こっこはやばいぞぉーーぉりゃどりゃぁ−−−!!道は俺が開くぅーーーーりゃーーー!!ついてこぉーーーーーーぃいりゃぁーーーーーーーーーー===−はっはぁ!!」


バシュッドシャッ!!ドンッ!!ズシャ!!バシュ!!・・・・・

ゾンビの吹き飛ぶ音が散乱している。

ゴリアテの言う事に全員無言でうなずいたのであった。

3人「・・・・(汗」

ゴリアテは常人ではありえない俊敏な動きで、見事な斧捌きをしていた。

ゴリアテ「くぅーーーりゃーーー!!らちがあかねぇーーー技をつかーーーうぞぉーー!!すぐに突っ走れぇーーーりゃーー!!」

ゴリアテの動きが一瞬止まる!っとゴリアテの口が動いた。

ゴリアテ「鬼神剛将乱舞!!」

ゴリアテはそう言うと、両手の巨斧を合体させて、ブーメランのように投げたのであった。

巨斧は激しく回転しながら一気に塔の入り口まで飛んでいった。

それまでにいたゾンビ達は見事に一掃されており、巨斧は再びゴリアテの方角にクルクルっと方向転換して戻ってきた。

ゴリアテはその巨斧へ軽くジャンプしてキャッチしたのであった。

3人「・・・・(汗」

3人は唖然としていた・・・

ゴリアテ「いっまだぁーーーー走れぇーーーーーぇっ!!」

3人「はっ!!」

一気に4人は突っ走った、入り口めがけて突っ走ったのである。

そして、なんとか入り口へ辿りつき、すぐに中へと駆け込んだのであった。

どうやら、塔の結界のおかげで、ゾンビ達は中へ入る事はできないようであった。

外の様子は地獄である。

ゴリアテ「もうここまで来ちまったら俺様も塔に登るしかねぇなぁ。」

ゴリアテは息一つ乱していない。

只者では無い、誰もがそう思った。

カリム「この事態を大賢者様へ報告しましょう。」

黒布「それしか無いな。」

全員黒布の男の方を見た。

3人「・・・(喋った!)」

ゴリアテ「お前喋れるじゃねぇかぁ・・(汗」

そして、4人は塔を登っていった。






一方、その頃ジグルトは大賢者のそばへと到着していた。

そこには白いローブを纏いし白髪の老婆が一人、椅子に腰かけていた。

ジグルトはその老婆の前で、深々とひざまずいていた。

老婆「そなた、そのようにひざまずかなくとも良い、立ちなさい。」

老婆は優しく笑顔で、ジグルトに対してそう言ったのであった。

ジグルトはすぐに立ち上がり、深々と礼をしたのであった。

ジグルト「貴方様が大賢者様でございますか?」

老婆はその問いかけに対して微笑みながら返したのであった。

老婆「外界ではそのように呼ばれているようですね。」

大賢者は微笑みを絶やさないで喋り続けた。

大賢者「貴方はここへ何を求めに参ったのですか?」

ジグルトは大賢者の問いかけに対して答え始めた。

ジグルト「はい、わしは、いやわたくしは、王宮に仕える大魔法使いで名を馳せておりましたが、ここの噂を耳にしまして、己の魔法の限界を知ってしまいました、そして、ここへ来ればあらたに魔法使いとしての力量の限界を突破できるのではないかと思い参上致しましたのでございます。」

