作:邪神王ウロボロス
幾千万年前。
全て世界の支配者として君臨していた邪神王がいた。
ちょうど、その頃、幾多の魔界、神界、天界、人界など、色々な世界の成り立ちの時代が始まろうとしていた。
暗黒魔界、幻魔界、幻夢魔界、闇魔界、・・・・・幾多の魔界もまだ存在していなかった。
全ては名も無き邪神王の闇の世界そのものでしかなかった。
原始の魔王サタンを、圧倒的なる力により封じ、そして、世界そのもその覇者となって君臨していた邪神王。
そして、邪神王はその事に満足していた。
何も無い空間、一本の大木、世界樹ユグドラシルのてっぺんにて、邪神王は居城を築きあげ、そして、そこに落ち着いていた。
居城の大広間、邪神王の玉座、彼は座っていた。
そして、その前に一人の者が訪れた。
それが、彼の運命を悲惨な方向へ導く事など、彼は知る事は無かった。
たとえ、頂点に立つ者であっても、頂点であったが為に、己の力に過信してしまった事により、思わぬ盲点ができてしまう事もあるであろう。
謎の者『邪神王様、良い話を持ってまいりました。』
その男は細身、そしてサラッとした髪、肌も綺麗な美男子であった。
紳士的で綺麗でよろけ一つないスーツを着ており。
まだ、人が存在しない世界、そのような世界では考えられないような服装であった。
何処から来たのか、邪神王にはまったく理解できなかったのであった。
邪神王『良い話?お前は何者だ?』
邪神王の問いかけに対して、謎の者は軽い微笑みを浮かべて名のった。
謎の者『私は、ウロボロスと申します。』
ウロボロスと名のった者は邪神王に対して深く礼をした。
邪神王『して、ウロボロスとやら、良い話とは何だ?』
このとき、邪神王はウロボロスが何処から来たのかまったく聞く事を忘れていた。
ウロボロス『良い話というのは。』
ウロボロスは静かな語り方で話始めたのであった。
邪神王『うぬ、良い話とは?』
何故か、邪神王はその話の先が気になった。
ウロボロス『世界はまだ一つしか存在しません。』
たしかに、そうだった。
邪神王が君臨している世界は一つしかなく、そして、一つしかなかった。
邪神王『たしかに、そう言われると、そのとうりである、そして?』
邪神王はその話の先に興味を持ち始めていた。
それが、踊らされているとも気付かぬまま。
ウロボロス『支配、君臨、その言葉が示す先の事を考えての事でありますが。』
邪神王は話を聞く事に対して夢中であった。
邪神王『が?』
ウロボロス『一つよりも、複数、あれば、そして、』
邪神王は話に夢中というより興味深々になっていた。
ウロボロス『その世界ごとに支配者を複数置いた上で、その上に、神として君臨できれば、何もかもが見ていて、退屈しないと思われます。』
邪神王『つまり、複数の世界の頂点に立てると言う事であるな?』
ウロボロス『さようでございます。』
邪神王は更にそれをどうするか、追及したのであった。
邪神王『ぬしの申す事を実現するには、どうすれば良いというのだ?』
ウロボロスは軽く微笑んだ。
ウロボロス『貴方様は何もする事はございません。』
このとき、ウロボロスが邪神王の事を邪神王様とは呼ばずに、貴方様と呼んだ事には名も無き邪神王は気にするどころか、気付く事すらしなかったのであった。
ウロボロス『ただ、ここで、じっと待っていてください。』
邪神王『何もしなくて、どうやってできるというのだ?』
ウロボロスは軽く微笑みながら話を続けた。
ウロボロス『ここで、外で何があろうと、どんな音がしようと、動かない事、それで、それが終われば世界が出来上がってございます。』
邪神王はウロボロスの話を信じた。
そして、全て、ウロボロスに任せる事にしたのであった。
邪神王『わかった、全てはぬしに任せる。』
その言葉を聞いた後、ウロボロスはその場から歩き、城の外へと出て行った。
邪神王『・・(面白い話だ、楽しみだ、・・しかし、あの者、何処から来たというのだ?)』
