第17話:闇に蠢きし者…

作:愚者皇さん


-From 16-
第7話:愚か者と少女…の後


「ぐぅ…愚者皇め〜」

斬り落とされた右腕を押さえながらarudoは忌々しげに呟く。

「arudo様…」
「闇か…」

arudoの配下である闇が音もなく彼の元に現れる。

「arudo様、その腕は…」
「奴だ…、愚者皇にやられた…」
「すみません、私がついていながら…」
「いや、お前の責任ではない…それよりも…」
「はい…、既に“草”に命じて追跡を開始しております」
「さすがは…手が早いな」
「恐れ入ります…」

うやうやしく闇が頭を下げる。

「それよりもarudo様、腕の方は…」
「そうだな…」

ふと辺りを見回すと、近くに低級悪魔が徘徊していた。夜は昔より闇の眷属が支配する時と言われている。だからこのような場所に悪魔がいても不思議ではない。むしろ、arudoにとって好都合だった。

「奴を私の一部にするか…」

arudoはそう言って悪魔に近寄る。悪魔はarudoに気づくと、真っ先に襲い掛かってくる。

「自らの力量をわきまえないとは…。愚かな」

悪魔の頭を鷲掴みにし、古代語による詠唱を始める。

「汝は我が血、汝は我が骨、汝は我が肉、汝は我が糧となり我が一部とならん!!」

詠唱の後に悪魔の身体がビキビキと音を立てて捻じ曲がっていき、一つの肉片となる。その後、肉片が腕の形を模ってarudoの斬られた箇所にぴったりとくっついた。

「ふむ…悪くないな…」

arudoは悪魔の肉体で作った新たな腕を軽く握ったり開いたりする。違和感は無いようだ。

「それで最高司祭様からですが…」
「何かあったのか?」
「愚者皇の抹殺に、例の魔狼を用いるそうです」
「くくく…そうか……」

arudoは笑わずにはいられなかった…。

「いかがなされましたか…?何やら嬉しそうですが…」
「いやなに…、大切なものを失う瞬間を拝むというのもまた一興と思ってな…。くくく…ははははは……!!」

arudoはひとしきり笑った後、こう続けた。

「草に伝えよ…。奴の行方が分かり次第すぐに報告をせよとな…」
「どうするつもりですか?」
「なに、奴が大切なものに命を狩られる様を見物しようと思ってな…くくく、実に楽しみだ…では頼むぞ闇よ…」
「御意に…」

すっと溶ける様に、闇は姿を消した。

「さぁ、愚者皇よ…絶望に染まる様を見せてもらおうか…」

そしてarudoも闇に溶けいるように姿を消してその場から立ち去った。

-To 張り巡らされる罠-

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