大賢者「そうでありましたか。」

ジグルト「大賢者様、どうか御教授お願い申しあげます。」

大賢者「わかりました。では、少々お待ちください。」

大賢者はそう言うと奥の方に置いてある本棚より一冊の本を取り出し、ジグルトのもとへと戻ってきた。

大賢者「この本に目を通してください、そして、そこの部屋を御自由に使ってください。」

大賢者はそう言うと、本をジグルトへ手渡して再び椅子に腰をかけた後、目を閉じたのであった。

ジグルト「ありがとうございます。」

ジグルトは礼をすると、使ってよいと言われた部屋の中へと入っていった。

そこには、様々な魔術用具が揃っていた。

ジグルト「こっこれは!?」

ジグルトは思った、ここならば魔法を会得するに充分になにもかもが揃っていると。

ジグルトは椅子に腰をかけると本に目を通し始めた。

そして、40時間程の刻が過ぎ去った。

その頃、塔の内部では既に登る最中の者とも途中で出会ったりしていたが、誰もがプライドを持っている為に、決して一緒に登ろうと思う者はいなかった。

その中で、必死に登る4人の集団がいた。

外の様子を唯一知っている4人である。

途中に出会った者へ恐怖心を与えてはいけないという事で、下界の様子を一切口にする事は無く、必死に塔を登っていた。

だが、とうとう、行き詰ってしまったのである。

目の前には大きな壁、それだけである。

進めない、終わった、誰もがそう思った。

トロア「どうやら、ここで行き止まりのようですわね。」

カリム「でも、戻る訳にはいかないですよぉ(汗」

黒布「・・・・」

ゴリアテ「お前らぁ、諦め早いぞぉ?」

そのときであった、遠くの方から一人、誰かが歩いてきたのであった。

ゴリアテ「おっお前ぇか、無事だったのかぁ無口野郎!」

4人の前に来たのはボロ布の男であった。

ボロ布の中で怪しく目が赤く光っている。

ボロ布「・・ふっ・・」

ゴリアテは気付いた。

ゴリアテ「お前ら、先へ行け、その壁は幻だと信じれば進める、ここは俺と二人だけにしてくれ。」

トロア「何故そんな事が貴方にわかるのですかぁ?、どうしたの?あっほんとに通り抜けれる・・」

トロアが壁の中を通っていくと、その後を追いかけるように、黒布の男とカリムも通り抜けていった。

《ゴリアテvsボロ布の男》

ゴリアテ「お前がこの騒動の犯人だな(にやり」

ボロ布「・・ほぉ・・貴様、人間では無いようだな。」

ボロ布の男はゴリアテの正体を見抜いたような言葉を発した。

ゴリアテ「そうだ、俺様は百眼族だ、だからあの壁の向こうも見える、そして、お前の魔力も通用しない。」

ゴリアテはそういうと、全身の筋肉に力を込めた。

すると、全身にある傷跡がゆっくりと開いていった。

その開かれた後には目が現れたのである。

全身に目を持つ種族、それが百眼族である。

百眼族は生まれたときから知力に優れ、魔力を持って生まれでる種族。

本来、魔法を得意として体型は細身であるが、このゴリアテは、突然変異の巨体で生まれたというよりも、巨人族とのハーフとして生まれた異形なのであった。

それ故に、百眼族を追放されてしまい、荒野をさまよい、そして荒くれ者になっていた。

ゴリアテ「お前の息の根はここで止めておく。」

ボロ布「・・そうか・・歯痒い・・雑魚が・・」

ボロ布の男は不敵である。

ゴリアテは両手に巨斧を構える。

そして、今まで見せた事の無いような真剣な表情をしていた。

言うまでも無いが全身目だらけであるので気持ち悪い。

ボロ布「まぁ、試してみるがいい、お前の力とやらを。」

ゴリアテは己がなめられている事を察知していた。

ゴリアテ「鬼神剛将乱舞!!」

ゴリアテは再び下界で使った技をボロ布の男に放ったのであった。

巨斧はボロ布の男の右腕に命中しそのまま再び巨斧は反転して左腕に命中したのであった。

ゴリアテは勝ったと思ったのである。

軽くジャンプをして巨斧をキャッチした。

しかし、おかしい、腕2本飛ばしたはず・・・・・・いや、不自然である。

ゴリアテ「お前・・両腕がもとから無いのか!!?・・」

そうである、ボロ布の男には両腕などもとから無かったのである。

つまり、ゴリアテの放った技を軽くかわしたという事になるのだ。

普通ならば胴体で寸断されているはずの技であった。

ボロ布「・・それだけか?・・」

ゴリアテの背筋が凍りつくように緊張している。