邪神王は玉座に腰をかけた状態で待つ事にした。
そう、どんな音がしようと、そこから動かない事、それだけを守る事にした。
ウロボロスは城から出ると、外を眺めた。
そして、スゥっと息を吸うと背中から幾多もの綺麗な虹色に輝く翼が出現したのであった。
翼の数は数えきれない程である。
そして、その翼を大きく広げて、大きく羽ばたいたのであった。
翼を羽ばたかせると、たちまち、ウロボロスは飛び立った。
その後には、美しい、輝きが残されており、尾を引いているが如く見えたのであった。
ウロボロスが世界樹ユグドラシルの真上に到着すると、軽く微笑んだ。
ウロボロス『ククク・・馬鹿な奴だ・・』
ウロボロスは軽く、邪神王を見下し、小馬鹿にした。
ウロボロス『それでは、始めよう。』
ウロボロスは大きく翼を広げて浮遊している。
そして、両手を大きく広げて世界樹ユグドラシルの方向に何やら、力を軽く注いだのであった。
ウロボロスからは、虹色に輝く力が世界樹ユグドラシルへと降り注いだ。
すると、世界樹ユグドラシルは虹色の炎にたちまちの内に包まれたのであった。
世界樹は虹色の炎により崩壊していった。
その頃、邪神王は玉座に座っていた。
邪神王『・・・(うん?、外から何やら不思議な匂いと、何かが崩れる音がするなぁ?・・まぁ、待とう。)』
だが、その考えは間違っていた。
外は虹色の炎に包まれている。
ちょうど、その頃、その炎に包まれた世界樹ユグドラシルの先端の部分の若枝。
何故か、樹であるのにもかかわらず、知性に目覚めていた。
若枝「(あちち・・熱い・・逃げねば・・)」
若枝はそう考えると、自力でその枝の付け根より、切り離れた。
若枝はそのまま、奈落の底へと落ちていこうとした。
若枝「・・(落ちるのは勘弁・・飛ぶぞ!!)」
若枝は己の念を信じて、力を集中すると、飛ぶ事に成功したのであった。
若枝「・・(飛べた!!?・・やればできるものだ。よし、何処へ行こうか・・)」
虹色の炎に包まれて燃え盛る世界樹ユグドラシルの上ではウロボロスがいた。
ウロボロスには若枝が遠くへと飛んでいくのが見えたようであった。
ウロボロス『・・(世界樹の枝か、まぁ、良い。)』
ウロボロスは手を広げていたが、そろそろ頃合だと感じたのであった。
ウロボロス『・・(それでは、邪神王よ、貴様ごときの力を更なる越える力により、いただくとしようか・・ククク・・貴様も所詮は雑魚よ。)』
ウロボロスはそう思うと、燃え盛る世界樹ユグドラシルへと再び降りていった。
そして、再び、邪神王の居城の前にいた。
ウロボロスは地に足を着くと、ウロボロスの背中にあった、虹色に輝く幾多もの翼は姿を消したのであった。
そして、ウロボロスは邪神王の元へと足を進めたのであった。
邪神王は外の世界がどうなっているのかまったく知らなかったのであった。
邪神王『・・(早く済まないかな?・・待ち遠しい。)』
そう思う、邪神王の前にウロボロスは現れたのであった。
それを確認した邪神王は何も知らずのまま、ウロボロスに問いかけたのであった。
邪神王『おお、どうじゃ?できたのか?』
邪神王の問いかけに対し、ウロボロスは話し始めた。
ウロボロス『いいえ、まだでございますが、貴方様に少し協力してもらおうと思い、参ってございました。』
邪神王は何の不信感も抱かず答え返した。
邪神王『何もしなくて良いと申したではないか?・・まぁ、良い、協力しよう。』
そのとき、ウロボロスは態度を豹変したのであった。
ウロボロス『ククク・・』
邪神王は驚愕した。
ウロボロス『愚かな、雑魚よ。』
ウロボロスは邪神王本人を目前で雑魚呼ばわりしたのであった。
邪神王はその態度に怒りを示した。
ウロボロス『無駄だ。・・・貴様ごとき、どうでもよかったが、貴様も一様、世界を支配した一つ、なので、その存在そのものをいただくとするよ。・・ククク・・』
