作:邪神王ウロボロス
少し時間をさかのぼる。
ウロボロスにより、旧世界の破壊、そして、新世界の創造が成されてから少しばかり月日が経過していた。
このとき、まだウロボロスの分身である、邪神王ウロボロスは誕生していなかった。
本来、世界樹ユグドラシルの存在していた空間。
そこにはもはや、ウロボロスにより、総べてが焼き払われ、世界樹ユグドラシルの姿、面影は何処にも見あたらなかった。
そして、そこは廃墟な空間、ただ、何も無い無空間であるだけであった。
虚無界、そこはそう呼ばれた。
そこには、ただ今は塵が漂うだけの空間・・のはずであった。
だが、そういう予想、いや、予定を覆すべくして、そこには逃げ延びた者達の集団があった。
彼らは気付いていない・・己自信達が既に踊らされていた事を・・
亡霊族・・・彼らはそう呼ばれた・・・いや、そう呼ばせた?
通称とはほど遠くも自称亡霊族とでもいうべき存在。
負けた事ですら、己の肉体を失った事ですら、忘れているのか・・・
覚えているのか・・・
だが、彼らには、未来の希望を持っていた。
亡霊族、いつか表舞台に名を馳せれると。
そして、総べてを自らが望む姿へと向わせる為に。
彼らもまた、所詮は成り上がりたいだけの存在でしかなかった。
彼らは一つの段階を経て、行動にでていた・・・つもりであった。
名も無き邪神王、誰も知らぬ謎の者により消された存在、何故か彼の魂は存在していない。
謎の者によって、その総べてを吸収されてしまったからである。
その名も無き邪神王により肉体を消され敗北していた前世界の魔王・・
彼もまた、世界で何がおきているのかは知らない。
彼は謎の者の存在を知らない・・・・
いまだに名も無き邪神王が世界を成したものだと思っていた。
そして、彼は亡霊族に誘われるがままに踊らされた亡霊王の元へと向ってしまった。
そして、何も知らぬまま、無様にも何もすることもできず、抵抗無くして亡霊王によって封印されてしまった・・・
名も無き邪神王がいまだに存在していると思ったまま・・・
そして、名も無き邪神王への復讐を胸に抱いたまま・・
愚かな魔王、名も無き邪神王はとっくにいないというのに・・・
亡霊王の口からこぼれたウロボロスという名称ですら彼には何なのか理解できてはいなかった・・
亡霊王「愚かな奴だ、ウロボロスの存在を知らぬとは、だが、そのほうが幸せなのかも知れぬな、名も無き邪神王はとっくに奴の餌食と化してこのどの世にも存在していないというのに、魔王、お前の魂もこの封印によっていつか、長い年月とともに浄化され改心できるであろう、そして、その封印が解かれる頃には私がそれに見合う世界に創りなおしておいてやる、そのときには封印も解けるかもしれぬな。」
亡霊王はただ一人、魔王を封印した空間を見つめ一人ささやいていた。
まるでそれは、友への墓標に向かい、慎むが如く姿にも思えた。
亡霊王「我もまたお前と同様、名も無き邪神王に殺された者の一人、だが、その邪神王をも消してしまった程のウロボロス、決して存在させてはならない。」
そのとき、亡霊王の後方にスッと一つの影が現れた。
影『ごくろう。』
亡霊王はすかさず後ろに振り返った。
亡霊王「な!?・・何故だ!?・・」
影『どうしたかね?』
亡霊王はその光景を疑った。
亡霊王「ありえん・・・あってはならない・・」
影『何があってはならないのかな?』
亡霊王は幻覚でも見ているのかと自身の目を疑った。
影『何かゴミを一匹封じたみたいだね?』
亡霊王「何故!?肉体を持つ貴様がここにいるというのだ!?」
影『それは、私にとって、肉体とはあって非なるもの。』
亡霊王は自らの仲間、部下、同朋達を呼ぼうとした。