ボロ布「では、こちらの番だな・・・」

ボロ布の男が軽く念を飛ばすと、周囲のレンガ壁がボコボコボコっと飛び出てきたのである。

そして、その飛び出てくるレンガに魔力が込められているようであった。

そのレンガが次々とゴリアテ目掛けて猛スピードで飛んでいく。

ゴリアテ「うっ・・うっ・・」

ドスッドスッドスッ・・・

ゴリアテ「この程度でこの肉体が壊れるものかぁーー!!」

そう言うと、ゴリアテは大きく巨斧を振りかざした。

ボロ布「その程度ではありませんよ。」

レンガのスピードと量がどんどん増え続けていったのであった。






一方、3人はなんとか塔を登り続けていた。

カリム「ゴリアテさん遅いですねぇ。」

トロア「あの筋肉馬鹿、意外と不思議な人ですよね、まぁどうせ猪突猛進で追いついてきますよ。気にしない気にしない。」

黒布の男が立ち止まった。

トロア「どうしたのよ?」

黒布の男は後ろを振り返った。

黒布「来るっ!」

トロア「何がよぉ?ん?」

全員が揃って後方を見つめた。

すると!?

奥の方から何かが飛んできたのである。


ビューーーンッ

ドズシャ

カリム「え!?こ・・」

大きな死体が目前に落ちている。

それはまさに肉塊である。

全身でこぼこにへこみ、そして、傷口というよりも、切れた部分からは眼球が飛び出ていたりちぎれた跡であったり、血もたくさん流れでている。

凄まじい惨殺死体である。

屍はもう何も語らない・・・

トロア「この人・・・ゴリアテさんでは・・あ・・あ・・」

言葉が誰もが喉で止まる状況であった。

そして、通路の奥の方角には赤く二つの光が近づいてきていた。

ボロ布の男である。

ボロ布「まだ、ここにいたのか。」

トロア「何よぉ・・あんたそんなに御喋りだったのぉ・・ゴリアテさんにいったい何したのよぉ・・」

黒布「状況は判断した、ここは私に任せろ、先へ急げ。」

カリム「死なないでくださいね黒布さん、あの名前教えてください。」

黒布「後で教える(ニヤリ」

カリム「絶対ですよ。」

トロア「上で待ってるからね。」

そう言うと2人は無残に横たわるゴリアテの屍を後に黒布の男に任せ先へと進んでいった。

《黒布の男vsボロ布の男》

ボロ布「・・ふんっ・・雑魚どもが・・」

黒布「ここで本気を出す事になろぅとは・・ここからは進ません。」

黒布の男はそう言うと、全身に纏いし黒布の衣を放り投げた。

そこには一人のたくましい男の姿があった。

全身には一見装甲の薄めには見えるが、前身隙間無い程に作りあげられた見事な黒い鎧が装着されていた。

そして、それは妖しげにな輝きを発していた。

黒布「この闇鎧“タナトス”はダークプリズムでできている。貴様の魔力など全て吸収され、無力だ。」

しかし、ボロ布の男は驚く事も無かった。

ボロ布「・・お前ぇ・・話が長いな・・」

黒布の話などどうでもよかった。

ボロ布「まぁいい・・邪魔だ、先に行くぞ・・どけ・・ゴミ」

ボロ布の男は黒布の事などどうでも良いように先へ進もうとした。

だが、それを妨げるように黒布はボロ布の男の前をさえぎった。

黒布「生かしてここは通さん!!」

黒布はそう言うと、両手の鉄の爪を構えた、だがそれだけではなかった。


カシャカシャンッ


両腕の甲の部分から刀身が何本も出てきたのである。

黒布「私はアサシン最強を目指している、貴様は格好の腕試し、何度もこの塔を最上階まで往復し、鍛えた技を貴様で試させてもらう、それが、この格好の修行場を与えてくれた大賢者への恩義だ。」

ボロ布の男は足を止めた。

ボロ布「くどいなお前、もう死ね。」

その瞬間、物凄い闇の波動がボロ布の男から発せられた。

波動とともに物凄い突風が黒布を襲う。

黒布は両腕を前に交差しつつ、身体を少し前に倒して防ぐのが精一杯だ。

黒布「ぐぐっうっ!!」

ボロ布の口がゴニョゴニョっという程度で動いたかのように見えた。

ボロ布「・ボソボソ・・」

どうやら、何か呪文を唱えたようである。

そうすると、突風に混ざりし闇の波動が黒い刃となって黒布を襲った。

黒布は防ぐのが精一杯であったが、本気を出したようで、紙一重でそれを全てかわし続けている。

まさに神業の境地である。

早いっ!、黒布はひたすらかわし続けている。

ボロ布「お前、楽しい奴だな・・」

だが、黒布もいつまでもかわし続けていると無駄に体力を消耗していっていた。


ビシュ!