邪神王はウロボロスが何を言っているのか理解できない、しかし、怒りは爆発寸前であった。
邪神王『きっさまぁーーーー!!・・何者?、チリにしてくれるわぁ!!』
だが、ウロボロスはまったく、動じていなかった。
ウロボロス『私?・・私はですね、こことは別の次元を超えた領域、アバサから参りました、そして、そこの支配を軽く、させていただいておりましたが、飽きたのでそこを消してここに遊びにきただけですよ。』
邪神王『アバサ?・・確か・・あそこは・・創世神が誕生した世界・・だが、そこが消えた?という事は、創世神は?・・』
ウロボロスは答えた。
ウロボロス『ああ、あの老いぼれの事ですか、軽く、頂きました。、つまらないので、あの世界そのものを消すついでにすべて、いただかせてもらいました。』
邪神王は絶句した。
ウロボロスは話を続けた。
ウロボロス『今は、この私があの世界そのものなんですよ、というより、創世神ごとき、お前と同じく、己に自信を持ち過ぎた事で、己より上が生まれる事すら気付く事が無かった。それが破滅への導いたのですよ。邪神王よ、お前の世界は消さず創り治させてもらいますよ、そして、私が破壊と創造の神となり、お前に代わって君臨してあげましょう。・・ククク・・』
邪神王はウロボロス目掛けて、闇の力を渾身の力で放ったのであった。
邪神王『こしゃくな!!愚か者は貴様だ!!、創世神ごとき、とっくに見下しておるわぁ!!これでお前の最後!!』
邪神王の放った渾身の闇の力は軽くウロボロスに防がれた・・・・いや、力はウロボロスの前で停止したまま動かない。
邪神王『何!!?』
ウロボロス『ククク・・邪神王、世界に君臨した、邪神王よ、貴様は所詮はこの程度、食うにも値せぬが、いただいてやる事に感謝せよ・・・ククク・・』
ウロボロスはそう語ると邪神王の放った力の塊を軽く消し、そして、己の背から再び虹色に輝く幾多もの翼が出現したのであった。
邪神王『・・う・・つ・・く・・し・・い・・』
ウロボロスの虹色の輝きが邪神王を包みこんだ。
そして、邪神王は消滅したのであった。
ウロボロス『他愛も無い・・ククク・・』
そして、邪神王を葬ったウロボロスは居城を後にした。
ウロボロスは虹色に輝く翼を広げ飛びたった。
そして、ほぼ、墨と化した世界樹ユグドラシルのてっぺんに再び戻っていた。
ウロボロス『それでは、始めよう。世界の破壊。そして、創造。』
このとき、地界・天界・魔界が残っていた。
ウロボロスの虹色の炎に焼かれた世界樹ユグドラシルの墨が不思議な風に流れて天界、そして、魔界へと吹き込んでいった。
墨であったはずが、何故か再び燃え始めると、たちまちの如く、各界を燃やし尽くした、その住人達は逃げ切った者もいたが無重力の無空間に放り出される事となった。
ほとんどの者が燃え死んだのであった。
その虹色の炎は、魂でさえ、燃やし尽くした。
そして、全てが燃え消滅した頃合であった。
世界樹の残骸が分散して、幾多の世界が創世され始めたのであった。
新天界・新魔界というべきであろう。
複数の闇の世界、複数の光の世界、そして、地上界と呼ばれる地ができた。
無空間に放り出されて逃げ果せた者達はその新しく生まれた世界へと各々が望ましい場所へ入っていった。
そして、その無空間は後に虚無界と呼ばれる事になる。
地上界と呼ばれる地、一つの若枝がそこへ着いた。
そこには大きく青い空が広がっていた。
広大な世界、清んだ空気。
若枝は空を飛んでいた。
若枝『・・(ここに決めよう、そして、空飛ぶ木と名のろう。・・ユグドラシルよ、この私がお前のような、世界樹として、この世界に根付いてみせる。)』
若枝は希望を持って、その地上界に降り、そして、根を下ろしたのであった。
ウロボロス『あの暗黒に包まれた世界、いくつもの階層に分かれているように見えるな?、あそこに落ち着くとしよう。そして、私の名は邪神王ウロボロス、そう名乗ろう。』