作:愚者皇さん
ファンファンから呼び出されたarudoは神殿に来ていた。
神殿は常に禍々しい空気で満たされており、並の神経を持つものであれば耐え切れず発狂してしまうであろう。
その中に、彼はいた。
しばらくすると、黒い司祭服に身を包んだ男がやってくる。
「突然呼んだりしてすまなかったね…arudo」
「いえ、そのような事は…。ところでどの様なご用件でしょうか?」
「いやなに…、君は彼に一度敗れていたんだったな…」
ぴくりとarudoの表情がこわばった後に青ざめる。そして、深々と頭を下げた。
「申し訳ありません…。現在、闇を向かわせておりますが…」
「知っているよ…。奴の魔狼が敗れた事もね…」
「それでは、一体…」
「君に復讐のチャンスをあげようと思ってね…」
まるで死んだ様な目でarudoを見やりながら呟く。
「その為に、私直々にお前に力を与えようと思う…」
「それはありがたき幸せに…」
「その前に聞いておく。お前は奴を殺す為に全てを捨てる覚悟はあるか…?」
「それは、自らの命をも…という事ですかな?」
ファンファンが薄く笑みを浮かべる。
「そう、取ってもらっても構わない…」
「奴を自らの手で葬れるのなら…。この命、邪神王様の為捧げておりますので…」
「そうか…、ならば準備をしよう。ついてくるがいい…」
そういって、神殿の奥へと入っていく。arudoもそれに続いて入っていった。
奥の部屋は先ほどの場所とは比べ物にならない禍々しい空気に包まれており、床には巨大な魔法陣が描かれいる。
arudoはその魔法陣の上に立っている。
「では始めるぞ…」
そういって、錫上を掲げながら言葉を紡ぎ始める。
「汝、異界に住みし悪魔と契約を交わす。汝はその血肉を捧げ、悪魔は汝に力を与える…」
ぽぅっと、魔法陣が紅く輝きだす。
「汝の血肉は深淵の沼に飲まれ、汝の魂は宵闇に喰らいつくされる…」
ビキビキと音を立てて、arudoの身体が禍々しく変わり果てていく。
「ぐ…ガァァァァァァァァッ!!」
arudoの叫び声が辺りに響き渡る。さらに身体はビキビキと音を立てて変わり果てていく。
arudoの意識はどす黒い何かに飲み込まれていく。
「そして汝は生まれ変わる…。闇に生きし魔の者として…!!」
最後の言葉を紡いだ後、魔法陣が一層紅く輝きだして部屋を包み込む。
光が消えた後、魔法陣の上には全身が血の様に紅く染まった山羊の頭を持つ巨大な悪魔が立っていた。
「コレガ、新タナル力…」
「フフフ…そうだ、それがお前の内に秘めたる闇の部分だ」
「コレデ…、アノ憎キ愚者皇ヲ…」
「行くがいい、魔獣arudoよ…」
ファンファンの言葉に、arudoは姿を消す。
「またあの禁呪を使ったのか…?」
振り向くと黒い鎧の騎士がファンファンを見るように立っていた。
「キノピオか…」
「あの禁呪…、かつて奴に施したものと同じだな…」
「だが、arudoは自らの闇に飲まれ、愚者皇は支配した…。それだけの違いさ」
「そうか…」
それだけ言うと、キノピオは踵を返しして部屋の入り口へと向かう。そして、部屋を出る時にこう続けた。
「奴の中に眠る魔神は…お前の想定範囲か…?」
「さぁ…それは言えないよ…」
さも楽しそうにファンファンは呟いた。