ビシュッ!

ビシュビシュ!

ビシュビシュビシュ!


鎧の纏われていない頭部に刃がかすめ始めたのである。

ビシュビシュ!

ビシュビシュビシュ!

黒布「・・・ぐっ・・うっ・・(このままでは・・攻撃のチャンスさえ与えられないとは、この程度だったのかこの私は・・せめて・・一瞬でもいい、隙があれば・・ぐっ)」

そうしてる間にもどんどん顔は傷だらけになってる。

ビシュビシュ!

ビシュビシュビシュ!

ビシュビシュ!

ビシュビシュビシュ!

鮮血が辺りに飛び散る。

ビシュビシュ!

ビシュビシュビシュ!

ピシッ!

ビシュビシュ!

ピシッ!

ビシュビシュ!

ビシュビシュ!

ピシピシッ!!

黒布「・・ぐっ・・(なっなに!?この最も硬いと言われるプリズム製のタナトスに亀裂が!!・・まずい・・)」

ピシピシピシッ!!

パシンッ!!

肩の装甲が砕け飛んだ。

ボロ布「こういう光景も、楽しいものだな。」

ボロ布の男はまったく疲れた様子も無く、ただ余裕に立っている。

っと、その時であった、一瞬、闇の波動の刃の勢いが弱まったのである。

黒布はそれを見逃さなかった。

ささっと、闇の波動の刃をかわした瞬間に黒布は技を繰り出した。

黒布「無影曼荼羅千手斬!!」

ズババババババババババババババババババ・・・・・!!!!!!!