影『無駄ですよ、総べて消させてもらいましたよ、肉体が無ければ殺せないですからねぇ・・クククク・・もう既に死んでいる相手を殺すなんて、とてもじゃないですができませんね・・クククク・・でも、素粒子のレベルで崩壊させる事は可能でしたね?・・クククク・・』
亡霊王「まさか!?・・あの者達を??・・なんてことだ・・だが!!ここで出会ったが貴様の最後!!今度は逃がさぬぞ!!」
影『逃がさぬ?逃げた覚えは無いのですが、あいにく見逃してあげた事はありましたが。』
亡霊王は勝気な態度にでていたが影は動揺すらみせていなかった。
影『以前、貴方は私のどのような姿を目撃しましたか?・・ククク・・』
謎の影は不敵に微笑んだのであった。
亡霊王「フッ、今と変わらぬ姿をしてたでは無いか!」
亡霊王は強気であった。
影『ククク・・という事はこの姿を見ていなかったようですね?、まぁ、そのおかげで楽しみが一つ増えたという事で感謝しますよ・・ククク・・』
影の背後から幾多の虹色の翼が姿を表したのであった。
亡霊王「なっ!?・・・なんと綺麗なんだ・・う・つ・く・し・い・・・」
影『御褒めに預かり光栄です・・ですが、貴方はいただかせてもらいます。貴方を殺した名も無き雑魚、いや、名も無き邪神王と同じ扱いをしてあげるのだから喜んでくださいね。』
亡霊王はもはや死を恐れぬ霊体の存在であるにもかかわらず、恐怖していた。
亡霊王「ウ・・ウロ・・ボロス・・」
亡霊王は影の名前を恐怖とともに口から漏れたのであった。
ウロボロス『どうやら、私の真の姿を見てしまった・・まぁ、貴方の力も我が力となるのだから、問題ありませんがね・・ククク・・そして、我を知る存在をこのまま野放しにしておくのも面白くありませんので・・ククク・・私は裏から総べてを支配する存在になる、その事実を知る者に存在してもらっては困るのですよ。』
亡霊王「な・・なんと・・勝手な・・・」
亡霊王ラグナ・金剛阿修羅の霊体の身体は、もはやウロボロスに力を総べて奪われてしまっていた。
そして、亡霊王の身体が徐々に崩壊、いや、空間に分散されていっている。
亡霊王「ぬぁ〜・・かっ身体がぁ・・消えていくぅ・・」
ウロボロス『こうして、自らの身体が消えていく事に怯え恐怖する姿をゆっくりと見つめるのも実に愉快なものだ・・ククク・・・』
ウロボロスは亡霊王の消えていく様子をじっくりと観察していた。
そう、楽しみながら・・・
亡霊王「魔・・魔王を封印しな・・・ければ・・・」
ウロボロス『そうだな、封印しなければ2対1にでもなっていたのかもなぁ・・・ククク・・しかし、ゴミにゴミが増えたところで・・ククク・・』
亡霊王は顔を歪めながら恐怖していた、そして、亡霊王も残りわずか、顔の部分を残して、他の部分は総べて崩壊してしまっていた。
ウロボロス『貴方というゴミに、魔王というクズが加勢したところで、所詮はゴミクズでしかないのですよ、まぁ、どちらでも良かったのですが、貴方が封印してくれたおかげで、後の楽しみがまた一つ増えましたよぉ・・ククク・・感謝してますよぉ・・ククク・・何も知らない無知な魔王、面白い・・・実に愉快でありますよぉ・・ククク・・ありがとう。』
亡霊王は顔部分しか残っていない、もはや喋る事も無理な状態であった。
ウロボロス『私に勝てると思いこんだ事、それが貴方の決定的な私との格差、そして、間違いなのですよ、自称亡霊族、そして、その王、さようなら・・・』
既に亡霊王は眼球一つのみの姿にまで崩壊していた。
ウロボロスはその最後に残された眼球に息をスゥっと吹きかけたのであった。
すると、あっというまに空間の中へと眼球は分散して跡形も無く消失していった。
ウロボロス『さて、休憩はこのぐらいにして、あの階層の世界を調整しに戻りましょうか・・』
ウロボロスの姿はスッとその場から消えたのであった。