ボロ布の男み見事に命中した。

技を受けたボロ布の男は、微塵である。

ボロ布は跡形も無く消えた。

黒布「ふっ、相手が悪かったな。この私に出会った事を呪うがいい。」

黒布とボロ布の男の戦闘は終わった。

ゴリアテ「ま・・まだだ・・」

黒布は驚いた。

黒布「生きていたのか!?ゴリアテ殿、・・・なっ!?」

ゴリアテの声の方向を黒布が振り向くと、ゴリアテがボロ布の男を羽交い絞めにしていた。

ゴリアテは見るも無残な姿には変わり無いが、なんとか生きていた。

ゴリアテ「俺様が・・そんな・・・簡単に・・・・・くたばるもんかぁ・・」

今にも力尽きそうなゴリアテである。

そして、ボロ布の男はボロ布が無くなり全身を晒していた。

どうやら、闇の波動の刃が一瞬だけ弱まった原因はゴリアテによっての事であったようだ。

ボロ布の男が黒布に意識しているうちに羽交い絞めに抑えたのであった。

だが、その瞬間に技を受けたがゴリアテごと黒布の後方へ瞬時に移動していたのであった。

黒布の技を受けたのは残されたボロ布だけである。

ボロ布「どうした?」

ぼろぼろのゴリアテに後ろから羽交い絞めの状態となっているはずのボロ布の男の顔は余裕に不敵な笑みを浮かべていた。

黒布「何!!効かないのか・・!!?」

ボロ布の男は後ろから羽交い絞めをしているゴリアテから軽くすり抜けた。

ゴリアテ「・・・うっ・・ぐぐ・」

ドサッ

ゴリアテが倒れた。

ゴリアテと黒布にはもはや勝機は無い、あるのは絶望だけであった。

ボロ布の男の容姿は、今までボロ布で隠れていたが、今でははっきりと目視する事ができた。

赤い鎧、両腕が無く、顔は鋭い目つきをしている、歳は若いようである。

その纏う鎧からは想像を絶する程の禍々しい気を感じる。

赤い鎧の男「お前ら、飽きた、でも、楽しめたので、殺さずに良い所に送ってやる、そこで勝手に死ね。」

赤い鎧の男はそう言うと、黒布とゴリアテの目前に大きな暗闇の穴が口を開いたのである。

そして、2人はその穴の中へ吸い込まれて消え、穴は口を閉じたのであった。

赤い鎧の男は再び迷宮の先へとゆっくりと進み始めたのであった。

一方、暗闇の穴へと吸い込まれた2人は意識を失っていた。

だが、百眼族と巨人族の血を持つゴリアテは、その異常なまでの体力で意識を戻したのであった。

ゴリアテ「・・ぐっ・(ここは時空の狭間では?・・もう終わったか・・ここで朽ちていくだけか・・)」

ゴリアテの浮遊する傍には黒布が意識不明で浮遊していた。

そして、全ての目の潰れたゴリアテにはそれは確認する事はできないが、気配で察知していた。

ゴリアテ「・・(この男もまた、朽ちるだけ・・友よ・・俺様に生まれて初めて友と呼ばせたな、この男は・・)」

そのとき、異次元の暗闇の中で一欠けらの穴が開いている場所の気配をゴリアテは感じた。

ゴリアテ「・・?(ん?これは?出口では?・・だが、この時空の狭間、どの時代の穴なのかわからん、が、ここにいても朽ちるだけだ・・・・・死ぬよりはいい・・・もう俺様の体力では二人ではあそこに辿り着く事は無理だな・・・・・・)」

ゴリアテは黒布の気配を感じている。

ゴリアテ「・・ふっ・・(ニヤリ」

ゴリアテは何かを悟ったようであった。

ゴリアテ「・・(どの時代でもかまわん。)」

ゴリアテは黒布の男の気配の場所へ手を伸ばし、そして、残る力全てをこめて、一欠けらの穴の気配のある方角へと、渾身の力で放り投げたのであった。

ゴリアテ「ヌンッ!!」

そうすると、黒布は穴の方角へと流れていったのである。

ゴリアテ「・・(友よ生きよ、例えそこが何万年後の世界であろうと、お前だけは死なせはしない・・・・・・・・・)」

ゴリアテは黒布の男が穴から出た事を確認した。

ゴリアテ「・・・うっ!!?」

ドッパーー!

大量の吐血である。

最後に残された体力をゴリアテは黒布の男を生かす為に用いたせいで、全身の筋肉、内臓、全てがボロボロになっていた。

ゴリアテ「・・・・・・・・・」

ゴリアテは力尽きて、もう既に、ただの屍となっていた・・・・・

一方、黒布は時空の狭間からでて、何処かわからぬ場所で横たわっていた。

小川のせせらぎが聞こえてくる。

おとなしそうな男「あれ?セレン様、人が倒れていますよ!?」






一方、再び時間を戻り、試練の塔。

ゴリアテと黒布の男が敗北した事は誰も知らない。

トロアとカリムは最上階の大賢者の御前に到着していた。

大賢者「おお、よくぞ参られた。貴方達はここへ何を求め参ったのでしょうか?」

大賢者はいつものように、2人に問いかけた。

トロア「大変でございます大賢者様!!」

カリム「地上の宿場町は全滅です。!!(汗」

トロア「全滅させた者がここへと向かってきております!!」

あわてて喋る2人であった。

大賢者「どっどうしたのですか?そのように血相を変えて、いったい何が起きているというのですか?」

2人は今までおきた出来事と現在の状況を事細かに説明したのであった。

ちょうどその頃、横の扉から一人の魔法使いがでてきた。

ジグルト「おやおや、これはこれは、トロアさんにカリムさんではないですか。」

大賢者「お早いですね?もうよろしいのですか?」

ジグルトは本を大賢者に返したのであった。

ジグルト「ありがとうございます、この本に記された魔法は全て契約を済まし、会得できました、それより、この本の題の《フィアナの書》の由来を聞かせてもらってもよろしいでしょうか?」

大賢者「それは私の名です。」

そう、この大賢者こそ、3大国消滅後、唯一の生き残りのフィアナであった。

だが、年老いたせいで、昔の面影は残っていない。

ジグルト「そうでありましたか。」

ジグルトは会話をしつつも、下より迫る異様な闇の波動に気付いていた。

ジグルト「このような会話もしている暇はなさそうじゃな。何が起きているのかは察知しておる、聞くまでもなかろう、この大魔法使いジグルト、命に代えてフィアナ様をお守りいたします。」

ジグルトは深く礼をした。

大賢者フィアナ「このクルトの塔には特殊な結界がはってありますので、塔に閉じ込めてしまいましょう、そして、私の書は全て、異空間に封印しておきます。」

大賢者フィアナが軽く手を叩くと、魔法書が全て、パッと消えたのであった。

だがそのときであった。

ジグルト「どうやら間に合わなかったようですな。」

そこには赤い鎧の男が立っている。

大賢者フィアナはその顔を見て絶句した。

ジグルト「ここはわしがおさえる!!トロアさん!カリムさん!大賢者様を逃がすのじゃ!!」

《最終決戦》

ジグルトは杖を前に突き出した。

ジグルト「この大魔法使いジグルト様の新しく会得した新魔法をお前さんに使ってやろう!」

そう言うと、ジグルトは詠唱をはじめたのであった。

赤い鎧の男「ふっ、死にぞこないのババア一匹とジジイ一匹、そして、ダニが二匹、邪神王の望みだ、殺させてもらう。」

大賢者フィアナは立ち尽くして動かない。

大賢者フィアナ「・・・まさか・・・でも・・あまりに・・若い・・・・あ・・あ・・似ている・・」

赤い鎧の男「無駄だ、逃げられん。」

カリム「ダメだ、下への通路が壊されている。」

トロア「あぁ〜〜〜もぅ、大賢者様ぁ動いてぇ・・・・、こうなれば私も命に代えて戦いますよぉ〜〜!」

赤い鎧の男の言動にも聞き耳をたてず、ジグルトの詠唱が止まったのであった。

ジグルトが大きく手をひろげて叫んだ!!

ジグルト「レイ・・バン・・!!」

ドガッシャーーーーーーン!!

バリバリバリバリィーーーーーーーーー!!

恐ろしく巨大な稲妻が赤い鎧の男に命中したと思うと、ジグルト達の周囲には磁界バリアが発生した。

そして、赤い鎧の男を襲ったのは稲妻だけにとどまらず、核熱が襲ったのであった。

ドッバーーーーーーーーーーーーカーーーーーーーーーーーーッ!!

周囲の全てが熱に溶かされて消えていく。

物凄い爆風・・・

ジグルト達はバリアで守られている。

そして、核熱がおさまり、辺りには静寂が戻りだした。

塔の屋根も壁もすべて消滅して外に剥き出しの状態である。

誰もが、終わったと思うのは当然であった。

がしかし。

トロア「あ・・あ・・・あ・・・あれ・・あれ・・・あれ見てよ・・あ・・・・・」

そこには恐怖の存在がいた。

カリム「・・・・・・・あ・・あ・・そんなぁ・・」

ジグルト「なに?・・確かに、レイバンは命中したはず・・まだ、わしには魔力が足らないというのか・・!??」

そこには無傷の赤い鎧の男が平然と立っていた。

あれほどの強大なる魔法を使ったにもかかわらず、無傷である。

赤い鎧の男「どうしたぁ?何かしたのかぁ?ダニは所詮はダニでしかないなぁ(ニヤリ」

全員絶句。

もうどうする事も逃げることもできない。

赤い鎧の男「では、そろそろ軽く終わらせてあげましょう・・ぶつぶつ・・」

赤い鎧の男が詠唱を始めた。

いや、始めて数秒で唱え終わった。

短い呪文である。

大賢者フィアナはその呪文の唱える速さで確信した。

大賢者フィアナ「クルトなの?・・」

赤い鎧の男の顔が一瞬ビクッとしたが詠唱は完了していた。

赤い鎧の男「ダーク・ネビロス!!」

空に亀裂が走りだす。

辺りの空も亀裂だらけとなっていく。

そして、その亀裂が音を立てて崩れていく。

パリンッ!!

パシンッ!!

パリンッ!!

その破片が全員を襲った。

ジグルトはバリアをはっていたが、無駄であった。

見事に貫通してきたのである。

全員ズタボロである。

ジグルトは杖でなんとか立っているが、トロアもカリムもかなりの重症で倒れている。

だが、大賢者フィアナは致命傷を受けたようでガックリしていた。

ジグルト「ぐっくく・・ゲホッゲホッ・・」

ジグルトは咳き込みながら吐血していた。

ジグルト「あ・・ぐっ・・あやつの一瞬の気の迷いのおかげで助かった・・・ようじゃ・・といっても・・助かったとは言えないな・・だが、・・・・気の迷い・・が無ければ・・終わって・・いた・・ぐぐっ・・ゲホッゲホッゲホッ・・聞いた事も・・無い・・恐ろしい魔法じゃ・・」

赤い鎧の男「そこのババア、何故俺の名を知っている?こたえられないか、まぁ、死ね。」

ジグルトは今の言動で気付いた。

この塔には誰も知らない、大賢者様がつけた、大賢者様の思い入れのこもった名が塔につけられているという話を、そして、ここはクルトの塔、そして、この赤い鎧の男の名はクルト。

ジグルト「ゴホゴホゲホッホホ・・それはな、この・・お方がフィアナ様だからじゃ・・のぉ・・ゲホゲホ・・」

クルト「何!?馬鹿な!こんな老いぼれなはずは無い!!!フィアナは美しい!!」

そのときである、空から大きな咆哮が聞こえてきた。


クオオオオオオォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!


その咆哮とは、塔の周囲を飛翔している魔獣であった。


クオオオオオオォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!

クオオオオォォォーーーーンクオオォォォーーン!!


咆哮は瞬く間に近づいてきたと思うと、目の前の床にファサッと魔獣は着地したのであった。

クルト「クエン!・・そうか・・フィアナ・・・・」

そう、その魔獣とはたくましく成長したクエンであった。

クエンは辺りを見回してフィアナを見つけると傍によっていった。

そして、なんとか起き上がったトロアは、フィアナを抱き上げた。

トロア「この魔獣、使って脱出するわよ・・」

カリムもなんとか起き上がってクエンの傍にきた。

カリム「でも、逃がしてもらえますか?・・」

ジグルトはクルトを睨みつけている。

クルトはフィアナを殺そうとしていた事に我に返り、動けずにいた。

ジグルトはカリムとトロアに声を発した。

ジグルト「ここはわしに任せてお前達だけで脱出しろ、どのみち、こやつをここで抑えておかねば、すぐに魔法で撃ち落とされるのが関の山じゃ・ゲホゲホッ・・」

ジグルトの決意であった。

2人はその決意を感じとったので、何も言わず、クエンにフィアナを乗せて、2人もまたがったのである。

トロア「ジグルトさん、いつかまた会いましょ。」

ジグルトは振り向かずに軽く返事をした。

ジグルト「ああ、いつか地獄でな・・ゴホゴホッ・・」

クルトはまだジッとしている。

まるで、それは逃げる事を見逃しているようにもうかがえた。

そして、3人を乗せたクエンは大きく翼を広げると、空へと飛翔したのであった。

そして、あっという間に塔より遠ざかっていった。

ジグルト「ここがわしの死に場所だな・・ゲホゲホ・・ぶつぶつ・・」

ジグルトは詠唱を開始している。

クルトもそれに気付いた。

クルト「それは、・・フィアナの作った魔法だな・・・受けてやる・・」

クルトは手を広げて目を閉じた。

戦意損失と言えば良いのか?、それとも、自ら愛した女に手を出した罪滅ぼしなのか・・

ジグルトの詠唱が止まり、魔法が発動しはじめた。

ジグルト「グランド・メテオ・ストライク!!」

空が振動している。


ゴゴゴゴゴゴ!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


空にはとてつもなく巨大な隕石群がせまってきていた。

これがこの魔法の効果である。

だが、使用者はテレポートしなければ、魔法の威力に一緒に飲み込まれてしまう恐ろしく強大な魔法であった。

だが、ジグルトにはすでに、テレポートなどをする余力など残っていなかった。

ジグルト「ゴホゴホ・・お前さんは危険じゃ・・道連れじゃ・・一緒にあの世へ行こう・・げほ・・・」

ドサッ・・

ジグルトは地面に倒れ伏せたのであった。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!






ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!




そして、塔は消滅した・・・・・・



クルトは、魔法を受けたが、無傷で空中に浮遊していた。

クルト「・・・・・また、俺は生きている・・」

クルトはスッと姿を消したのであった。






一方、クエンにまたがり逃げ延びた3人は、大陸のはしの小さな洞窟にいた。

フィアナ「・・・はぁ・・はぁ・・」

フィアナは致命傷を受けているので、かなり苦しそうである。

トロワ「大賢者様・・しっかりしてください・・」

カリム「大賢者様・・」

クォーーン・・

フィアナは僅かな力を振り絞って、声をだした。

フィアナ「わ・・わたしはもう・・助かりません・・」

クォーーン・・

トロワ「大賢者様・・大丈夫ですよぉ・・きっと・・助かりますよぉ・・」

フィアナ「二人に使命を与えます・・わた・・しが・・死ねば・・封印している書の封印が解け・・はぁはぁ・・世界にばらまかれま・・す・・そっそれを・はぁはぁ・さがして・・良き者に・・配りあた・えなさい・・はぁはぁ・・」

トロア「わかりました・・」

カリム「大賢者様も・・元気になれば・・大丈夫ですよぉ(泣」

フィアナ「さぁ・・早く行きなさい・・はぁはぁ・・・」

トロア「そっそんなぁ・・大賢者様を置いてはいけません・・」

フィアナ「貴方たちは勇敢です・・はぁはぁ・・行きなさい・・私を裏切らない・・で・・はぁはぁ」

フィアナは今にも死にそうである。

カリム「わかりました・・トロアさん、行きましょう・・さぁ・・早く行きましょう・・(泣」

トロアの目からも涙が溢れでてきていた・・

トロア「大賢者様・・(泣」

2人は洞窟から出ていった。

フィアナはそれを確認するとクエンの方を見つめた。

フィアナ「クエン・・はぁはぁ・・ありがとう・・貴方はもう・・はぁはぁ自由なのよ、・・さぁお行き・・はぁはぁ・・」

クォーーン・・

クエンはフィアナから離れない。

っとそのときであった。

クエン「(フィアナサマ、アナタサマヲコノママシナスノハ、クルトサマヲヤミノママニシテシマイマス、サイゴニクルトサマヘノオモイヲココニノコシテオキマショウ)」

クエンのテレパシーであった。

フィアナの脳に直接話しかけていた。

フィアナ「でも、クルトは・・はぁはぁ・・」

クエン「(シッテオリマス、ワタシノリョウシンヲマホウニシタコトハ、デモ、クルトサマガイタカラコソ、フィアナサマトモデアエタ・・)」

フィアナ「知っていたのね・・はぁはぁ・・貴方って子は・・はぁはぁ・・」

クエンがフィアナに近づき、触れただけで魔法円が現れたのである。

クエンは知力が凄く発達していた。

今までに、フィアナのおこなう事を全て傍で見てきたのだ、覚えてもおかしくはなかった。

クエン「(フィアナサマ、アナタハ、サミシクナイ、ワタシモイッショニイキマス、ソシテ、イツカ、クルトサマノタメニイキマショウ、エイエンニ・・)」

クエンとフィアナを魔法円が包む、そして、二人は消えていった・・・

最後にフィアナの目からこぼれ落ちた一滴の涙だけを残して・・・・



そして、洞窟には静寂だけが広がっていた・・・

その頃、クルトは闇の中で目をつぶっていた。

クルト「・・・(フィアナ・・死んだか・・すまない・・一緒に死にたかった・・・)」

クルトは悲しい表情をしていた・・・







ここは、暗黒魔界。

邪神王『クルト・・まだまだあおい・・つまらぬ物をまだ持っている・・情・・悲しみ・・全て消さねばいかんな・・』









人知れず、静寂の洞窟・・

一滴の涙が光輝いて空中に浮遊している・・

これは幾万年の月日歳月が過ぎようと、そこから消える事は無いであろう・・・

魔法の力を帯びているようだ・・





-To =四魔帝外伝=《神に仕えし者の章・始まりの序曲L血塗られた序曲》-

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